ホームセンターで出会った暗黒竜|多肉植物の名前が厨二病すぎる!第壱話
すぐ影響される人は、自己肯定感が低いだのなんだの言われるが失礼な話っである。それだけ考えが柔軟で、好奇心旺盛なのだ。
先日、カハリーさんの記事を読んで『多肉植物』に興味を持った。
ぽってりとしたプニプニ感が可愛いし、水やりも少なくていいらしい。この「少なくていい」という言葉で、めんどくさがり屋の私でも育てられる気がしてくるから不思議である。
さっそく勉強がてら、ホームセンターの園芸コーナーへと向かい「これが多肉植物か〜」と見ていた。
小さくてええやん。
ぷくぷくしとるな。
なんか桃みたいやな。
植物に詳しくない人の感想など、ありふれたレビューか食べ物に寄るかしかない。しばらく眺めているうちに、見た目ではなく名札のほうが気になり始めた。

これはまだいい。
「福」という字がついていることで、縁起が良さそうだし、生活の質も良くなりそうである。
ところが次に見つけた名前で、不覚にも笑ってしまった。

……急に失礼やろ。
娘に「ふっくらしてるね」などと言えば、これから先、手を繋いでくれることは無くなるだろう。
さらにその横では、タイムスリップが起きていた。

……時代……遡りすぎちゃう?
なぜ元禄なのか?平成美人でも令和美人でもなく、綱吉の時代。もう多肉植物というより、時代劇の看板女優である。きっと町人たちが「おお、あれが噂の元禄美人か」と振り返ったに違いない。
そんなことを考えながら見ていると、名前の方向性がますますおかしくなってきた。

……ここは、図書館か。
小さな鉢に入っているのに、名前は宇宙規模だ。この子はきっと夜になると、ひとりで星を眺めている。

もうネタの宝庫やん。
癒やしを求めて園芸コーナーに来たはずなのに笑かしにきてる。もはや植物より、槍を持った戦士が頭に浮かんだ。水やりの説明より先に、植物学者さんは“どんな気持ちで名付けたんやろ?”と確認したくなる名前であった。
店内で売られていた多肉植物は、厨二病をくすぐるような名前が並んでた。

完全にRPG終盤のダンジョンや。
園芸コーナーの一角に、魔王軍が陳列されていた。


……もう必殺奥義やろ。
ここまで来ると多肉植物の育て方ではなく、名前ばかり見ていた。
日当たりはどうか。
相性はどうか。
初心者でも育てられるのか。
本来なら、そういうことを調べるべきなのに、頭の中は“暗黒竜を倒すには「刺無牡丹玉石化」と唱えた後に、「残雪獅子」で斬るべきか”と擬人化されている。
普通なら、見た目が気に入った植物を買うだろう。
しかし、影響を受けやすい初心者とはおそろしいもので「どの名前を家に連れて帰るか」という気持ちになっていた。
ふっくら娘を迎えれば、家庭に不協和音が生まれそう。
星の王子を迎えれば、部屋に物語が生まれそう。
暗黒竜を迎えれば、ベランダが封印されそう。
植物を買うというより、仲間を選ぶ画面である。
頭の中が完全に厨二病モードになったまま、ふらふら歩いていると熱帯魚コーナーへ着いていた。何気なく見ていたら、多肉植物のようなプニプニとした金魚がいるではないか。

強そうな名前である。
多肉植物を求めてホームセンターへ行ったはずなのに、名前のついた世界観を、部屋へ持ち帰りたくなっていた。
多肉植物はかわいい。
金魚もかわいい。
育てる前に、まず名前に振り回されている。私は「暗黒竜」か「蘭鋳」の二択で真剣に悩んでいた。
どうやら影響を受けやすい人の最初の壁は“名前の響き”である。
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