『認識』§ #恋愛ショートショート2
淡い間接照明の温度は、
部屋の片隅を離れがたくさせた。
乾いていた浴室で、
偉大な文豪が快活だった頃のエッセイを読んだ。
それらに照らされながら、
わたしは床に寝ころび、世界を認識した。
帰りの飛行機で、わたしの隣の席だけが1つ空いていた。
鏡を見ながら、白く四角いイヤリングをつけた。
5人の男が、空港のタクシー降り場から順に降りてくる。
平凡を心から嫌う彼らの魂と共に、
わたしは、一本の赤いスカーフを首に巻いた。
辞書に一本の赤い線を引く。
「認識」という言葉を、連れ帰ったと思い込んでいた。
「あの人たちは、貴女にとって誰だったか。」
だったら、なんだというのか。
引き込まれた思いの
美麗な赤さを、わたしは「認識」と呼ぶ。
薔薇の吹雪を幾つか見た。
愛を導く薔薇の吹雪は、その現象に出逢うたびに、
わたしに終幕を許さなくなってゆく。
わたしの世界は、美麗な赤に揺らぐ夢である。
そう認識するたびに、わたしは強くなってゆくのだろう。
