テレビについて㊸「カズレーザーvs.NHK高校講座」------思考する過程の可視化。
夜の午後7時くらいは、やたらとクイズ番組が多く、ちょっとうんざりすることもあるが、視聴率を考えると、こういう選択になるのかもしれない、などと、今だにテレビを見ている視聴者として思う。
ただ、そのクイズ番組を見て、「頭の良さ」について、考えることもある。
クイズ
正解を知っている側が「問題」を出す。その「問題」に対して、回答者側は、基本的にはなるべく早く、その「正解」を答える。
その繰り返しが、テレビ番組などのクイズの基本構造であり、それは、どれだけ知っているのか、それをいかに早く答えるか、という競技になっているのだと思う。
知識の量と、脳内検索の早さと、分からないときの推理。
その能力を競い合っていて、この3つの能力のうちでは「分からないときの推理」が、知性としては最も高度だとも思えるのだけど、時間のなさもあるから、この能力が、クイズ番組で見られることは少ない。(ただ、クイズ番組を熱心に見ていないので、違っていたら、すみません)。
そして、その構造は、残念ながら、21世紀の日本では、受験の構造ととても似ていて、基本的には「知識の量と、脳内検索の早さ」を競う合うようになっていて、だから、その適切なトレーニングを積ませるためには、当然ながら資金が必要だし、そうでなくても、勉強をするための環境を整えられる「豊かな環境」が、昔から有利であることは変わりがない。
だから、階層が固定されがちなのだろうけど、その話はまた別のこととして、そうしたクイズ番組で、視聴者としてもすごいと思っている出演者が二人いる。
伊集院光は、高校中退で、他の出演者の肩書きが「〇〇大卒」となっているのだから、「〇〇中卒」という肩書きになるはずなのに、「知識が豊富」や「クイズに強い」といった微妙な表現になっているから、そこに様々な意味合いが自然と出てきてしまうので、それだけでも出演している意味があると思われるのだけど、もう一人気になるのが「同志社大卒」という肩書を持つカズレーザーだった。
「カズレーザーvs.NHK高校講座」
以前も、この番組は急に放送するので、油断して見逃したりもしていたけれど、今回も、突然見ることになった。
あまり一般的に知られていないことが、「高校講座」の中から出題されるのだけど、「高校講座」は、たまに見ると、自分でも知らないことが多いし、こうしたことまで高校生は学んでいるのかと思うと、そこにうらやましさも感じるけれど、個人的にはNHKのEテレを、授業などで活用はしていた記憶はない。
もしかしたら、「豊かな学校」では、こうした「高校講座」も活用しているのかもしれなくて、そこで、また階層の固定が促されるのかも、といったことも考えたりもしてしまうけれど、その中から出される「問題」は、少なくとも、個人的には「知識」では分からない。
だから、自分が知っていることを、頭の中で集めて、推測する。そして、その推測を、また別の角度から検討し、自分がすっと納得するまで、その繰り返しをする。
そうした思考は、おそらくは、誰でもしているのかもしれないけれど、その過程をカズレーザーは、テレビ番組という前提はあるとしても、なるべく正確に言葉に置き換えながら、考えを進めているように見えた。
結果として、「分からないときの推理の力」の高さを、視聴者は見ることが可能になる。
カズレーザーの知識の量の膨大さは、すごいと思う上に、その材料の組み立て方も巧みで、この人は、頭がいいのだと素直に思えるし、言葉にしてくれることで、視聴者も考えられる。
不正解のときの反応
さらに、すごいと思えるのは、「不正解のときの反応」だった。
東京駅の駅周辺のビルを建て替えるときに、その位置をかなり大幅に変えた理由を答える、という「問題」だったのだけど、カズレーザーは、色々と迷った後に、不正解になる。
ただ、その思考の途中で、正解に近づいた時があり、それに対してアナウンサーは、肯定的に語ったものの、カズレーザー自身は、そこをたどっても自分は「正解」できなかった。それは、視野の広さが足りてなかったから、といったことを話していた。
クイズで不正解の場合に、言い訳のようなことを語る人間が多く、それも仕方がないとは思うのだけど、自分が「正解」に届かなかった理由と、それに必要な考えも把握する過程も、全部、言葉にしてくれているから、視聴者は、ただ「正解」を覚えるのではなく、間違った時にするべき思考していくことについても、考えることもできた。
正解のないこと
おそらく、カズレーザー自身には、そんな面倒臭いことはやりたくない、と言われそうなのだけど、できたら、Eテレとともに、やってほしい番組がある。
「大学の研究」。
そんな番組名で、まだ「正解」がなく、今も考えられているテーマについて、どう考えていけばいいのか。そんな番組を作って、カズレーザーに、その「研究」の思考のようなものにチャレンジしてもらって、しかも、カメラの前で言葉にし続けてくれれば、知性の能力の中で、最も高度だと思われる「まだ分からないことについて考える」ことが、少しでも明確になるような気がする。
さらには、そうした大きな枠でもなくても、何かしらの疑問で、しかも解決されていないこと、どこにも「正解」がないことをテーマにして、それを、カズレーザーがどのように考えていくか。
それは、「正解」という目標に向けて考えていけばいい「高校講座」よりも、質が違って、重い負荷がかかるかもしれないが、できたら、そういう番組を始めてほしい、と今でも長い時間、テレビを見ている視聴者は、勝手ながら、思っている。
Eテレの方々が企画してくれて、カズレーザー氏にオファーしてくれれば、おそらくは実現するように思っています。
よろしくお願いします。
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