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勇気を出して精神科に行ったら教授の技が光ってた話


日々それなりに楽しいこともあるし、愛犬ぷーちゃんはずっと愛おしい。
それでも不安定になることがある。

国内で心の病気で通院している人は30人に1人。生涯で4人に1人がかかると言われている。
がん患者の精神疾患の割合は半数近くになるらしい。(せん妄なども含まれるから、鬱的な症状に限るとどうなのか分からない)
メンタルクリニックを略してメンクリというのも最近知った。
みんなメリクリとツイートしてるのかと思っていた。それはBoAだよね。

心の病気にかかっているか診断をもらうのもなんとなく怖かった。
もしそうだとして、それを認めるのも怖い気がしていた。
それでも、せっかく生きてるんだし、このまま生きるのならもう少し楽しく命をまっとうしたい。
リセットしちゃいたいなんて考えないでいたい。
もっと明るい気持ちでぷーちゃんを愛でたい。
いろんな気持ちがぐるぐるとしていた。

先日ステージ4のがん告知日から7年目を迎えた。(すごいよね!すごいことだとは思ってる)
喜んでくれる主治医の前で、わたしはうまく喜べなかった。
今が言う時だとおもった。
「あの、最近メンタルの不安定さを感じていて、精神科に繋いでもらえないでしょうか」
何かあったかと聞かれ、いま感じていることをゆっくり伝えた。
「よく話してくれました。HELPを出せることが一番大事」
そう言って同じ大学病院内の精神科の予約を取ってくれた。

当日は久しぶりに緊張していた。大学のオリエンテーションを思い出す。
精神科の待合室はいつも血液検査をしに来る部屋のすぐ近くだった。
角を曲がると異空間が広がっているような気がして、マイクラで洞窟の奥へ進む時のような気持ちで臨んだ。
そこにあったのは呼吸器内科と同じ受付と椅子で、電気も普通の明るさだった。
新社会人くらいの年齢の若い女性、母であろう高齢女性に連れられてきている中年男性、会社にいそうな同年代くらいのOL風の人が座っている。電車の向かいに座ってそうな何ら変わりのない人たちだった。
通勤電車の中も、誰も会話しないで、なんでもないような顔で携帯を触ったり、本を読んだり、静かに寝てたりするけど、きっとみんな何かしら抱えている。
そしてここにいる人たちはさらに、抱えているものが抱えきれないほど大きくなってしまって、どうにか生きやすくなるようにと勇気を出して行動を起こしてここにいるんだ。
みんないろいろあるんだなあとおもうと、ハグは大袈裟だけど、投げキッスくらいはしたかった。
投げキッスって死語?もはや秋元康先生の曲でしか出てこなそう。(元AKBファン)

順番が来るまでわたしも静かに椅子に座る。
何度も番号を確認していたら名前で呼ばれた。
こういうプライバシー強みたいな所こそ番号じゃないんかーい!
突っ込みたい気持ちを抑え奥の部屋に案内される。
扉を開けると白衣を着た男性4人が出迎えてくれた。
多すぎるだろーー!!!
さっきの名前で呼ばれるのはまぁいいとして、これは本気で突っ込みたい。
4人は多いよ。緊張しちゃうよ。
大学のオリエンテーションに来たのに私以外mixiでもう既に仲良くなってるやつやん。
これもう転校生やん。

座るよう促してきた医師はホームページで見たことのある顔だった。
そう、教授。
え?教授?
その横にいるのは会話内容をPCに打つ補助的な人で、端にいるのはおそらく研修医たちだ。
そうだった。この時期の大学病院は研修医に観察されるんだった。
少し警戒した気持ちを持ちながら、教授の質問に沿って答えていく。
小さな頃から少しずつ振り返る。
そうして、あの日が近づく。
がんが見つかった時のこと、結婚が流れた時のこと。
いつのまにか私の頭の中は、今のこの場のことよりも当時のことに支配されていって、声が震えていた。
医療従事者であるこの人たちに、医療従事者である彼や彼の家族に否定されたことを話すのが怖かった。
「そりゃ長生きしないって分かっちゃうしね」
そんなことをおもうんじゃないだろうか。
反応しづらくて流されるんだろうか。
そもそもこの人たちは冷静に病状を判断するのが仕事で、わたしだけ乱れてバカみたいなんじゃないか。
そんな気持ちもあって、どうにか淡々と話したいと思っているのに、涙が溜まって言葉に詰まってしまう。

教授が口を開いた。
「そんなのと結婚しなくてよかったんじゃないですか」

え。
想定外の反応に時が止まった。
黙って座っていたイケメン研修医が首振り人形のように猛スピードで頷き続けている。
天使なの?
診断をする、薬を出すという医療行為よりも、その一言、その反応が効いた。
溜まってた涙がきれいに溢れて、先生の真顔にちょっと笑った。

誰が正しいかとか、何がいい悪いとか、先生たちがいざ彼の立場になったら本当は違うとかどうでもよくて、目の前にいる患者の欲しいことばを言ってくれているような気がした。
出来そうで出来ないこと(やらなそうなこと)だとおもった。
教授。さすがです。
この大学病院という白い巨塔の中で、教授にまで上り詰めただけある。

過去のもやもやも残ってはいるけど、長く生きることも見えてきた今、思い描いていた未来とは違う道をどう歩んでいけばいいのか分からないことが辛いことも話をした。
「薬では治らないけど、いろんな人に会って、いろんな場所に出かけて。車が持てるのなら遠出もできるね」
そうアドバイスをくれた。
この状況なら誰でも思い悩むし、人生の一大イベントの多い年代で、まわりの変化と自分を比べて落ち込むのも正常、鬱ではないとのことだった。
結局は自分次第でしかなく、薬でも解決しないのは苦しくもあるけど、勇気を出して行ってよかった。

教授ありがとう。
そしてイケメン研修医、あなたも絶対いい先生になるよ。

わたしAI関連の仕事してるんだけど、この画像が一番良い出来だな。業務で学んだことをここで発揮。

この教授の反応が万人にとって良いとは限らない。
最初に行く病院に自分に合う先生がいるとも限らない。
診断されるのが怖い、認めるのが怖い、そんな気持ちも今でも分かる。
それでも、思い悩むことがあったら、命を投げ出しちゃう前に、何かに頼ることをみんなにしてほしいと思うから、恥ずかしながらここに残しておきます。

鬱じゃないって判断されたのは、元気よく「食欲はとってもあります!」と答えたことにもあるのかが気になっている。


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野口 桃花 人生第二章を歩むための"きっかけ"を与えていただけたらうれしいです。好きなこと、おすすめのものを教えてください。