【ステイホーム】#10 娘、N中へ通学できなくなる
令和3年(2021年)1月2日。次女が自室から出てこない。昨日の元旦は寝正月だったから気づかなかったけど、調子良くないみたい。おめでたいムードは我が家には無かった。そっとしておく。
1月7日、冬休みが明けていよいよN中のオリエンテーションの日が来た。次女は朝6時に起きて弁当を拵えてくれた。それも親の分まで3人分も(姉のは無し)。その日は無事に登校し、帰ってきてから家族4人で正月らしくボードゲームなどして、終始ご機嫌だった。
ああ、N中、楽しかったんだな。よかったな。これでやっと不登校が終わったんだと思った。
しかし令和3年(2021年)1月8日、2度目の緊急事態宣言が出た。
『新型コロナウイルスの新規感染者数が急速に増加し、年末にかけて首都圏で拡大し、重症者、死者も増え続け、医療体制に支障をきたしています。』と報道された。

2月7日まで継続して不要不急の外出や「3つの密」を控えるようにと言われたものの、前回と違って、学校は一斉休校にならなかった。
それから2週間ほどは頑張って通学してくれた。次女は一年間の勉強のブランクがある上に、学期の途中で入学したから継続的なカリキュラムも途中参加だし、すでに仲良しグループなどできているだろう中での友達づくりも苦労したに違いない。当時はそんなしんどさは全く想像できなかった。高い入学金を払ったのだから、もう親のできる事はこれで完了したはず、と勘違いしていた。
1月25日月曜日、「N中へ行かない。オンラインでやる」と言い出した。
「えっ、どうして?せっかく登校できてたじゃない。何か嫌なことがあったの?」と聞いても「わかんない」と泣くばかり。犬のおまわりさんみたいに困ってしまった。この頃はまだコロナ禍だったので、体調が悪いと言う理由ならば、当日オンライン授業にきりかえても許されたのだ。無理して登校させて集団感染が起きたら大変だから。仮病だとは親も先生もわかっていたが、そう言うことにして「オンライン」ではなく「発熱」で休むことにした。
火曜日は映像のセミナーを見るだけの自宅学習だった。私もテレワークなので、一緒に見ることができた。本当にN中は、なかなか時代感覚のある新しい知識を授けてくれる。公立中学校では、現代の会社員だと当たり前のデジタルリテラシーを忌み嫌って全く使わせない。パソコンはおろかスマホでさえ持ってきては行けないと禁止する。30年くらい時代感覚がずれていると思っていた。公立なんかよりN中で学べる方が、ずっと素晴らしい。ここを選んでよかったと心から思った。
水曜日は登校日だったが、起きてこなかった。
また「登校しない。オンラインにする」とベッドに寝たまま言い出した。本当に調子が悪いのかもしれない。仕方なく発熱(嘘)の連絡を入れる。「何か欲しいものある?」と食べ物について聞いたつもりだったが、彼女の答えは「百均でアイプチを買ってきて」と言うものだった。
アイプチ?そんなもの知らなかった。するとベッドから這い出て何か持ってきて、「これと同じものを買ってくればいいから」と手渡された。小さな三日月状の透明なシールみたいなものがいっぱい台紙に貼ってあるものだった。二重まぶたを即席で作る、使い捨ての両面テープのことだった。浴室の石鹸を置く台に、使い捨てられたこのテープが何十個も貼り付けられていたのを思い出した。
(続く)
