20歳で、父に会いに行った…
ずっとずっと、私は自分に対して、嘘をついて生きてきたんだと思う。
家庭として、機能していない環境下で、私は母の求める人間になる事だけを考えていた。私ではない、母の言う事を無条件で聴く操り人形。そうすれば、母は私に対して殴ったりしないと思ったから、私は私として生きる事をやめた。
20歳で、自殺未遂を図るまで、私はずっと操り人形だった。
「あんたを見ていると、昔の旦那を見ているようでイライラする」母から言われ続けていた言葉だ。昔のお父さんがどんな人なのか?断片的な記憶の中の、父は病的なほど心配性だった。それに、欲に従順で、子供のような人だったように思う。
大人になるまで、父のことは考えないように努めた。気になっても、子供の私にはどうする事も出来ないからだ。だけど…テレビドラマや映画、それに舞台で理想的なお父さん役を見ると、気になってしまう。だから、20歳の時会いに行った。
うる覚えな記憶を頼りに、小学校から登下校の道を歩く。正直、たどり着くのか不安だった。今も、その場所に父が居るという保証もない。だけどーー。
私は、その場所にたどり着いてみせたのだ。あいにく、父は仕事に出ていていなかった。手紙を残して、帰路につく。手紙には自分の名前と、当たり障りのない文章を書いた。
20歳になったので、自分の意思で会いにきました。今も、母と一緒に暮らしています。メルアドと携帯番号を書いておくので、迷惑でなければ連絡してもらえると嬉しいです。
と書いた。母と離婚して、新しい家庭を作っているかもしれない。それなら、それでいい。父には父の人生がある。そんな事を考えながら、連絡をまった。複雑な思いが胸を締めつける。
その日の夜、見知らぬメルアドからメールがきた。父からだった。
今となってはその時の内容は覚えていない。だけど…唯一覚えているのは、そのメールをもらった翌週の休みの日、私は父に会いに行った。駅で待ち合わせをしてーー。
