感想/Summer of 85

アレックスの回想が現実の時間軸に近づいていけばいくほど切なくなった。強い魅力を持つダヴィドとの鮮烈な日々は結末を知っている身でも確かに永遠のように感じられたし、実際それがアレックスの見ていたものでもあったのだろう。
同性という自分の予想していた範疇外でかつ初恋であったというのが重なれば、ダヴィドを自分の運命の相手だと思うのも無理はない。全部が初めてだっただろうし。
女装のシーンはなんだか悲しくてアンバランスで、ちょっとだけ滑稽。

こういう青春系同性愛の映画で主人公の精神が前向きな形で終わるのは珍しい気がする。仲違いをしてそのまま二度と会えなくなってしまった、というのはやりきれないし後悔が残るものだけど、そういう運命的な出会いと悲劇的な事故を経験した主人公は成長を遂げ、おそらく完全に自分の中で昇華しきったことが視聴者にも伝わるから後味は全く悪くなかった。


2人の口論の最中に見せたデヴィドの涙がものすごく気になる。あれはデヴィド役のBenjaminによるアドリブだというのは知っているが、どういう意図で監督がOKを出したのかを知りたい。このまま行くと2人とも傷つくから、そうなる前にあえて強い言葉をかけてこれ以上本気にならないように、これ以上傷つかないようにするためだったのか?

BenjaminとFelixのインタビューも読んだ。

Benjaminのダヴィドの死についての回答、“自分は役者だしその場面を演じたわけでもないから彼の心情を語れる立場にない”というのはなかなか冷めてるというか、とても客観的な視点で少し笑った。Felixの回答は実に的を得たものだなと思う。

インタビュー記事に載っている写真もいいね。2人が船の上に乗っている写真なんかは潮風で傷んだ家の棚の上に飾ってありそうな、そういう趣を感じる。

監督が読んで衝撃を受けたという原作にも興味があるので読んでみようと思う。Dance on my grave. おれの墓で踊れ!




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