「名物誕生」に関わる「常連」は、どこにいるのだろう?
テレビで「あんバター」のことを取り上げていた。
刑務所の中
「あんバター」に関して、いつも聞いている妻はうんざりしていると思うけれど、ほぼ自動的に思い出す話がある。
著者が刑務所に入った経験を、びっしり書いたメモを元にして制作した漫画作品だが、この中で、あんバターに関するエピソードが出てくる。(正確には「あんマーガリン」だけど)。
刑務所の中では、そこまでどれだけ酒を飲んだりしていても、食べるものは決まっているし、普段は甘味もそれほどない。だから、たまにメニューとして登場する「あんマーガリン」は、服役中の男性みんなが、とても喜ぶ食品になっている、という話だ。
人類の体は、甘さを欲するようにできている、ということを実証しているような話として、「あんバター」という単語を聞くたびに、自動的に思い出してしまうほど、とても印象が強かった。
あんバター誕生
最初に触れたテレビ番組「マツコの知らない世界」で、「あんバター」は、名古屋発祥。それも、「常連」が、バタートーストにぜんざいをつけている姿をヒントに作ったものらしい、という由来が語られていた。
また「常連」だった。
「常連」と新メニュー
この「あんバター」に限らず、その飲食店の「名物」の由来が語られているときに、かなりの確率で登場するのが「常連」さんだった。
「常連」がメニューにないものを作ってくれないか、と頼んでくる。「常連」が、それまでにないメニューの組み合わせを提案する。
そのことによって、誕生した、その時の「新メニュー」もしくは「裏メニュー」が、いつの間にか評判を呼んで、その店の「名物」になる。
それは、メニューを最初に提供する側だけではなく、その店側の良さを「食べる側」として熟知している「常連」が、すでにそこにある「店側の力」をフルに使うには、どうすればいいか。
そんな冷静な判断だけではなく、おそらくは、これができるのなら、これも食べたい、という欲望をベースにした、「実現可能」でも、店側では、思いつきにくい「新メニュー」を提案するから、「名物」になっていくのかもしれない。
そう考えると、「名物」という存在は、料理も、作る側だけでなくは、食べる側がいてこそ、そこで初めて成立する、ということを、比較的、分かりやすく表していることかもしれない。
そんな「名物誕生」に関するエピソードは、数限りなく聞いた気がするのだけど、そういう「常連」が誰なのか。そういう具体的なことを耳にしたことは、ほとんど記憶にない。
「新メニュー」を提案して、それが「名物」になるような「常連」は、どこにいるのだろう。
「常連一族」の存在について
もしかしたら、自分が無知だったり、視野が狭くて知らないだけかもしれないが、それだからこそ「常連」に対して、想像が少しふくらむ。
「名物」の話をする時に、「常連」が注文してものを形にしただけ、という話が出た時に、その「常連」さんは、この〇〇さんです、といった、紹介されるシーンを見た記憶はほとんどない。それは、「新メニュー」を提案した「常連」さんは、それが「名物」に育つ前に、姿を消しているからではないか。
そして、もしかすると、その「常連」さんは、別の地域の違う店に行き、また「新メニュー」を提案し、「名物」になるきっかけを作っているのかもしれず、さらに、それを繰り返している可能性はないだろうか。
もしかしたら、「名物」まで育つ「新メニュー」を提案できる「常連」は、同一人物、もしくは、かなり少数で、その「常連一族」とも言える人たちは、その国の食文化の底上げに、今も、密かに貢献し続けている。
「常連」が「新メニュー」を提案し「名物」になることは多いのに、その「常連」が具体的に指摘される場合が少ないことを考えると、そんなあまり表に出たがらない「常連一族」がいるかもしれない、といった「妄想」は膨らみやすくなる。
もしかしたら、そんなマンガがあったかもしれない。
(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。
いいなと思ったら応援しよう!
記事を読んでいただき、ありがとうございました。もし、面白かったり、役に立ったのであれば、サポートをお願いできたら、有り難く思います。より良い文章を書こうとする試みを、続けるための力になります。