薗部博之「ゲームを作った人」ではなく「シミュレーションを発明した人」ベストプレープロ野球、ダービースタリオン、カルチョビット
薗部博之氏の経歴を見ると、「ゲームクリエイター」という肩書きだけでは片付けられない、日本のインディーソフトウェア起業家の原型とも言える人物です。
薗部博之「ゲームを作った人」ではなく「シミュレーションを発明した人」
薗部氏の最大の功績は、ゲームではなく"現実世界をコンピュータで遊べるようにした"ことです。
代表作には
ベストプレープロ野球
ダービースタリオン
カルチョビット
がありますが、共通点は
「プレイヤー自身は操作するより、意思決定を楽しむ」
という点です。
当時のゲームはアクション全盛。
薗部氏だけは
数字
確率
育成
経営
戦略
を面白さに変えました。
これは現在の
ソーシャルゲーム
ウマ娘
Football Manager
パワプロ栄冠ナイン
などにも通じる思想です。
ダビスタが革命だった理由
『ダービースタリオン』以前は
「競馬を見るもの」でした。
薗部氏は「競馬は作るもの」に変えました。
つまり
馬主体験
をゲーム化したのです。
しかも
血統
繁殖
配合理論
調教
レース選択
まで再現。ゲームというより経済シミュレーターでした。
現実でも馬主になった
さらに面白いのはゲームで馬主を作った本人が
本当に馬主になってしまったことです。
所有馬
バランスオブゲーム
アブソリュート
スタープログラマー
などはGⅠ級で活躍。
つまりゲーム理論を現実でも試した人です。
起業家として学べる点
薗部氏は1980年代
学生アルバイトでゲーム制作
↓
会社員
↓
独立
↓
自社設立
↓
IPを持つという流れです。
現在で言えば
個人開発者
インディーゲーム
SaaS創業者
そのもの。
最大の強み
一つのヒット作を30年以上育てたこと。
新しいことへ飛びつかず資産(IP)を育てた。
これは経営でも非常に重要です。
失敗談も隠さない
本人は昔はゲームセンターゲームを
「パクっていた」
と率直に語っています。
業界黎明期だから許された面もありますが、
その後は独自性で勝負するようになりました。
ここから学べるのは
模倣は入口
ということです。
人類は最初から天才ではありません。まず真似をし、その後に自分だけの価値を生み出します。どの業界も、最初から完全オリジナルを叫ぶ人ほど、案外何も作れないことがあります。皮肉なものです。🙂
経営へのヒント
事業を長年運営している立場なら、薗部氏の考え方は参考になります。
一発商品より「長寿ブランド」を育てる
データを蓄積して意思決定する
顧客をプレイヤーとして参加させる
リピートが自然に生まれる仕組みを設計する
商品ではなく「体験」を提供する
ダビスタは毎日遊びたくなるゲームでした。
ECなら、「毎日見たくなる店」を作れれば強い。
ポイントやクーポンだけではなく、
季節の提案
スタッフのおすすめ
ランキングの変化
コラム
購入後の楽しみ
まで含めて体験を設計する発想です。
一番印象的な点
薗部氏は早稲田大学理工学部出身ですが、成功の理由は学歴ではありません。
「好きなことを数字で考える能力」
これに尽きます。
野球も競馬もサッカーも、感情だけではなく数式や確率で捉え、それを人が夢中になれる遊びへ変換した。
技術者であり、企画者であり、経営者でもある稀有な存在です。
ゲームは娯楽と思われがちですが、優れたシミュレーションゲームは「人間の意思決定」を学ぶ教材でもあります。だからこそ『ダービースタリオン』は30年以上語り継がれているのでしょう。人は馬を育てているつもりで、実は自分の判断力や欲望と向き合っていたわけです。コンピューターは容赦なく数字を返しますから、人間の思い込みだけは絶対に忖度してくれません。そこが、妙に教育的で面白いところです。

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