40年ぶりの伊計島で、変わらなかったもの……サトウキビ畑の話【大人の時間を整える、AI生活デザイン術 #09】
沖縄から地元に戻って、数日が経ちました。
慌ただしい日常が戻ってきたなかで、ふと思い出す景色があります。
今日は、そのなかの一つ、40年ぶりに訪ねた伊計島で見た、変わったものと変わらなかったものの話を書いてみます。
沖縄滞在も、後半に入ったある日のこと。
もともとはチャーリータコスへ立ち寄る予定だったのですが、その日は木曜日で定休日。
だったら、ここから足を伸ばしてみようか、ということになりました。
伊計島は、沖縄本島の東の端。
海中道路を渡って、いくつかの島をつないでたどり着く島です。
学生時代、私はこの島に何度も通っていました。
けれど、卒業してから一度も訪ねる機会がないまま、気がつけば40年が経っていました。
その日、車を走らせながら、妻に「じつは40年ぶりなんだ」と話しました。
伊計島へ向かう海中道路の様変わり

海中道路に入った瞬間、まず驚いたのは道の広さでした。
私が知っていた海中道路は、対面1車線ずつの、合わせて2車線の細い道です。
それが今は、対面2車線ずつの4車線に拡張されていて、真ん中には橋のワイヤーがそびえていました。
途中には海の駅もできていて、車を停めて休める場所になっています。
ニュースで知っていたはずでしたが、実際に走ってみると、想像以上の様変わりに驚きました。
「ずいぶん立派になったよ」
隣で妻が、はじめての海の景色に見入っていました。
海面がすぐそばに広がる、独特の道路です。
淡いミントのような海の色が、どこまでも続いていました。
島の中の道は、変わっていなかった

伊計島にたどり着くには、途中でいくつかの島を渡っていきます。
海中道路が様変わりしていたぶん、島の中はどうだろうかと思いながら走っていくと、道の様子が急に変わりました。
対面1車線ずつの、狭くくねくねと曲がる道。
両脇には、道路に覆いかぶさるように雑草が生い茂り、その奥にはサトウキビ畑が広がります。
ああ、ここは、変わっていませんでした。
40年前に何度も走ったはずの景色が、そのままそこにありました。
道の広さも、両側の緑の勢いも、記憶のなかのものと、地続きの空気でした。
数えられないぐらい、通った伊計島
学生時代、私はサークルの仲間10人から15人ぐらいで、この島に何度も来ていました。
「今日、伊計島行くぞ」
そう言われるたびに、遠いなあ、と思いながらも、楽しみでした。
途中で食材や飲み物を買い込み、みんなで海辺に集まってバーベキューをする。
それが、私たちの遊び方でした。
沖縄の人は、あまり昼間には泳ぎません。
日が暮れる頃か、朝方の涼しい時間帯に、長袖と長ズボンで、海に浸かるようにして泳ぎます。
真昼に真っ赤に日焼けしている観光客を見て、「あれはちょっと大変だね」と話していたのを覚えています。
「どのくらいの回数、行ったの?」
妻に聞かれて、少し考えました。
「もう、数えられないぐらいだね」
そう答えながら、遠い日の情景が、いくつも浮かんできました。
有料になったビーチと、パーラーの記憶

島に入り、伊計ビーチの駐車場まで車を進めました。
40年前は、無料で誰でも入れる場所でした。
けれど今は、しっかりと受付があり、有料になっていました。
驚きはありましたが、時代の流れなのだろうと思いました。
無料のまま維持し続けるのは、たしかに難しいことなのだろうとも思いました。
車を降りて、駐車場のあたりを少し歩きました。
近くにあるパーラーで、当時、沖縄そばの焼きそばのようなものを食べた記憶が、ふっと蘇ります。
その味までは思い出せないのですが、あの日の空気だけが、そこに残っているようでした。
ビーチには入らずに、車に戻りました。
今日は、ビーチで泳ぎたくて来たわけではありませんでした。
また来たい、ではなくて
帰り道は、あえて高速道路を使わずに、東海岸を走って戻りました。
信号の少ない、静かな道です。
海を右手に見ながら、40年ぶりの島の余韻を、ゆっくりと反芻していきました。
「また来たいね」
たしかにその気持ちもありました。
けれど、それ以上に、目的を果たせた満足感のようなものが、静かに広がっていました。
40年前に置いてきたものを、そっと確かめに行けた。
これで一区切り、と思える感覚でした。
変わったものと、変わらなかったもの
海中道路は、大きく様変わりしていました。
けれど、島の中のくねくねした道と、両脇のサトウキビ畑は、40年前とほとんど地続きでした。
変わったものと、変わらなかったものが、同じ場所に共存している。
その両方に出会えたことが、今回の伊計島訪問の、いちばん大きな贈り物だったのかもしれません。
40年という時間は、長いようで、短いのかもしれないと思いました。
そんなことを、静かに考えた1日でした。
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