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おとぎ話診療所 #毎週ショートショートnote

 夕暮れ、男はぼんやりと歩いていた。上司からの嫌がらせの日々に男は疲れ切っていた。
 やがて男が街はずれに来るとそこには古い建物。看板には「おとぎ話診療所」の文字。
「何だろう…」すると引き戸が開き、出てきた看護師らしき女性が言った。「お入りください」
 診察室に白髪の医師が待っていた。「今日の貴方にはこれだね」と一冊の本を看護師に手渡す。ベッドに寝かされると、看護師はその本を朗読し始めた。
(…これは確か『ブレーメンの音楽隊』だ。昔、母に読んでもらった…)
朗読は続く。
「…僕たちと一緒に来た方がいい。僕らはブレーメンに行くんだ。どこに行ったって死ぬよりはましな事を見つけられるよ…」男は眠りに落ちていった。
 どのぐらい眠ったのか、看護師に起こされ、男は診療所を後にした。心は少しだけ軽くなっていた。
 帰り際に渡された紙にはこう記されていた。『心が疲れたら「おとぎ話」を。「おとぎ話」には、貴方を癒す不思議な力があるのです』

(410文字)

たらはかに様の企画に参加させていただきます。

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