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【EPISODE:1】 グラフィックデザイナーが考えるシンプル・イズ・ベスト。

“シンプル・イズ・ベスト”という言葉があります。

一般的には「無駄を削ぎ落とした、単純でプレーンなものが最も優れている」という意味で使われ、複雑な装飾や機能よりも、本質的な状態にこそ価値があるという考え方を表す言葉です。

【EPISODE 0】の投稿で、私はブランドの目指す姿としてミニマムな美しさという言葉を使いました。しかし、私が考える“ミニマム”や“シンプル”は、単に見栄えがすっきりしていることだけを指しているわけではありません。

誰もが当たり前に使うこの言葉ですが、私は本業であるグラフィックデザインの現場で経験を重ねる中で、少し違った視点で捉えるようになりました。

例えば、スーパーのチラシをイメージしてみてください。【大特価!】と書かれた赤い太文字、99円という数字が、紙面いっぱいにこれでもかと敷き詰められ、商品や価格の情報がギュウギュウに掲載されています。


では、このスーパーのチラシは
“シンプル・イズ・ベスト”と言えるでしょうか?


私の答えは、迷わず“Yes”です。


実は学生の頃や駆け出しのデザイナーだった頃は、広告年鑑や賞を獲得するような洗練されたデザインばかりに目を奪われていました。『チラシはごちゃごちゃしていて、デザインとは呼べない』と思っていた時期もあります。

しかし、グラフィックの現場でデザインの本質を学び、経験を重ねた今なら自信を持って“Yes”と答えられます。

なぜなら、私にとってデザインにおける“シンプル・イズ・ベスト”とは、見た目の飾り気がないことではなく、「情報の伝わり方がシンプル(=速い)かどうか」だと思うからです。

もしスーパーのチラシが、すっきりと洗練されたレイアウトに上品で小さな黒文字で値段が書かれていたらどうでしょう。きっと誰も【安い!お得だ!】とは一瞬で感じないはずです。

【お得感を一瞬で伝える】という目的のために、あの泥臭いレイアウトには必然性があります。雑音がなく、伝えたい情報が速く最短で届くこと。それこそが、視覚伝達における真のシンプルさです。


見た目の引き算と、体験の引き算は違う

だからといって、私がチラシのようなデザインのギアを作りたいわけではありません。 世の中には“ミニマム”や“シンプル”と謳う素晴らしいプロダクトがたくさんあります。私自身、洗練された無駄のない美しいデザインが大好きです。

しかしその一方で、自らミシンを踏み、作り手としてプロダクトに向き合う時、ふと立ち止まることがあります。 「ただ見た目をすっきりさせただけ」「パーツを減らしてシンプルに見せた気になっているだけになっていないだろうか?」と。

表面的に言葉として“シンプル”という言葉で満足するのではなく、それが「本当に使う人のためになっているか」をどこまでも問い続けたいと思うようになりました。

もしパーツを無造作に減らした結果、現場で扱いづらくなったり、バテて思考力が落ちているときに余計な工夫を強いられるなら、それはハイカーの行動を複雑にしてしまっています。見た目がシンプルでも、体験としてはシンプルではありません

私が目指すのは、単なる見た目の引き算ではなく、行動の引き算(ノーストレス)です。

山の中で迷わず扱えること。 欲しい機能にアクセスでき、悩まないこと。ハイカーの行動をいかにシンプルにできるか。私はそこを突き詰めていきたいと思っています。

裁縫やプロダクト作りにおいては、私はまだ試行錯誤を続けるチャレンジャーです。けれど、長年、視覚伝達(グラフィック)の世界で「伝える本質」と向き合ってきたからこそ、妥協したくない部分です。

単なる外野として意見を持つだけでなく、自らプレイヤーとして、ハイカーの行動に寄り添う「ノーストレスな道具」を探求していきます。


このnoteでは、ブランドを立ち上げるまでの思想や、自作ギア(MYOG)の試行錯誤を綴っています。 共感していただけたら、ぜひ「スキ」や「フォロー」で一緒に見守っていただけると嬉しいです。


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