【ステイホーム】#20 一進一退
9月12日(日)深夜、また次女が寝室へ入ってきて床に座り込むやいなや、声を出さずに泣き出した。妻があざといくらい優しい声で「ここで一緒に寝る?」と聞いたが「やだ!」と言う。
「じゃあママが◯◯のベッドに行って一緒に寝てあげようか?」と聞くとまた「やだ!」と言う。「それじゃあ、起きて夜のドライブに行こうか、気晴らしに?」と言って車で街を流しに行った。悪いけど、私は明日は大事な仕事があるので徹夜する訳にはいかない。休ませてもらった。
どうもそのドライブで、2人で話ができたらしい。後から聞いたのだが、N高の出願を見送ってしまったことを後悔していると言う内容だったらしい。それで明けた9月13日(月)に妻がN中のA先生に、つい優先出願の期限を過ぎてしまったが高校に行きたがっているので、なんとかならないだろうかとメールを書いたそうだ。私には内緒だった。怒られると思ったらしい。
翌14日(火)になってテレワーク中の私のところに、A先生から電話がかかってきた。「リンクを送るので、今日中に作文をそのシステムに提出してくれれば、なんとか(N高優先出願受付)できるようにします。2〜3行でいい。内容はあとで書き直せます。今日の16時までに。これは厳守してください。」と早口で言われた。
この時はまだ私は、高校に行きたい気持ちがあったなんて知らなかったので驚いた。
慌てて次女に本気か?と尋ねると「そうだ」と頷いた。では手書きでいいのですぐに作文を書いてと紙に書かせ、それを私がシステムに打ち込んで16時ギリギリに申請ができた。そしてすぐにA先生に申請できたことを電話した。
A先生は大きな声で「よかった!本当によかった〜!!」と安堵されていた。そのあまりの喜び方に、ちょっと私の方が冷ややかになってしまった。おそらくA先生も、内部で骨を折ってくださったのだろうと推測した。たくさんの大人たちがこの子に振り回されているんだなと思った。
その後も、次女は部屋に籠る日々が続いた。公立の中学で校長も交えて進路面談があるらしい。日に日に機嫌が悪くなる。N高の優先出願枠が通ったので、学校案内と出願書類が来た。進路の心配が無くなったのを校長に話せば、三者面談もすぐ終わるだろうに、頑として部屋から出てこない。こういうところが子供なのだ。いくら嫌いな先生でも、ここは方便でささっと済ませればいいのにと思う。結局、面談の日程はドタキャンになった。
緊急事態宣言が解除されて、10月になった。飲食店の酒類提供が解禁になったので、夜の街に人出が多くなった。
担任の先生から「正式な面談じゃなくていいので、顔を見せにきて欲しい」と(妻のLINE)にメッセージが来たが、開かずの部屋のドアは動かない。「先生に申し訳ないからちょっとだけ行こうよ。ママが困るので、お願いします」と懇願するが、無言の拒絶。
さらに1週間後、三度めの先生のお誘い(他の生徒がいなくなる夜まで待機してくださるので、つまりサービス残業)にもかかわらず、次女は投稿拒絶。すると「来週も待つ。もし来週も来てくれなければ、校長先生と一緒に家庭訪問することになっちゃうよ。それは嫌でしょう?」というLINEが来た。親としてもN高出願のために必要な書類の用紙を、担任に渡しに行きたかったのだが延び延びになっている。これではやはり出願できない。もういい加減にして欲しいと頭を抱えた。そろそろ限界だった。
(続く)
