森の中で、原稿を書いた話……AI時代の「働く場所」を考える【大人の時間を整える、AI生活デザイン術 #07】
一年前、この道の駅を訪れたときのことです。
「観察室」「コワーキングスペース」と書かれた案内を見つけて、心が動きました。
三面ガラス張りで、森が見渡せる空間。
仕事もできる。
でも、そのときは営業終了間際で、利用することができませんでした。
「いつか、ここで仕事をしてみたい」
そのちいさな夢を、心の片隅にしまったまま、一年が過ぎました。
そして先日。
梅雨の合間の、よく晴れた日。
私はPCをしっかり準備して、もう一度この場所に向かいました。
「飲み物・お仕事持ち込みOK」の文字に、ちょっと驚いた

道の駅 やんばるパイナップルの里 安波。
観察室の入口に立つと、こんな案内が目に入りました。
「飲み物・お仕事持ち込みOK」
ああ、本当にここで仕事をしていいんだ。
利用料は、一人340円。
2時間でも3時間でも、お茶を飲みながら、PCを開きながら、ゆっくり過ごしていい。
中に入ると、三面ガラス張りの空間に、ひんやりとしたエアコンの空気。
そして視線の先には、森が広がっています。
他の利用者は、ほとんどいませんでした。
最初に少し別のお客さんが入ってきましたが、すぐに出ていかれて、気がつけば、妻と二人。
森を独り占めしているような時間が、静かに始まりました。
PCを開いて、原稿を書き始める。
ガラスの向こうには、揺れる葉、飛び交うトンボ、ときどき顔を出すシンケンイモリ。
そのコントラストに、最初は少し戸惑いました。
こんな贅沢な場所で、本当に集中できるのだろうか。
実はあの記事も、ここで生まれていた
種明かしをすると、この観察室で書いた原稿は、いくつかあります。
週刊yasu 6月21日号の構想。
そして、オリオンビール工場のヒガさんを書いた #04 の記事。
いつもの机ではなく、森に向かって、原稿を書いた時間でした。
普段、私は執筆に入ると、何時間でも休まずに続けてしまうクセがあります。
気がつくと首が痛い、肩が固まっている、ということがよくあります。
だから普段は、時間を決めて休憩を取るようにしているのです。
でも、この日は違いました。
妻が、合間を見つけては、ガラスの向こうの生き物を見つけて、教えてくれるのです。
「あ、トンボが羽休めしてる」
「メダカが、すーっと泳いだよ」
私は普段から、妻と二人体制で仕事をしています。
この日も、妻はnote関連の作業を手伝ってくれていました。
でも合間に、自然の様子を伝えてくれる声が、私の集中の合間に、ちょうどよくリラックスタイムを連れてきてくれたのです。
意識して休憩を取らなくても、自然に呼吸が深くなる。
緑や動物を眺める時間が、こんなに心をほぐしてくれるとは思いませんでした。
ちなみに、別料金のコワーキングルームも併設されています。
中を見せていただきましたが、設備も整っていて、こちらも魅力的でした。
鳥の声を、届けたいと思う人

ふと気づいたのは、観察室の中にも、レストランにも、売店にも、同じ映像が流れていたことです。
ヤンバルクイナのライブ配信を編集した、おすすめシーンの動画。
▼Webサイトの公開動画はこちら
モニターの近くに掲示されていた案内を読むと、24時間、森の様子をYouTubeでライブ配信しているとのことでした。
なぜ24時間なのだろう。最初は不思議に思いました。
でも、観察室で過ごす時間が長くなるにつれて、私なりの答えが見えてきました。
ヤンバルクイナは、道の駅の営業時間内には、ほとんど姿を見せないのだそうです。
早朝や、日が沈むころ、またはその後。縄張りを守るためのルーティンが、その時間帯にあるのだと。
つがいで現れていた2羽に、最近、雛が2羽生まれて、いまは4羽で現れることもあるそうです。
営業時間内に来てくださった方には、ヤンバルクイナの姿を見せてあげられない。
それが申し訳ない、あるいは残念だ。
そんな思いから、24時間のライブ配信が始まったのだろうと、私は思いました。
見せてあげたい、という気持ち。
それが、テクノロジーを、ただの機能ではないものに変えていました。
▼ライブ配信映像はこちら
やっぱり、人の温かさが、場所を作っている
一年越しの夢が叶った場所は、誰かの夢も支えていました。
私は森の中で、原稿を書いている。
どこかの誰かは、画面越しに、森を見ている。
どちらの時間も、人の心遣いに支えられている。
「どこでも働ける」と「どこからでも見られる」が、同じ場所で重なっていることに、少し胸が熱くなりました。
おわりに
「どこでも働ける」が、ようやく実感になった日でした。
そしてその「どこでも」は、誰かの思いが作ってくれていたのです。
私が持ち帰ったのは、新しい働き方の感覚と、その背後にある、人の温かさでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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