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『もっきり』の街、小樽。

小樽、と聞いて皆様は何を思い浮かべますでしょうか。
運河、寿司、ガラス細工、オルゴール、半身揚げにあんかけ焼きそば…

等々、挙げたらキリがない、漁業、商業、文化、そして観光の街、小樽ですが、今回はすこし昔の話。
『もっきり』文化にスポットを当てたいと思います。

◆そもそも『もっきり』とは何か。

グラスを升の中に置き、なみなみと注がれたお酒。こういう注ぎ方、姿を『もっきり』と言ったりしますね。

こういうやつ

今回の『もっきり』はそちらではなく、いわば角打ちを指します。
角打ちと言わず『もっきり』と呼ぶのは、一升=10合を1合グラス10等分で切り売りしていたため、盛り切り(もっきり)が由来とか。
(『角打ち』の呼称は西日本発祥と言われており、これが時間をかけて全国に広まっていたのですね。)

◆『もっきり』が盛んだった小樽・手宮地区

『もっきり』を提供する酒屋が多かった、手宮地区の山の上(小樽桜陽高校の下など)には、青函連絡船の官舎や国鉄の官舎がありました。
当時にして約1,000人の職員や漁師が住んでおり、この方々がメイン顧客。
現在はいずれも姿を消しており、工業地域化も進んだことから、『もっきり』を提供する店は一軒、また一軒と姿を消しました。

◆「モッキリセンター」は、屋号。

ところで、札幌はバスセンター駅近くに、その名も『第三モッキリセンター』という酒場があります。
が、こちらは屋号。HPを見ると、「モッキリセンター」を掲げる店が増えてきたため、あえて『第三モッキリセンター』の屋号に変更したそう。

『もっきり』と『モッキリセンター』の違いは、ざっくり言うと酒屋か、居酒屋か。
『もっきり』はあくまで、酒屋さんの量り売りという点がポイントです。

◆小樽でしか買えない酒は『宝川』だけではない!?

話を小樽に戻して、今小樽には造り酒屋が何軒あるでしょうか。
日本酒ファンならずとも、(広義の)ボイロファンならご存じですね。
わずかに1軒。年がら年中トド岩送りにするのが仕事と勘違いしている高校生、小春六花の生家…の、モデルとされている田中酒造さん。(銘柄は主に宝川など。)
この1軒のみです。

田中酒造内観 潮風高校の3人組が飾られています

では、小樽で販売されている、小樽でしか買えない日本酒は?…となると、話が変わります。
その例が、先の『もっきり』と繋がります。
現在は酒屋さんに絞って営業をされている、錦町の島影商店さんです。

島影商店外観

島影商店さんは昔からの縁で、新潟は糸魚川の酒蔵、
地酒好きなら一度は口にしたことがあるはず。加賀の井酒造さんに、オリジナルの日本酒を仕込み、卸して貰っていました。
しかし、地名や蔵の名前でピンときた方もいらっしゃるかもしれません。
2016年12月に発生した「糸魚川大火」で、酒蔵は全焼。
2018年春より再稼動し、新しい蔵で少しずつ出荷を再開している状況です。

ご多聞に漏れず島影商店さんに卸されていた、独自銘柄のお酒もようやく再開したところ。
以前は純米酒と純米吟醸を扱っていたそうですが、現在は純米吟醸のみを少しだけ卸して貰っているとのことです。
銘柄は「おたる島影」。酸がやや強く、すっきりと飲める辛口タイプ。
(錦町or手宮バス停からすぐ。小樽みやげにもおすすめです。)

加賀の井とおたる島影 飲み比べも楽しい

◆『もっきり』を体験したい!

今でも『もっきり』を提供されている酒屋さんはあります。
が、あくまで地元の方の憩いの場として営業されているケースが多いよう。
そんな訳で、観光で来られるにもご紹介できるのは、このお店。
「酒商たかの」さんです。
小樽の街中に本店(1階が酒店、2階が飲酒スペース)。そしてなんとも便利、小樽駅併設店舗があります。※札幌にも支店あり。
なお、本店と駅併設店舗では、営業時間やルールが異なるので、事前確認のうえ、足をお運びください。

小樽の酒文化、『もっきり』。
地域と地域を繋ぎ、触れるほど当時の情景が見えてくる文化的財産。
小樽を訪れることがありましたら、ちょっと思い出してみてください。
素敵な一献との出会いがあるかもしれません。

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