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最後はやっぱりコミュ力──デジタルネイティブ世代が商店街で見せたアナログな突破力 @ニノなのに (元教授、定年退職 691日目)

『ニノなのに』に見る世代間ギャップ

嵐の二宮和也さんが司会を務める TBS 番組『ニノなのに』は、「ギャップ」を検証するバラエティです。以前、note でも一度取り上げたことがあります(12/2/2025)。その回は、昭和・平成・Z 世代の三つ巴で、都心から茨城県笠間市まで「ナビなし・スマホなし」で誰が最速で到着できるかという企画でした。私は当然、紙地図に強い昭和世代が圧勝するだろうと思っていました。ところが結果は、道ゆく人にどんどん声をかけ、得た情報をもとにルートを最適化した Z 世代の勝利でした。「固定観念をカットしてご視聴ください」という番組コメント通り、ドキュメントとしても見応えのある検証でした。今回行われたのは、タレントの菅田琳寧(すげた りんね)さんが挑む「給料日前の3日間を 1000 円で生活する」という、なかなか過酷な企画です。似た企画は昔からありましたが、時代が変わったいま、27 歳の Z 世代タレントが何を考え、どう乗り切るのかが気になり、視聴することにしました。(タイトル写真、下写真もどうぞ:注1)

『ニノなのに』で、3日間を 1000 円で生活する企画(注1)


昭和の大学生だった私が、節約企画で少し胸を熱くした理由

考えてみれば、私も大学時代に似たような “ピンチ” を何度も経験しました。もちろん 50 年近く前で物価も違いますから単純な比較はできませんが、「千円札1枚で1週間」をやりくりしたこともあります。そういうとき、まずやるのは自宅の食料探索です。親から送られてきた季節外れのそうめんが、なぜか奥から出てきたりします。食べ方を工夫すれば、それだけで何日かはしのげます。次に頼るのは友人です。金欠仲間の下宿に転がり込むわけですが、ここが難しいところで、仕送りのタイミングはだいたい皆同じです。それでも、米どころ出身の友人や、農家の家の友人がいると数日はなんとかなりました。積極策としては、賄い付きのアルバイトが最強でした。肉体労働はしんどいのですが、当時の私は体育会系でしたので「まあ何とかなる」と思ってやっていました。しかも、賄いが美味しくて量も多いのです。こちらががっついて食べると喜んでくれて、帰りに残りを持たせてくれることすらありました。そして、アルバイトがない日は商店街探索です。今と違って個人商店が多かったので、話をするといろいろ融通してくれました。パン屋では切れ端の「パンの耳」を無料、もしくは 10 円で譲ってくれますし、八百屋では形の悪い野菜を安くしてくれます。一番ありがたかったのはキャベツでした。1玉あると下宿で大きく4つに切り、数人でソース・マヨネーズ・ケチャップと味を変えながら食べたり、炒めてみたりと、いろいろ工夫できました。今思うと、昭和の学生は貧乏や空腹を「笑い」や「たくましさ」に変えていたのだと思います。親にはとても言えない無茶な暮らしでしたが、楽しくて仕方のない時代でもありました。


昭和と令和の比較が面白い

一方、最近の大学生活はどうでしょうか。まず、四畳半の下宿は減りワンルームマンションになりました。銭湯はユニットバスに置き換わり、生活の “前提” が大きく変わっています。加えて、学生たちは総じて計画的で、「3日間を 1000 円で生活する」ほど追い込まれた状況にはなりにくいとも聞きます。SNS で「貧乏飯」レシピを共有したり、いわゆるポイ活で現金を補填したりと、ハイテク・サバイバル術も当たり前になりました。大学側の制度的な介入も特徴的です。たとえば大阪の国公立大学では、「ミールシステム(プラン)」というサブスクがあり、年度初めに親が生協の食事代を割安で前払いする仕組みがあります。少し過保護にも見えますが、実は裏の効用があり、きちんと大学に行ってご飯を食べているかが親にも伝わるという、持ちつ持たれつの構造になっているのです(ご飯だけ食べに来る学生もいると聞きましたが・・・)。「朝早くだけ無料」「100 円朝食」などの試みもあり、昭和とは違う形で学生生活を支えています。


菅田さんの目標は、あくまで「ディアボロ風チキン」

番組に戻ります。予算は3日間で 1000 円。拠点部屋にある最低限の調味料・調理器具の使用、そして電気・ガス・水道の使用は可。人からお金を借りることは禁止で、生活の限界を感じた時点でリタイヤとなるのが条件でした。菅田さんは挑戦前からとてもポジティブで、「せっかくの機会だから楽しみたい」と語っていました。さらに、消化がゆっくりで腹持ちが良いタンパク質を中心に食事計画を立て、最終目標として「高タンパクの鶏胸肉を使ったディアボロ風チキン」を作ることまで掲げたのです。節約企画でありながら、豪華なゴールが設定されているのが新鮮でした。(下写真もどうぞ)

1000円以外に、拠点部屋での厳しい条件も(注1)


「スマホ」と「足」で掴み取ったもの

挑戦1日目、菅田さんはスマートフォンを駆使して、駅周辺のスーパー4軒と精肉店2軒をリストアップします。交通費を節約するため、約 3.5km 離れた駅まで、気温3度の大寒波のなか自転車で移動しました。道中では個人経営の魚屋を見つけ、マグロのアラを無料で、血合いを 100 円で翌日入手できるという情報を得ます。その後も八百屋や精肉店を回り、店主の温情でキャベツを 50 円、格安の納豆を 50 円、スープ用の豚骨を 40 円で手に入れました。さらに複数の店をはしごして、きしめん、そば、もやし、豆腐、ニンニクなど計8品を 309 円で購入し、残金は 691 円。午後2時に帰宅し、自己流で「豚骨醤油風そば」と「キャベツのサラダ」を完成させ、「最高!」と満足げに食べていました。午後4時には渋谷のリハーサル現場まで再び自転車で疾走し、夜8時半まで練習。帰宅後は豆腐の照り焼きステーキと、それを食パンで挟んだ「豆腐サンド」を調理して、1日の疲れを癒やしていました。なお、この日の自転車移動距離は合計 15 km にも及んだそうです。(下写真もどうぞ)

初日の健闘の様子(注1)
練習や自転車移動。そして夕食。あと2日(注1)


挑戦2日目も、店主の厚意で鶏皮などをサービスしてもらうなど、食材調達は順調に見えました。ところが練習中に膝を負傷し、病院で「自転車の使用を控えるように」と診断されてしまいます(二宮さんは「本当か?」と疑っていましたが、笑)。そして最終日。膝の怪我というハンデを抱えつつも、当初の目標である「ディアボロ風チキン」の完成を目指します。鶏胸肉の価格上昇、玉ねぎのバラ売りが見つからないなどの壁に直面しながらも、電話での調査を駆使し、前日までに手に入れた材料と組み合わせて、予算内で食材を揃えることに成功しました。(下写真もどうぞ)

菅田さんは膝を負傷し車移動。二宮さん疑う(笑)(注1)
最後のご飯は「ディアボロ風チキン」。そして、挑戦を振り返る(注1)


節約企画のはずが「人と繋がる企画」だった

3日間の 1000 円生活を完遂した菅田さんは、最後の食事を終え、感謝の言葉とともに挑戦を締めくくりました。そして、「一見、節約企画のように見えるが、実際は人とコミュニケーションを取ることの重要性を学ぶ機会だった」と語ります。困ったときに手を差し伸べてくれる人の温かさを、身をもって感じたというのです。私もまったく同感で、前回の「ナビなし旅」もそうでしたが、この番組は結局のところ「人とのつながり」が勝敗や達成を決める場面を映し出していました。デジタルネイティブが武器にしたのはスマホだけではなく、最後はやはり “人に聞く力” だったのです。私自身も、昭和の貧乏学生時代に商店街で助けられた記憶がよみがえり、少し胸が熱くなりました。それでは、また。(上写真、下段もどうぞ)


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注1:TBS 番組『ニノなのに』の特集「3日間を 1000 円で生活する」より


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