勉強が伸びない本当の原因は「〇〇運用能力」かもしれない ~すぐに実践できる4つのトレーニング~
こんにちは。30日チャレンジの運営担当で、元弁理士の伊藤です。
現在は、難関大専門の学習塾 Dear Hope で数学と物理を担当しています。
これまでのシリーズでは、「想起」「セルフレクチャー」「問題文の読み方」など、勉強法の中身についてご紹介してきました。
今回は、少し視点を変えて、それらの勉強法を支える、もう一段深いところにある話をしたいと思います。
「ちゃんとやっているのに、伸びない」を招く、根深い要因
勉強相談をお受けしていると、「ちゃんと勉強しているのに、なかなか伸びない」というご相談を多くいただきます。
こういうとき、本人は「勉強法が違うのでは?」「努力が足りないのではないか」「時間が短いのではないか」など、勉強の「やり方」や「量」について振り返る傾向があると思います。
しかし、いくらやり方を工夫しても伸びを感じられないようであれば、
「言語運用能力の不足」が原因かもしれません。
この力が不足していると、ざるに水を注ぐように、いくら注ぐ量(勉強量)を増やしても、それに応じた成果が得られなくなってしまいます。
言語運用能力とは何か
ここでいう言語運用能力とは、
言葉の意味を正確に捉える力
文の構造を理解する力(主語と述語を追う力)
自分の考えを言語化する力
の三つです。
言語心理学の知見によれば、私たちは言語を通じて思考を整理しています。つまり、言語運用能力とは「言葉を使う力」であると同時に、「考える力」そのものでもあるのです。
「言語運用能力」が勉強に関わる理由
実際、勉強のほとんどは言語を通じて行われています。
問題文を読む、解説を理解する、学んだことを記憶に定着させる、といった学習に関する行為には、すべからく言語が介在します。
したがって、言語運用能力が低いと、問題文や解説の意味がなかなか把握できなかったり、知識をなかなか覚えられなかったりと、どんなに良い勉強法を取り入れても、効果は半減してしまいます。
想起もうまくいかなくなる
例えば、これまでの記事で繰り返しご紹介してきた「想起」という勉強法があります。覚えたことを言葉として取り出す(思い出す)行為です。
その際、頭の中にイメージや感覚として何かが浮かんでいても、それを言語化できなければ、効果的な想起はできません。「なんとなく分かっているけど、うまく言えない」という状態がまさにこれです。
さらに言えば、言語化できないということは、その内容がまだ腑に落ちていない(理解と結びついていない)ということでもあります。記憶の研究では、内容を理解に結び付けて覚えたものほど、記憶に定着しやすいことが示されています(Craik & Lockhart, 1972)。
言語化できない知識というのは、いわば、その知識が輪郭がにじんだまま頭に入っている状態です。輪郭がにじんでいるものは、取り出そうとしてもうまく掴めませんよね。つまり、想起を鍛えることと言語運用能力を鍛えることは、表裏一体なのです。
ただし、正直に言うと、「知識の不足」と「言語運用能力の問題」は、截然と分けられないことがあります。
知識が増えると、その知識を基に推測が効くようになるため、問題文の意味が分からないという悩みが自然と減ることもあります。したがって、問題文が読めないと感じているなら、まず知識を固めることが優先です。その上で、それでも解消されない「読めなさ」が残るとき、言語運用能力に目を向けてみてください。
受け答えのズレに、すべてが現れる
筆者は、難関大専門の学習塾でも指導をしていますが、長年の経験から、ある気付きを得ています。
それは、成績が伸びる生徒は、受け答えが的確であるということです。
例えば、こんなやり取りがあります。
「先週の課題はできましたか?」
「課題って、ノートにやるんでしたっけ?」
一見、会話は成り立っているように見えます。
しかし、よく見ると「できましたか?」という問いに対して、直接答えていません。ずれています。
問題を解くとは、突き詰めれば「問いに対して適切に答えること」です。したがって、日常会話でこのようなズレが生じている人は、問題文を読む際にも同様のズレが起きやすくなります。
逆に言えば、的確な受け答えができる人は、
話し手や問題の意図を正確に理解できる(理解力、題意把握力)
答えを、問いの意図に対応させ、かつ文法的に整合させて表現できる(言語化の力)
という力を、日常の中でもう既に持っているわけです。
この話題には、以下の記事(無料)で詳しくご紹介しましたので、ぜひご一読ください。
言語運用能力は鍛えられる
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