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付箋の幅について、考えたこと。

 本を読んで、気になるところに貼る付箋は、より細いほうが、より頭が良く見える、と思うようになった。根拠はないのだけど、なぜかそう感じるようになった。

 本を読む習慣がほとんどなかった。大学時代の4年間に、学内にある図書館を一度も利用したことがないくらいだった。それに、付箋を貼る習慣自体も、かなり昔の、自分自身の学生時代には、そんなに根付いていなかったと思う。何十年も前になってしまうが、ページの角を折ったり、赤鉛筆や蛍光色のラインマーカーを引いたりする方が主流だった記憶がある。

 今、普通に使っている「くっつくしおり」としての付箋は、1980年以降の発売のはずだし、販売当初は、そんなに安いものでもなかった記憶がある。だから、普通に使えるようになったのは、「百円均一ショップ」が定着し、そこで、売られるようになった1980年代の後半くらいだったと思う。

 やっと読書の習慣がついてきたのは、40歳を過ぎた頃だった。ちょっとは、まともな人間になろうと、ふと思って、その時に、やっぱり勉強は必要だし、そのためには読書だと決めて、図書館で本を借りて、読むようになった。そのうちに、読む内容をあまりにもすぐに忘れてしまうので、読んでから記録をとるようになった。だから、ここ大事かも、と感じたところに、付箋を貼るようになった。手帳のポケットに付箋を入れて、使う時は、はがして、ページに貼っていた。ちょっと面倒くさかった。

    確か書評家と名乗る人が、ラジオかなにかで話をした時に、付箋の使い方について触れてくれた。その時、付箋を、読む本の裏表紙の裏などにまとめて貼って、そこから一枚ずつはがして、ページに貼ると言っていたので、さっそくマネをした。裏表紙(もしくは表紙)の裏は、付箋でいっぱいになった。そのせいか、貼る量が増えたと思う。ただ、あんまりたくさん付箋が貼られた本は、熱心に読んでいるような印象にもなるが、赤い線を引き過ぎて、どこが重要なのか分からなくなってしまった本のように、ポイントを絞りきれずに、かえって頭が悪い証拠のように思えていた。

ふせんはりつけ

   トークショーを見に行った時、ある作家が、対談相手の著書を目の前の机に置き、その本に付箋が貼ってあったのが見えた。それは10カ所くらいで、定規でひいたようにまっすぐ並んでいないのに、スキがなく、揃っているように見えて、ここ!というポイントを、はずさず貼ってあるようで、すごく鋭いように感じたのは、その作家の作品がすごいと思っていたせいもあったと思う。

 読書の習慣がついてきて、付箋も貼るようになって、しばらくたったころ、「付箋が太いんですね」と言われたことがあった。それまで使っていたのは、幅が25ミリくらいで、紙製のものだった。薄い青とか、ピンクとか、黄色が多く、紙だと、何かしらメモもできるので愛用していた。「太い」と言われた人の本を見ると、ビニール製で、より鮮やかな色で、幅の細い付箋が並んでいた。頭がよく見えた。きれいだった。細いほうが、ポイントそのものを指し示しているように見えた。いつのまにか、ビニール製の付箋のほうが主流になっているのも知らなかった。他の人の本にも、細い付箋が並んでいた。

 それから、ビニール製で、幅の細いものを使うようになった。最高で、3ミリくらいまで細くした。ただ、細い付箋は、はがすときに、粘着力が集中しているせいか、気をつけないとページが破れてしまうことが何度もあった。さらには、何度も使う時には、細いものの方が、貼る力の衰えが早いようにも感じていた。
 耐久力や太さの感じを見ながら、試行錯誤をして、現在、主力として使っているのは、ビニール製で、幅1センチくらいもので、それが裏表紙の裏に並んでいる。書き込みたいときは、主に手帳に貼って使うための、75ミリ×75ミリの正方形の付箋を使っている。

 いま書いてみて、改めて分かった。
 細い付箋のほうが、頭がいいように感じるようになったのは、「付箋が太いんですね」と言ってくれた人が、とても優秀だったせいもあるんだと、気がついた。自分でも、ちょっと笑ってしまうような、シンプルな理由だった。



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