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群読公演【心縁-みより-】を終えて

2026年7月16日〜19日の4日間。新中野ワニズホールにて行われた、遊藝集団音色主催 第3回群読公演『心縁-みより-』が無事に終演いたしました。

終演から2週間ほど経ってしまいましたが、今年も無事に事故なく終えられたのは、お越しいただいたお客様、応援してくださった皆様、出演者・スタッフの皆様のおかげです。本当にありがとうございました!

今回の公演、私自身が《遊藝集団音色》の正式メンバーとなってから初めて挑む本公演でもあり、今までにないプレッシャーもあったのか、無事に終えて気が抜けた途端、精神的にも体調的にも崩れてちょこっと寝込んでおりました……😂(ちょっと情けないですが、それだけ懸命に挑んだんだな、と思うことにします!)

反省点は山ほどありますが、悔いは一切ありません。考えすぎて苦しかった瞬間もありましたが、それも含めて全力で向き合えた公演でした。

今回は4チーム制のシャッフルキャストでの公演。私はAチームで、ピエタの友子を。冬の星座では若尼僧を。Cチームで、ピエタのナレーションを。冬の星座では不良少女をやらせて頂きました。

今回上演した浅田次郎先生の『ピエタ』と『冬の星座』は、私にとって約8年前にも経験のある、とても思い入れの強い2作品です。当時の私はまだ舞台に立ち始めたばかりのぴよぴよ🐣な新人で、特に『ピエタ』の友子役は、どこか気持ちをキャッチしきれないまま後悔を残して終わってしまった苦い記憶がありました。(冬の星座では、確か友部の妻のおばちゃん役をやった気がします…!)

だからこそ「今回こそはリベンジを!」と意気込んで挑んだのですが……友子はやっぱり、一筋縄ではいかない超難解な人物でした。2回目なのに分からないことだらけで、稽古中はずっと「自分の中の友子」が見つからず、不安で焦りまくっていました😖💦(稽古や舞台裏で、できない〜!や、気持ちがのらない…など、弱音を吐いてしまったのは大反省です……(´-ω-`;)ゞ私の悪い癖😥)

けれど、8年前に出会った時から、私はこの『ピエタ』という作品と、不器用な「友子」という存在がどうしようもなく愛おしくて大好きでした。苦戦しつつも、あの頃受け止めきれなかった友子と再び向き合える時間は、やっぱりワクワクするものでもありました。

そうして久しぶりに友子と深く向き合う中で、まず初めに気がついたこと。
それは、友子って……なんて言うか、ものすごーーーく「頭が良い人」なんだろうな、ということでした。

ずっと頭の中で思考がぐるぐると動いている人。頭の回転も早くて、常に自分自身に何かしらを言い聞かせ続けているような、そんな気がしたんです。(そんな友子の思考を作り上げたのも、きっと母親なんだと思う)
《生きていくこと》に対しては、母親の千代子さん同様にすごく不器用で、とても生きづらそうではあるけれど……。そういうところが、なんというかすごく「人間らしいな」と、私は思いました。

そして、友子の母親に対する執着心の根強さ。
あれだけ求めても戻ってこなかった母親を何度も信じては、裏切られたと感じて……。そんなことを何度も繰り返すうちに、友子の心はすり減っていったでしょう。心のどこかでは何度も諦めようとしたこともあるんじゃないかな。

それでも、子供にとって親の存在って恐ろしいほどに大きく、嫌でもどうしたって心の大半を占めてしまうもの。友子とは違う人生ではありますが、自分自身の幼い頃のことを少し重ね合わせながら、向き合ってみました。

友子は、母親のことが本当に大好きだったのだと思います。だからこそ、別れ際に母が残した言葉は呪いとなって胸に突き刺さり続けた。母に認められたい一心で、必死に必死に生きてきたんです。たった一人の母親だけを求めて。

「いい子にしていれば、母が帰ってくる」

それだけを信じて必死に生きてきた友子は、自分で自分を褒めることも、誰かからの愛を素直に受け取ることもできなかった。だって、母親だけを求めて、母親に褒めてもらうことだけを求めて必死に生きてきたから。ずっと……穴の空いたバケツのような心で生きてきたのではないか。自分で自分を認められないのは、本当にしんどいことです。
友子の異常なまでの執着心、そして捻れて屈折した心はこうして出来上がっていったのだと、私なりの答えに行き着きました。

そして、さらに悩んだのはここからでした。
「ここまで屈折した友子が、なぜ最後、母親を認め、許し、前を向けたのか?」

ミスター・リーの純真で真っ直ぐな愛を受けて、まるで生まれ変わったかのように変化する友子。24年間もの屈折した思いが、一瞬にして変わったようにも見える展開です。

リーさんの愛がどれほど真っ直ぐで力強いものだったとしても……正直、それだけでは納得がいきませんでした。「もにょっと」したんです(笑)。8年前にも、もにょっとしたけど、あの時は目の前の友子を演じるだけで必死だったので、今回は本当に悩み抜きました。

そして行き着いたのが、後半のホテルでのリーさんとのシーンでした。
友子が生まれ変わるキッカケになるあの場面で、友子はきっと生まれて初めて……自分のありのままの気持ちを吐き出せたのだと思いました。

絶対的な存在だった母親に認めてもらえない自分なんて、生きている意味がない。実際24年振りに会った母親は、自分のことなんて少しも気にせずに、母自身の人生を謳歌している。どうして。あんなに頑張ってきたのに、母には何も届いていなかった。母は何も見てくれていなかった。悔しい、悲しい、許せない。もうどうしたらいいのか分からない。すべてを、自分自身を、跡形もなく壊してしまいたい——。とっくに壊れていた友子は、母に会ったことにより、より自分を完璧に壊してしまいたくなったのではないかな。自分ではもうどうすればいいのか分からないから、それを(自分を破壊すること)リーさんに託そうとした。リーさんは、そんな友子の破滅的なSOSに気づいてくれていたんじゃないかなぁ。(リーさん、本当にすごい人です。流石、友子のアンジェロ…笑)

「壊してほしい、めちゃくちゃに。お願いだから」と懇願する友子に対し、嘘のない真っ白な愛を力強くぶつけてくれたリーさん。
そこでやっと、友子は自分の心を受け止められたのだと思います。

『私、寂しいの…』

このセリフは、友子がようやく幼い頃の自分の傷を受け止められた瞬間だったのだろうと思います。ありのままのリーさんの心に触れて、やっと気がついた…友子の真っ白な気持ち。私が一番大好きなシーンであり、セリフです。

子供の頃についた心の傷や経験は、大人になってからの生きづらさに大きく影響するものだと、私自身も実感しています。だからこそ、このシーンで友子が自分自身をやっと受け止められて、本当に良かったと心から思えました。友子は、リーさんと出会えて本当に良かったですね…😂

友子の人生の大半を作ったのは、間違いなくあの母親でした。
屈折した友子は「そんな母親に作られた自分が幸せになるなんて嫌だ」と拗れまくっていましたが(笑)、あの母親がいたからこそ、今の誰からも愛され必要とされる、そんな奇跡のような人生や経験があったのだと……そう思えるようになった友子の成長に、深い愛おしさを感じています。

そんな「生き方の奇跡」を感じられたからこそ、友子は母親の不器用さや、そこにあった愛情の存在にもようやく気づくことができたのだと思います。

『周りの人がどんなに母の人生を否定しても、自分だけは全てを理解している。そんな母を愛しているし、私は母の娘であることを誇りに思っている。お母さんがいたから今の私がいて、リーさんとも出会えたんだ』——と。

物すごい激変ですよね(笑)。
いや、物語なのでかなり急激な展開に見えますが(笑)、でも人が本当に変わる瞬間って、案外これくらい一気に花開くものなのかもしれないとか、思ったり。

自分の気持ちを素直に自分で受け止められたからこそ、友子は大きく一歩を踏み出せたのだと思います。
誰かからの愛情や評価だけを頼りに生きていると、人間って不思議と立っていられなくなってしまう。そればかりを気にしたり求めたりしがちですが、「自分で自分を受け止めること、癒すこと」「自分を肯定すること」って、本当に大切なことなんだなと。……これ、私自身の長年の課題でもあるのですが、友子が身をもって教えてくれた気がします(笑)。

実は、母親に対する友子の「あなたの人生を理解している」~辺りの解釈には、私なりの強い思いが入っています。5年前にコロナで亡くなった私の父に対する思いが、かなり重なっていたりします。私にとって父は、まさにそういう存在でした。(父を求め続けたというより、父が居て色々なことを経験させてくれたからこそ、今の私が居るというかね笑)だからね、私がこうして芝居できているのも、父の存在があったからこそなんですよね。悔しいけど、感謝しています(笑)

こうして友子は、ピエタのナレーションの中にもある『惨めな自分の栄光』にもしっかりと終止符を打つこともできて。ありのままの自分を受け止め、愛することを決めて、「ありのままを受け止めて」と教えてくれたリーさんのことも愛していこうと決心できた。そして、母親への愛は一生ものだということにも、きっと気がついたのかな……と。

きっと今後、友子が母に会うことはもう無いのかなと思っています。母もそれを分かっていたんじゃないかな。
日本に戻ってリーさんと本当に結婚したのか、その先友子が幸せになれたのかは分かりません!(笑)まぁでも、一筋縄ではいかない友子さんなので、きっと紆余曲折ありつつも、隣でリーさんは笑ってくれてるんじゃないかなぁ。人間ですから、生まれ変わったといって、全てが都合よく変わるわけでもないだろうしね(笑)。でも、きっと新しい人生を力強く歩み始めていったのだと思っています。

──と、めっちゃ色々書いちゃいました!
書いてみて気がついたのですが、私、こんなに色々と考えていたんだなぁ……!(笑)
お芝居をしている最中はこんなこと頭では考えていなくて、「とにかく友子になりたい!」という気持ちだけで立っていたので、言語化してみて自分でもビックリ🤣

Cチームでは、そんな友子の心情を伝えるナレーションもやらせていただきました。
ナレーションでは、とにかく友子に寄り添いたくて。友子に幸せになってほしくて。演者さんのお芝居をじっくり聴きながら、心を合わせていけるように集中しました。

『ピエタ』の意味を調べると「哀れみ」や「慈悲」と出てくるのですが、ただ悲しい・辛いだけではなく、最後は前を向けられるような温かい慈悲に溢れた、友子に寄り添えるナレーションを目指して頑張りました。群読のナレーションは本当に奥が深いです……。2年前の公演でナレーションデビューしたばかりなのでまだまだぴよぴよ🐣ちゃんですが(笑)、すごく楽しかった!

そして……実は本番直前に気管支炎になってしまい、咳が止まらなくなったり、ピエタに気持ちが集中しすぎてしまったりして、『冬の星座』がねぇぇ!!正直なところ、気持ちを乗せきれない場面が多くて……。登場シーンもセリフも短いからこそ、一瞬で集中して出し切らねばならない役だったのに、出し切れなかった部分があったのが正直すごく悔しいです。冬の星座も大好きなお話だからこそ、おばあちゃんに対しての思いをもっともっと出したかった。ごめんなさい、今更の懺悔……!うーん、悔しい…!どんな役でも、どんな時でも、その役の思いを出し切りたいものです。(;`皿´)グヌヌ

ものすごーーーく色々書いちゃいました。(主に友子のことを!笑)

今回の公演でも、たくさんの課題を見つけることができました。またひとつ、本当に素敵な経験を積ませていただいたことに、心から感謝です!
今回いただいた経験をしっかりと次に繋げていけるよう、これからも日々精進の気持ちで頑張りたいと思います。

……でも!とりあえず!
公演が終わってから自分のことを全然褒めてあげられていなくて、落ち込んでばかりいたので(笑)、
「私、めちゃくちゃ頑張ってたじゃん!!」と、まずは自分自身を思い切り褒めてあげたいと思います🤣✨

ここまで長文を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!
全ての皆様に、心からの感謝を込めて。

これからも《遊藝集団 音色》の群読活動を応援していただけたら嬉しいです。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!

みけれいこ

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