日本人拉致の向こう側

蓮池薫さんが北朝鮮から奇跡の帰国を果たしてからもう直ぐ四半世紀が経とうとしています。これまで秘密のカーテンに覆われていた真実がここにきて明かされようとしています。雑誌「世界」に連載された迫真の内容が新書版で発売されました。

冒頭、最も気になる横田めぐみさんの消息からスタートします。北朝鮮がついてきた嘘、事実を隠すためのさまざまな工作と、帰国を前に用意されたでっちあげのシナリオ・・・・・今更ながら驚くような出鱈目な計画の数々と翻弄され続けてきた拉致被害者たちの命運と北での生活の数々。

ページを繰るごとに想像を遥かに超えた内容には本当に驚かされます。と同時に実名を交えてこれだけの内容を今になって公開した蓮池さんの苦悩も慮られます。まだ依然として北には拉致被害者たちが生活しているはずで、彼らの生活に危険は及ばないのか?日朝交渉に悪影響を及ぼすことにはならないか?ずっと悩み続けていたことでしょう・・・・
ただ、拉致被害者の親世代も高齢に達し時間の猶予もなくなってきています。ご自身の記憶が薄れないうちにとの思いも重なったことでしょう。反面、もっと早くこの事実が詳らかにされていれば・・・・の思いも拭えませんが。

金日成存命の時代に計画された拉致計画はスパイ養成や日本人なりすまし計画など、突飛な目標のために無計画な手法で挙行されました。たまたま、そんな計画の網にかかってしまった拉致被害者たちは閉ざされた過酷な環境の中で、どのように自らの保身を考え、振る舞い続けてきたのか?蓮池さんだったからこそ生き延びることができたとも思える、その行動履歴も気になるポイントです。

下手なサスペンス小説よりもよほどスリリングで、呆れるばかりの政治体制に翻弄される被害者たちの運命は・・・・


実は同時並行してイギリス、オックスフォード大にご留学されていた天皇陛下の手記も読んでいました。全く共通点のない二つの海外渡航、期間も目的も全然違いそれぞれに心に大きな足跡を残した異国での暮らしぶりはとても対照的です。が、年齢もほぼ私と同世代で隅には置いておけない話題だっただけに読まずにはいられなかった2冊です

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