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味の素ギョーザ、カトキチうどん、ザ★シュウマイ!──なぜ人はこの冷凍食品に熱狂するのか? (元教授、定年退職856日目)

冷凍食品ランキングTOP3を深掘りします

昨日、テレビ朝日『THE 世代感 昭和~令和の冷凍食品ランキング!家庭に革命を起こした冷食 No.1 は?』で紹介された、「主婦 300 人が選んだ革命を起こした冷凍食品ベスト 10」について綴りました。番組では、冷凍食品が誕生したきっかけや技術開発の舞台裏など、ほかではあまり聞けない話を知ることができ、とても楽しく視聴しました。前回はランキングの第4位から第 10 位までをご紹介しましたので、今回はいよいよトップ3の登場です。第1位と2位は、まさに絶対王者と呼ぶにふさわしいツートップでした。第3位は少し意外に感じましたが、商品を思い浮かべると、なるほどと納得できるランクインです。いずれも私の大好きな商品ばかりでした。今回も盛りだくさんですので、早速始めたいと思います。(下写真もどうぞ)

『THE 世代感』で冷凍食品ランキング。トップ3の登場(注1)


「家でも食いてぇ」が売上を爆発させた──ザ★シュウマイの CM 戦略

第3位に選ばれたのは、味の素「ザ★シュウマイ」でした。ほかには昭和に発売された商品が多いなか、こちらは 2015 年発売という比較的新しい商品です(ちなみに、同社が冷凍シュウマイに参入したのは 1972 年です)。この商品については、何といっても CM の影響力が絶大だったと思います。俳優さんが街中の混雑した食堂に入り、一般的なものの約2倍もある大ぶりのシュウマイを、からしを溶いた醤油につけて豪快に頬張り、その後に白いご飯をかき込むのです。最初に出演した俳優の小栗旬さんが「これが家で食えたなら・・・」とつぶやくと、「食えます、今夜食卓で」とナレーションが入ります。現在は Travis Japan の松田元太さんが「母ちゃん、これ家でも食いてぇよ・・・」とつぶやき、「食えるわよ」と返されます。いずれのCM も、店でシュウマイと白いご飯を豪快に食べる姿を見せることで、シュウマイは夕食のおかずになるという印象を強く植え付けたのです。私もあの映像に、一瞬で心を奪われました。また、暖色系が一般的だった冷凍食品売り場で黒いパッケージを採用して本格感を強調し、パッケージの形もそれまでの横長から正方形に変更されています。こうした工夫によって、それまで弁当の隙間を埋める副菜や小鉢として扱われることの多かった冷凍シュウマイは、夕食の主菜として急速に人気を集めました。この市場の変化は、2015 年には全国に3店舗しかなかったシュウマイを中心とする飲食店が、2025 年には 150 店舗以上に増えるという潮流の一因にもなったそうです。(タイトル写真、下写真もどうぞ:注1)

「ザ★シュウマイ」は、CM通り確かに美味い!専門飲食店まで増加(注1)

冷凍シュウマイを主菜にした日

かつての冷凍シュウマイには、すり身のようで肉感の少ないものもありました。しかし、「ザ★シュウマイ」には大きくカットした肉が使われ、圧倒的な食べ応えを実現しています。さらに工場の様子を見ると、シュウマイに入れるタケノコも人の手で選別されていました。小さいものや形の悪いものを取り除き、心地よい食感が得られる部分だけを残しているのです。こうした「おかず革命」と「大きさ革命」によって、シュウマイは夕食の主菜という地位を獲得したと番組では紹介されていました。(下写真もどうぞ)

「ザ★シュウマイ」は、圧倒的な食べ応えを実現している(注1)


讃岐うどんのコシは、冷凍でこそ輝く!

第2位は、テーブルマークの「カトキチさぬきうどん」でした。乾麺やチルド麺が主流で、冷凍食品への偏見も強かった時代に、「讃岐うどんのコシは冷凍でこそ再現できる」と考え、冷凍麺にこだわって開発された商品です。私も初めて食べたとき、その強いコシに驚きました。シェア約5割、年間約6億食を生産するテーブルマーク、旧・加ト吉は、冷凍技術を強みに 1974 年、「冷凍讃岐うどん」を発売しました。特に 1988 年の瀬戸大橋開通に伴う讃岐うどんブームをきっかけに、売上が爆発的に伸びたそうです。

「カトキチさぬきうどん」が築いた、絶対的なコシへの挑戦

その製法では、職人の技を工学的に数値化し、機械で再現することで、手打ちに勝るとも劣らない品質を実現しています。うどんのコシは、茹でたての麺の表面にある水分率約 80% の粘りと、中心部に残る約 50% の芯との「水分傾斜」によって生まれます。そのため、マイナス 30℃ 以下で急速凍結し、この水分分布を固定しているのです。生地作りでは「真空ミキサー」を使用し、生地に残る気泡を除去します。それによって緻密なグルテン構造を短時間で形成し、茹でムラを防いでいます。さらに、生地を縦横交互に延ばす「綾・熟成法」により、あらゆる方向に均一な弾力とコシを持たせます。その後、約1時間半熟成させることで、なめらかさと透明感を生み出しているそうです。麺を切る工程では、職人の動きを再現した「包丁切り」を採用しています。麺の断面をわずかにくびれた形にすることで、出汁の絡みと口当たりを向上させているのです。調理方法も進化しました。2008 年に導入された個別のピロー包装により、内袋に入れたまま電子レンジで加熱できるようになりました。お湯を沸かす必要がなくなり、調理時間も短縮されたことで、「究極の時短・簡便食」へと進化したのです。(下写真もどうぞ)

私も「カトキチさぬきうどん」の絶対的なコシに驚いた(注1)


「うまく焼けない」という声が生んだイノベーション

第1位は、「味の素 ギョーザ」です。1972 年の発売開始以来、年間売上約 200 億円、冷凍餃子市場 29 年連続売上第1位を誇る絶対王者です。発売当初は成形技術に限界があり、餃子の表面には「ひだ」がありませんでした。しかし、1996 年にひだを作る成形機を導入し、見た目も本格的に進化しました。その後、消費者から寄せられた「うまく焼けない」という声を出発点に、調理の負担や失敗の原因を一つずつ取り除いていきました。そして、「油なし、水なし、羽根つき」で調理できる商品へと進化し、「手作りを超えるおいしさ」と「誰が焼いても失敗しにくい手軽さ」を両立させたのです。個人的には、2012 年に実現した「水なし・羽根つき」の革命が大きかったことを覚えています。餃子の底面にコーティングされた「羽根の素」は、水、脂質、でんぷん、小麦粉などを乳化させたものです。加熱するとそれが溶け出し、まず餃子全体を蒸します。その後、残った油分と粉体成分が加熱によって変化し、こんがりとしたパリパリの羽根を自動的に作る仕組みです。(下写真もどうぞ)

家でも失敗しなくて、美味しい!水なし、羽根つきの原理(注1)

世界を驚かせたギョーザのおいしさ

味にまつわる話題としては、東京 2020 オリンピックでの出来事があります。選手村の食堂で提供されたこの餃子が、アメリカ代表選手らの TikTok 投稿をきっかけに、「世界一おいしい」と世界中に拡散されたのです。大会期間中の消費量は想定の4倍に達し、国内外で大きなブームを巻き起こしました。個人的には、このシリーズの「しょうがギョーザ」が大好きです。以前にもどこかで書きましたが、コロナ禍の際に大量に買い込んだことを覚えています。


最後に、冷凍餃子は現在も改良が続けられています。番組によると、今年2月には、ついにフタを使わずに調理できるようになったそうです。フライパンのフタを持っていない世帯の増加や、洗い物を減らしたいというニーズに対応し、フタがなくても皮をもちもちに仕上げ、油はねも抑える技術を開発しました。企業努力のすさまじさに驚くばかりです。それでは、また。


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注1:テレビ朝日『THE 世代感』の特集「昭和~令和の冷凍食品ランキング!家庭に革命を起こした冷食 No.1 は?」より

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