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『「新しい」マクドナルドで、ソフトを食べた真夏日』。 2020.6.10

 ちょっとカゼ気味のようで、ノドが痛い。20年くらい前の古い体温計を見つけ、近所の電気屋さんに注文して手に入れたボタン電池を入れたら復活したので、それで体温を測っても、36度だったので、大丈夫そうだけど、それでも、この時期に調子が悪いと、やっぱりこわい。

 妻は、もう1ヶ月以上、ノドに何かがつまっている感じがしている、と不安そうだった。ストレスによる、いわゆる「空気玉」かも、という話をしながら様子をみてきて、そんなに悪化することもなかったけど、完全に治ることもなかったので、今日は午後から二人で隣町の病院に行くことにした。

 天気がよくて、気温が高くて夏のようで、風が強い。
 午後3時過ぎに家を出ると、以前と変わらないように、学生がたくさん歩いている。マスクは、ほとんどの人がつけているのが、昔とは違っている。下校の時間になったみたいだった。

病院の待合室

 病院に着いたら、2人、先に待合室にいる。
 ドアは開いている。
 2人で、入って、少ししゃべっていたら、妻がセキをした。
 距離はとっていたけれど、やや近いところにいたご高齢の女性がマスクをして、立って、歩いて、待合室の外まで移動していった。
 もう1人のご高齢の女性は、名前を呼ばれて、診察室へ入っていく。

 その次に、私が呼ばれた。
 ノドが痛くて、鼻水とくしゃみと、時々セキがでます、夜に寒気がする時があります。
 何ヶ月かに一度、同じような症状で、もう何年も、この病院に来ている。
 体温のことも聞かれ、いつもとほぼ同じ3種類の薬を出してもらうことになった。

 診察室を出たら、若い女性が1人、さらに待合室に増えていた。
 名前を呼ばれたら、ドアの向こうにまで行っていた女性が、受付までは戻ってきて、会計をした。

 妻が呼ばれる。
 いつもよりも長めで、5分以上は、診察室から出てこない。妻は、最近、右手の指が、バネ指になったみたい、と痛みを訴え、手の甲にテープをはるようにようにもなっていた。
 いろいろと、心配なことは増えている。

 診察室から出てきた時、少し表情が柔らかくなっていた。
 そういう、ノドに異物感があるような症状に効く漢方薬を出してくれることになったみたいで、それで、少し安心したみたいだった。

3ヶ月ぶりの「外食」

 せっかく、ちょっと明るい気持ちになれたので、もう何ヶ月も行っていない病院の近くのマクドナルドに行って、ソフトクリームを食べようという話になった。

 午後4時15分くらい。
 外には、ソーシャルディスタンスを訴えるポスターがあり、足元には、そのためのシールも貼ってある。最初は、ちょっと怖いから、買って、外で食べようか、といった話にもなったが、風も強いし、外に歩いている人たちも多く、なんだか活気もスピードもあるので、それはそれで、恐いような気もした。

 2階をのぞいたら、6人いて、距離をとっていて、静かな空間だったので、せっかくだから、3ヶ月ぶりに「外食」をしたくなった。妻と相談して、ここで食べることにする。アルコール除菌は、1階で1回、2階に上がった時に、また除菌して、席につく。200円でソフトを2つ頼めた。ありがたかった。

 6人は、全員男性。明らかに若い人は2名。距離をとっているので、ばらけている感じになっている。店内のイスは、ここは使用しないでください、といった張り紙が、ひとつ置きに貼ってあるから、そのことでソーシャルディスタンスをキープするシステムのようだったので、それに従う。

 静かで、日除けのブラインドがほぼ下されているので、薄暗く、知らない女性シンガーが英語で歌う曲が微妙なボリュームで流れている。明らかに緊張感が漂っている。

 本当に、久しぶりに、外で食べるのに、最初は緊張していた。
 せっかくのソフトなのに、どうして味わえないんだろうと思っていて、だけど、だんだん時間がたつと、なめらかで柔らかくて、これは、スーパーで買うソフトとはやっぱり違うし、と思い始めた。最後は、すごくおいしい、という気持ちになった。

 妻がそんな風に、話していたが、私も同様に思っていた。

「新しい」マクドナルド

 ディスタンスを保つことをお願いするポスターや、足元のシールも、レジにはられたビニールも、一つ置きに座ってもらうためにイスに貼ってあった印刷物も、当然だけど、きちんと大量に作られて、設置されているように思えた。

 まるで、ずっと昔から、店内の他の様々なものと違和感なく、存在していたように見えていた。それは、飲食店が、今のコロナ禍で営業していくための高いハードルが課せられていそうだから、必要なことと分かるのだけど、そうした「新しさ」も、緊張感につながっていたと思う。

 そうしたマクドナルドの対応は、たぶん早かったのだろうけど、でも、こうした「新しい日常」に直結するようなスタイルは、まだ終わる気配もなく、このまま、定着してしまうのではないか、といったような印象まである。

 それは、たくさん人がいて、どこかごちゃごちゃしていて、活気があるのが当然だった場所が、もう戻ってこないのかも、と覚悟させるような状況だった。それは、「新しい」マクドナルドなのかもしれないが、ちょっと寂しさもあった。

 10分少々で、マクドナルドを出たのは、窓が少し開いていて、消毒も完璧にしているとは思うのだけど、それでも、こちらが、勝手に感じていた感覚は、同じ空間に人が複数いる事自体が、距離をとっていたとしても、長く一緒にいることが、少しこわくなっていたせいだった。それは、合理的ではないが、どうしようもなく、そう思うような習慣がついてしまっていると改めて感じた。


 ただ、以前では考えられないくらいの短い滞在時間で、マクドナルドを出たあとで、妻と、そんな話をしているうちに、2人で、ここまで一応は無事に乗り切ってきて、3ヶ月ぶりに、ソフトとはいえ、「外食」できたこと自体に、うれしさが、感じられてきた。


「100円均一ショップ」にマスクがあった。

 帰りは電車を使おうかとも思ったが、午後4時半すぎなのに、駅のホームには人がたくさんいるのが見えた。緊急事態宣言の時には、この駅の近くの大企業はテレワークを徹底したようで、いわゆるラッシュアワーでも、人が閑散としていたのに、今日は、午後5時まで時間があるのに、すでにホームは、微妙に距離をとっているとはいえ、人でほぼいっぱいだった。

 だから、ちょっとこわくて、帰りも、歩いて帰ることにして、そばにある「100円均一ショップ」に寄った。
 店内は、いろいろな年齢層で、けっこう人がいた。

 妻は、私より外出を控えていたので、久しぶりの街の活気に、私よりも恐さを感じていたようで、この店内でも、人を避けるように動いていたが、そうしたことの連続で、けっこう疲労もしていたようだった。

 マスクがあった。100円で、3枚。
 除菌シートも、除菌ハンドジェル(これは200円)も、「一家族一個」といった制限はあったといえ、店頭で普通に売っていた。

 こういう具体的な形を見ると、日常が戻りつつある感じが、強くする。
 
 ビニールのはられているレジで精算をしたら、以前はレジ袋につめてくれたが、今日は、かごにレジ袋を入れた状態で、接触を減らすために、渡されて、あとは自分でつめて、店を出る。


 帰りは地元のスーパーに寄った。
 距離をとって並んで、ビニールのはってあるレジで精算をして、買ったものをつめようとしていたら、高齢の男性が近づいてきて、何かを大きめの声で、こちらへ言っていた。顔を見たら、マスクはあごまでおろされていたので、遠くへ行こうとしたら、ここで大丈夫だよ、と手を使って、さらに大きい声で言っていたので、わりと近い距離で、微妙なこわさを感じながらも、荷物をつめた。その男性は、テーブルの上にロール状になっている、薄いビニール袋を、トイレットペーパーをふんだんに使うように、手に巻き取り続け、たぶん10枚以上は、バッグに入れていた。

 外は、午後5時の音楽が流れていた。
 1000円カットの理髪店は、赤いランプがついているから、満席のようだった。


 ただ病院に行ってきて、約2時間しか外出していないのに、変に疲れていた。
 妻は、外の活気にあてられるように、さらに疲れていたようだったが、ご近所の方に、出かける前に、包丁を研いでもらえると声をかけていただき、預けていたので、その包丁を引き取りにいくために、気持ちがそれて、ちょっと楽になったらしい。

 ちょっと複雑だけど、ありがたい話だった。


(他にも、いろいろと書いています↓。クリックして読んでもらえたら、うれしいです)。

「アフターコロナの図書館」と「新しい日常」。2020.6.12

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