260317 確固たれ
今日のプレイ・リストから 513
"Stand Firm"「確固たれ」
シャバカ
ワールドミュージック
びっくりしました。シャバカ・ハッチングスは「現代UKジャズ界の最高峰」とまでいわれるサックス奏者だったんですね。前作"To The Moon"の内省する穏やかな感じから、木製フルートを吹く、気のいい素朴なおじさんぐらいに思っていました。いやぁ、知らないということは恐ろしい。
それにしても、一時期、サックスを手放したのはなぜでしょうか。
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シャバカはロンドンに生まれましたが、6歳から15歳までバルバドスで過ごしました。父が移住を決意したのです。父はアフリカ人の手でアフリカを統合しようとする汎アフリカ主義を標榜する詩人でした。今もバルバドスは汎アフリカ主義の中心地の一つです。
クラリネットを学んだシャバカはロンドンに戻り、名門ギルドホール音楽演劇学校でクラシック音楽の学位を取得します。一方でジャズ・ミュージシャンを育成する団体トゥモローズ・ウォーリアーズにも所属しました。
その後、27歳でバンド、サンズ・オブ・ケメットとしてデビューしました。ツイン・ドラムのアフロビートに乗ったアグレッシヴなジャズです。他にもプロジェクトにかかわりながら、34歳の時にヒット曲に恵まれます。イギリスの音楽賞、マーキュリー賞にノミネートされました。
しかし、2022年、38歳の時にソロEP"Afrikan Culture("k"はアフリカ諸言語での表記)"を発表しました。一転、スピリチュアルなアンビエント・ジャズへ傾倒します。翌年には、ついにサックス休止を宣言してしまいました。ツアーでサックスを吹くことに疲れたと言っていました。それで、木製フルートを吹くようになっていたわけです。
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今年3月に新しいソロ・アルバム"Of The Earth"が発表されました。ツアー中のホテルや空港、バスの中などで録音した音をエイブルトン・ライヴというDAWで再構築した作品です。木製フルートも吹いていますが、何曲かで激しいサックスも吹いています。
シャバカは戻ってきました。しかし、「現代UKジャズ」シーンに、ではないようです。180BPMほどの高速リズムに合わせたサックスと木製フルートのドラマチックな掛け合いを聴いていると、「地球の」音楽として汎アフリカ主義の地平に「確固たる」信念をもって立っているような気がします。
