学校の七不思議シリーズ【美咲ちゃんの冒険】
『廊下の鏡のむこうがわ』
こんにちは、みなさん。学校には「七不思議」と呼ばれる、ふしぎなお話がたくさんあります。今日は、わたしの通う小学校で本当にあった、ちょっとこわいけど、不思議なお話をします。
古い校舎の二階の廊下
わたしの名前は美咲(みさき)。小学校2年生です。わたしの学校は、とても古い校舎で、お父さんやお母さんが子供のときから、ずっとここにあったそうです。
学校の二階の廊下の突き当たりには、大きな鏡があります。その鏡について、こんな話があるのです。
「その鏡に映る自分は、ほんとうの自分ではなくて、べつの世界の自分なんだって。そして、たまに、鏡の中の自分が、違う動きをすることがあるんだよ」
これが、うちの学校の「七不思議」のひとつなんです。
雨の日の放課後
ある雨の日の放課後、わたしは図書室で本を借りて、一人で教室に戻っていました。外は雨が降っていて、校舎の中も少し暗くなっていました。
二階の廊下を歩いていると、突然、電気がちらちらとまたたきました。「きゃっ」とわたしは小さく声を上げました。でも、すぐに電気はもとに戻りました。
「よかった...」
そう思ったとき、廊下の突き当たりにある、あの大きな鏡が目に入りました。なんだか、今日は鏡が違って見えます。いつもよりも大きく、そして深く見えるのです。
鏡の中の不思議
わたしは、ドキドキしながらも、その鏡に近づきました。鏡の前に立つと、そこにはもちろん、わたしの姿が映っていました。青いランドセルを背負った、2年生の女の子。
でも、よく見ると、鏡の中のわたしは、なぜかちょっと表情が違うのです。わたしが不安な顔をしているのに、鏡の中のわたしは、うっすらと笑っているように見えました。
「あれ?」
わたしは首を傾げました。すると、鏡の中のわたしも、同じように首を傾げました。でも、その動きが、ほんの少しだけ遅かったのです。
わたしはびっくりして、一歩後ろに下がりました。すると、鏡の中のわたしは、そのまま立っていたのです!
「えっ!」
わたしの声に反応して、やっと鏡の中のわたしも後ろに下がりました。でも、その目は、わたしをじっと見つめていました。
鏡のむこうがわの世界
その時、鏡の中のわたしが、小さく口を開きました。
「こんにちは、美咲ちゃん」
声は、まるで遠くから聞こえてくるような、かすかな音でした。わたしは怖くなって、その場から逃げ出したかったけど、体が動きません。
「こ、こわい...」とわたしは小さく言いました。
鏡の中のわたしは、悲しそうな顔になりました。
「こわがらないで。わたしは、美咲ちゃんのもう一人の自分なの。この鏡のむこうがわの世界に住んでいるの」
「もう一人の...わたし?」
「そうよ。この鏡は、とても特別なの。ふたつの世界をつなぐ入口なんだよ。わたしの世界では、今とても困ったことが起きているの。だから、美咲ちゃんの助けが必要なの」
勇気を出して
わたしはまだ怖かったけど、なぜか鏡の中のわたしを助けたいという気持ちが湧いてきました。
「どうしたらいいの?」とわたしは聞きました。
「この鏡に触ってみて。そうしたら、わたしの世界に来ることができるよ」
わたしは、震える手を伸ばして、鏡に触れました。するとびっくり!わたしの手が、まるで水面に入るみたいに、鏡の中に入っていったのです。
冷たい感触がして、でもなぜか心地よかったです。わたしは目を閉じて、勇気を出して、体全部を鏡の中に入れました。
鏡のむこうの学校
目を開けると、わたしは同じ学校の廊下にいました。でも、なにかが違います。色が少し薄くて、音も遠く聞こえます。そして、窓の外は、雨ではなく、きれいな夕焼けでした。
「ここが、わたしの世界よ」
鏡の中のわたしが、笑顔で言いました。近くで見ると、彼女はわたしとそっくりだけど、髪の色が少し違っていました。
「わたしは美鈴っていうの。美咲ちゃんとちょっとだけ名前が違うでしょ?」
「うん、似てるね」とわたしは答えました。
「実は、この世界で大変なことが起きているの。みんなの笑顔が消えてしまったの。学校の子たちも、先生も、みんなしょんぼりしてるの」
笑顔を取り戻す冒険
美鈴ちゃんに連れられて、わたしたちは校庭に出ました。そこには、元気なく遊んでいる子どもたちがいました。でも、みんな笑顔がありません。
「どうして笑顔がないの?」とわたしは聞きました。
「それはね、校舎の屋上に住んでいる『かげムシ』が、みんなの笑顔を食べてしまったからなの。でも、かげムシは、別の世界の人の笑顔は食べられないの。だから、美咲ちゃんの笑顔で、みんなを助けてほしいの」
わたしは少し怖かったけど、みんなを助けたいと思いました。
「わかった。やってみる!」
わたしたちは校舎の屋上に向かいました。階段を上っていくと、だんだん暗くなってきました。
かげムシとの対決
屋上に着くと、そこには大きな影のような生き物がいました。それがかげムシです。
「あれがかげムシ?」とわたしは小さな声で言いました。
「そう。あれがみんなの笑顔を食べる生き物なの」と美鈴ちゃんが答えました。
かげムシは、わたしたちに気づくと、ゆっくりと近づいてきました。その姿は、まるで黒い雲のようでした。
「美咲ちゃん、笑って!」と美鈴ちゃんが言いました。
わたしは怖かったけど、目を閉じて、楽しいことを考えました。お誕生日のパーティーのこと、友達と遊んだこと、おいしいケーキを食べたこと...
そして、大きく笑いました。
すると不思議なことに、わたしの笑顔から、明るい光が出始めたのです!
「そうよ、その笑顔!」と美鈴ちゃんが喜びました。
かげムシは、その光を見て、うなってから、どんどん小さくなっていきました。そして最後には、まるで普通の虫くらいの大きさになって、風に吹かれて飛んでいってしまいました。
笑顔が戻った学校
かげムシがいなくなると、空が明るくなりました。そして、校庭から子どもたちの楽しい声が聞こえてきました。
わたしたちが下りていくと、みんなが笑顔で遊んでいました。
「ありがとう、美咲ちゃん」と美鈴ちゃんが言いました。「あなたの笑顔のおかげで、みんなの笑顔が戻ってきたよ」
わたしはとてもうれしくなりました。
「わたしも、みんなの力になれてよかった」
帰り道
「そろそろ、美咲ちゃんの世界に帰る時間だよ」と美鈴ちゃんが言いました。
わたしたちは、また鏡のところまで戻りました。鏡には、わたしの世界の廊下が映っていました。
「また来てね。今度はもっと楽しいことをしようよ」と美鈴ちゃんは言いました。
わたしはうなずいて、鏡に手を伸ばしました。冷たい感触がして、そして、わたしはまた自分の世界の廊下に戻ってきました。
振り返ると、鏡の中で美鈴ちゃんが手を振っていました。わたしも手を振って、それから教室に戻りました。
学校の七不思議の真実
それからというもの、わたしは時々、二階の廊下の鏡に行って、美鈴ちゃんと話をするようになりました。
鏡のむこうがわの世界は、わたしの世界とよく似ているけど、少しずつ違うことがあります。でも、どちらの世界も、友達や笑顔の大切さは同じなのです。
学校の七不思議は、こわいだけじゃなくて、新しい発見や友情の物語でもあるんですね。
もしあなたの学校にも、大きな鏡があったら...そのむこうがわには、もう一人のあなたが、笑顔で待っているかもしれませんよ。
『あなたの学校にも不思議な場所はありますか?』
おしまい
この「学校の七不思議シリーズ」はフィクションです。実在の人物・団体・事件などとは関係ありません。
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