該当作梨 #毎週ショートショートnote
ある日、作家K氏の家に一つの箱が届いた。開けると梨が数個、紙のリボンが巻かれた高級品だ。
だが、よく見るとそのリボンには筆文字で『該当作梨』と書かれている。
K氏は文学界の権威ある賞、芥木賞で選考委員を務めていた。どうやら芥木賞が今期「該当作無し」と発表したことへの当てつけか。
『洒落が効いているじゃないか』K氏は梨を食べようとしたが、妻から「毒でも仕込まれていたら」と制止され、警察に届け出ることに。
数日後、警察から連絡が入った。毒物は無く、他にも犯罪となるような問題はなかったとのこと…。
納得のいかないK氏が探偵に調べさせると、やがて贈り主が判明した。あるカルチャーセンターの文芸教室に通う男だ。
文学オタクが、芥木賞の「該当作無し」とは何事と義憤に駆られての行動か。では、この男はどんな作品を書くのだ?
K氏は文学教室の合評誌を手に入れた。「彼の作品は…?」目次を辿ると、そこにはこうあった。
「該当作梨」。
(了)(410文字)
たらはかに様の企画に参加させていただきます。
