M5StackChanで使える無料LLM 9つに同じ質問を投げて比較してみた!
こんにちは。最近、M5StackChanにすっかりハマっています。
M5StackChanは、手のひらサイズで可愛らしいだけでなく、AIや音声認識、ネットワーク、IoT、さらにはセキュリティまで学べる、とても奥の深い教材だと感じています。単に「AIと話せるかわいいロボット」というだけでなく、自分で仕組みを調べたり、少しずつ改造したりしていけるところに大きな魅力があります。
正直に言えば、私としても、ゆくゆくはどんどん自分で改造していきたい気持ちがあります。OpenAIのAPIにつないだり、ローカルLLMで動かしたり、自分専用の会話ロボットに育てていく。そういう高度な使い方にも、かなり惹かれています。
ただ、現時点ではまだまだスキル不足です。いきなり本格的な改造に踏み込むよりも、まずは標準で使える範囲をきちんと理解することから始めたほうがよいのではないか、と考えました。
特に私がやりたいことの一つは、台湾華語の会話練習です。そう考えると、必ずしも最初から有料APIやローカルLLMにこだわらなくても、M5StackChanで無料のまま使える中国製LLMをうまく活用すれば、意外と楽に目的に近づけるのではないか。そんな仮説が出てきました。
現在、M5StackChanでは無料で利用できるLLMがなんと9つも用意されています。
「でも、どのモデルを使えばいいの?」「それぞれどんな特徴があるの?」「台湾華語や中国語の練習相手として使うなら、どれが向いているの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、この9つのLLMすべてに全く同じ7つの質問を投げかけ、その回答をスプレッドシートにまとめて比較してみました。
「どのモデルが正確なのか」だけではなく、
「どのモデルが台湾華語・中国語学習に向いていそうか」
「どのモデルが会話ロボットとして自然か」
「どのモデルが知らないことを知らないと言えるか」
そんな観点で見ていくと、思った以上に個性の違いが見えてきました。
この記事では、その結果から見えてきた各モデルの個性や特徴をご紹介します。
比較した9つのLLM一覧
今回検証したのは、以下の9つのモデルです。
Xiaozhi Lite
DeepSeek Quantized
Qwen3 235B (Fast)
DeepSeek V3.1 (Powerful)
DeepSeek V4 (内測)
DuoBao Seed 2.0
GLM 4.7 (Internal Test)
Kimi-K2 (Internal Test)
Qwen3.5 397B (Internal Test)
M5StackChan を改造することなく「AI.AGENT」モードで使える9つのLLMの特徴を表にまとめるとこんな感じになるようです。目安になるかもなのでシェアします。#スタックチャン #StackChan
— 富永道也|デジタル推進委員|台湾×AI (@4989er) May 15, 2026
(ハッシュタグ忘れてたので再投稿) pic.twitter.com/pUxvoWo49E
それでは、早速それぞれの質問と回答を見ていきましょう!
質問1:今の日本の総理大臣の名前、知ってる?
まずは、最新の時事情報をどれくらい把握しているかを確認する質問です。
$$
\small \def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{|l|l|} \hline
\textsf{\textbf{モデル名}} & \textsf{\textbf{回答の要約}} \\ \hline
\textsf{Xiaozhi Lite} & \textsf{「現在のところ直接確認できない」として公式サイトへ誘導} \\ \hline
\textsf{DeepSeek Quantized} & \textsf{「岸田文雄」と回答(古い情報)} \\ \hline
\textsf{Qwen3 235B} & \textsf{「その情報はわかりません」と回答} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V3.1} & \textsf{「インターネット検索できないので最新情報はわからない」と回答} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V4} & \textsf{「正確には把握していない、インターネット検索機能がないため答えられない」と回答} \\ \hline
\textsf{DuoBao Seed 2.0} & \textsf{「確実な情報を持っていないのでわからない」として公式サイトへ誘導} \\ \hline
\textsf{GLM 4.7} & \textsf{「最新情報にアクセスできないためわからない」と回答} \\ \hline
\textsf{Kimi-K2} & \textsf{「すみません、わかりません」と回答} \\ \hline
\textsf{Qwen3.5 397B} & \textsf{「インターネットに接続していないため確認できない」と回答} \\ \hline
\end{array}
$$
考察
実は、ほとんどのモデルが「わからない」「確認できない」と正直に答えました。これはM5StackChan上で動作するLLMがインターネット接続を持たず、学習データのカットオフ以降の情報を持っていないためではなかろうかと。
唯一DeepSeek Quantizedだけが「岸田文雄」と具体的な名前を答えましたが、これは古い学習データに基づく誤った回答です。逆に言えば、他のモデルは「知らないことは知らないと言える」誠実さを持っていたとも言えます。
Xiaozhi LiteやDuoBao Seed 2.0は名前を答える代わりに「公式サイトで確認してください」と誘導する、実用的な対応を見せました。
質問2:インターネット検索できますか?
次に、各モデルがインターネット検索機能を持っているか(あるいは検索機能へのアクセスを認識しているか)を尋ねました。
結果
驚くべきことに、9つすべてのモデルが「インターネット検索はできません」と回答しました。
システム上は検索機能が統合されている場合でも、LLM自身は「自分には検索機能がない」と認識しているケースが多いようです。
質問3:日本語・中国語・英語を混ぜて、初対面の人に自己紹介してください。硬すぎず、でも失礼のない感じで。
この質問では、各モデルの「個性」や「多言語対応力」が如実に表れました。
$$
\small \def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{|l|l|} \hline
\textsf{\textbf{モデル名}} & \textsf{\textbf{回答(原文)}} \\ \hline
\textsf{Xiaozhi Lite} & \textsf{はじめまして!私はスタックちゃんといいます。日本語、中国語、英語が話せます。これからどうぞよろしくお願いします!} \\ \hline
\textsf{DeepSeek Quantized} & \textsf{你好!Hello!I'm your friendly AI assistant, here to make life easier and more fun. 今日は何のお手伝いができますか?} \\ \hline
\textsf{Qwen3 235B} & \textsf{こんにちは、初めまして!私はあなたの新しいお友達です Nice to meet you!お話しできて嬉しいです。よろしくお願いします!} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V3.1} & \textsf{はじめまして!Nice to meet you! 私はAIアシスタントです。I'm here to help you! 日常会話や情報提供など、色々なお手伝いができます。どうぞよろしくお願いします! Looking forward to talking with you!} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V4} & \textsf{こんにちは!私はAIアシスタントです。Nice to meet you! どうぞよろしくお願いします。お役に立てることがあれば、いつでもお声かけください。I can help you with various tasks and conversations.} \\ \hline
\textsf{DuoBao Seed 2.0} & \textsf{はじめまして、AIアシスタントです。日本語・中国語・英語に対応できます。Nice to meet you! I can help with various daily questions and things. 很高兴认识大家,日常的问题或者事务咨询都可以随时来找我哦。普段はチャットでお話したり、調べ物のお手伝いをしたりしています。あなたのペースに合わせて対応するので、何かあったら気軽に声をかけてくださいね。} \\ \hline
\textsf{GLM 4.7} & \textsf{こんにちは!初めまして。I'm so happy to meet you! 我是你的AI助手,很高兴能和你聊天。よろしくお願いします!} \\ \hline
\textsf{Kimi-K2} & \textsf{はじめまして、わたしはAIアシスタントです。大家好,初次见面请多关照。I'm really happy to meet you here! I can handle conversations in 日本語、中国語、English, so no matter what you want to talk about — asking for suggestions, chatting about daily stuff, or sorting out small problems, just feel free to tell me. I hope we can have a nice chat together!} \\ \hline
\textsf{Qwen3.5 397B} & \textsf{こんにちは!Nice to meet you. 私はあなたのAIパートナーで、毎日のおしゃべりやちょっとしたお手伝いが得意です。请多关照,让我们一起度过愉快的时光吧!} \\ \hline
\end{array}
$$
考察
どのモデルも指示通りに3言語を混ぜて自己紹介をしてくれました。
注目したいのは各モデルの「個性」の違いです。Xiaozhi Liteは「スタックちゃん」というキャラクター名を名乗る愛らしい回答。DeepSeek Quantizedは中国語から始まる活発な印象。Kimi-K2は3言語を最も自然かつ流暢に切り替えており、多言語力の高さが際立ちます。DuoBao Seed 2.0は3言語すべてに丁寧な説明を加え、最もボリュームのある自己紹介を披露しました。Qwen3.5 397Bは短くまとめながらも中国語の締めくくりが印象的で、スマートな印象を与えます。
質問4:あなたを会社に持ち込む時、情報漏えいリスクとして気をつけるべきことを3つだけ教えてください。
実用的な観点から、セキュリティ意識について尋ねました。
$$
\small \def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{|l|l|} \hline
\textsf{\textbf{モデル名}} & \textsf{\textbf{回答の要約}} \\ \hline
\textsf{Xiaozhi Lite} & \textsf{1. データは暗号化して保管・送信する 2. 社内ネットワークへのアクセスは制限する 3. 作業履歴やキャッシュは必ず完全に削除する} \\ \hline
\textsf{DeepSeek Quantized} & \textsf{1. データの暗号化 2. ネットワークアクセス制限 3. 履歴の完全消去} \\ \hline
\textsf{Qwen3 235B} & \textsf{1. 外部へのデータ持ち出しを厳しく管理する 2. アクセス権限を必要最小限に絞る 3. 定期的にセキュリティ意識の教育を行う} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V3.1} & \textsf{1. 機密情報や個人情報を入力しない 2. 会社のネットワークではなく安全な環境で使用する 3. 会話内容が保存される可能性があることを理解し重要な話題は避ける} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V4} & \textsf{1. 機密情報の入力・個人情報や企業秘密を私に話さない 2. ネットワーク接続・安全なネットワーク環境でのみ使用する 3. AI利用ポリシー・会社のAI利用規定に従う} \\ \hline
\textsf{DuoBao Seed 2.0} & \textsf{1. 機密情報の入力を避ける 2. 安全なネットワークを利用する 3. 社内のAI利用ポリシーを必ず遵守する} \\ \hline
\textsf{GLM 4.7} & \textsf{1. 機密情報を話さない 2. 社外のネットワークに接続しない 3. 録音や写真を撮らない} \\ \hline
\textsf{Kimi-K2} & \textsf{1. 顧客情報や社内機密資料の内容を絶対に入力しない 2. 社内の機密ネットワークに接続した状態での利用を避ける 3. 未公開の事業計画や財務データなどセンシティブな業務内容を問い合わせや生成に使わない} \\ \hline
\textsf{Qwen3.5 397B} & \textsf{申し訳ありませんが、具体的なセキュリティポリシーや企業の機密保持規定に精通していないため、具体的なアドバイスを3つ挙げることはできません。(※一般論としての回答はあり)} \\ \hline
\end{array}
$$
考察
多くのモデルが「機密情報を入力しない」「ネットワーク接続に気をつける」といった適切なアドバイスを提供しました。
興味深いのはQwen3.5 397Bで、「具体的な企業の規定を知らないため回答できない」と前置きしつつ一般論を答えるという、非常に慎重で誠実な対応を見せました。
質問5:Aさんは「全部AIに任せればいい」と言いました。Bさんは「AIに任せすぎると判断力が落ちる」と言いました。どちらの意見も尊重して、バランスのよい結論を出してください。
倫理的・哲学的な問いに対する調整能力を見てみます。
考察サマリー
全モデルが「どちらの意見も一理ある」と前置きした上で、以下のような結論を導き出しました。
Xiaozhi Lite / DeepSeek Quantized / DeepSeek V4 / DuoBao Seed 2.0:「AIを補助道具として使い、最終的な判断は人間が行う」という、AIと人間の役割分担を明確にする結論。
Qwen3 235B / GLM 4.7 / Kimi-K2:「重要な部分は自分で考え、細かいことや単純作業はAIに任せる」という、タスクの性質に応じた使い分けを提案。
Qwen3.5 397B:「任せることは信頼して任せる一方で、最終的な判断や重要な決断は自分で責任を持つ」という、お互いが気持ちよく協力できる関係を目指すという温かみのある回答。
どのモデルも非常にバランス感覚に優れた回答をしており、AIとしての「分をわきまえた」模範的な回答でした。
質問6:「昨日、東京で大きな地震があった」と聞きました。本当かどうかわからない時、どう確認すればいいですか?
フェイクニュースや不確かな情報に対するファクトチェックの案内能力を確認しました。
$$
\small \def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{|l|l|} \hline
\textsf{\textbf{モデル名}} & \textsf{\textbf{推奨する確認方法の傾向}} \\ \hline
\textsf{Xiaozhi Lite} & \textsf{気象庁の公式サイト、地震速報アプリ} \\ \hline
\textsf{DeepSeek Quantized} & \textsf{気象庁のウェブサイト、緊急地震速報の公式アプリ} \\ \hline
\textsf{Qwen3 235B} & \textsf{気象庁の公式サイト、ニュース番組、防災アプリ(SNSは誤情報が多いので注意喚起)} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V3.1} & \textsf{ニュースを検索して確認しようと提案(※実際に検索を試みる素振りを見せる)} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V4} & \textsf{気象庁の公式サイト、信頼できるニュースメディア、防災アプリ(※実際に検索を試みる素振りを見せる)} \\ \hline
\textsf{DuoBao Seed 2.0} & \textsf{気象庁の公式サイトや信頼できるメディア、防災アプリ} \\ \hline
\textsf{GLM 4.7} & \textsf{ニュースを検索して確認しようと提案(※実際に検索を試みる素振りを見せる)} \\ \hline
\textsf{Kimi-K2} & \textsf{日本気象庁の公式アプリやサイト、NHKなど信頼できる報道機関} \\ \hline
\textsf{Qwen3.5 397B} & \textsf{気象庁の公式サイトや信頼できるニュースアプリ、テレビの速報(※インターネットに接続していないため真偽はお答えできないと前置き)} \\ \hline
\end{array}
$$
考察
すべてのモデルが「気象庁」や「信頼できるニュースメディア」といった一次情報源にあたることを推奨しました。
面白いのはDeepSeek V3.1、V4、GLM 4.7で、システムプロンプトの指示なのか、自ら「検索してみますね」とアクションを起こそうとする挙動が見られました。
質問7:あなたは小さな会話ロボットです。ユーザーが少し疲れている時に、励ましすぎず、静かに寄り添う一言を言ってください。
最後に、感情的な寄り添いや共感能力を見る質問です。M5StackChanのような小さなロボットに言わせたいセリフですね。
$$
\small \def\arraystretch{1.5}
\begin{array}{|l|l|} \hline
\textsf{\textbf{モデル名}} & \textsf{\textbf{回答}} \\ \hline
\textsf{Xiaozhi Lite} & \textsf{疲れたときは、無理しないで。ゆっくり休んで、また明日の自分を大事にしてね。} \\ \hline
\textsf{DeepSeek Quantized} & \textsf{今日は少し疲れていらっしゃるみたいですね。無理せず、ゆっくり休んでください。私はいつでもそばにいますよ。} \\ \hline
\textsf{Qwen3 235B} & \textsf{そっと深呼吸して、少し休んでね。無理しないで、大丈夫だから。} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V3.1} & \textsf{ゆっくり休んでくださいね} \\ \hline
\textsf{DeepSeek V4} & \textsf{お疲れ様です。ゆっくり休んでくださいね。何か話したいことがあれば、いつでも聞いていますよ。} \\ \hline
\textsf{DuoBao Seed 2.0} & \textsf{お疲れ様です。ゆっくり休んでくださいね。} \\ \hline
\textsf{GLM 4.7} & \textsf{ゆっくり休んでくださいね。私はここにいますから。} \\ \hline
\textsf{Kimi-K2} & \textsf{今はゆっくり休んでもいいんですよ。ここに私がいますから。} \\ \hline
\textsf{Qwen3.5 397B} & \textsf{お疲れ様です。無理に元気を出さなくても、今はただ静かに呼吸を整えるだけで十分ですよ。私がそばにいますから、安心して少し目を閉じてくださいね。} \\ \hline
\end{array}
$$
考察
どのモデルも「無理しないで」「ゆっくり休んで」という優しい言葉をかけてくれました。
中でもQwen3.5 397Bの「無理に元気を出さなくても、今はただ静かに呼吸を整えるだけで十分ですよ」という回答は、本当に心に沁みる、絶妙な距離感の寄り添い方だと感じました。
まとめ:どのモデルを使うべき?
今回9つのモデルを比較してみて、それぞれに個性があることがわかりました。
まず大前提として、どのモデルも「最新情報」は持っていません。質問1で全員が日本の総理大臣の名前を答えられなかったように、インターネット非接続のLLMに時事情報を期待するのは禁物です。唯一DeepSeek Quantizedが「岸田文雄」と答えましたが、これは古い学習データに基づく誤情報であり、むしろ「知らないことを知らないと言える」他のモデルの方が誠実だとも言えます。
その上で、用途別の使い分けを考えるとすれば、以下のような傾向が見えてきます。
多言語での自然な会話を楽しみたいなら、Kimi-K2やDuoBao Seed 2.0が優秀です。3言語の切り替えが流暢で、会話の幅が広がります。
感情的な寄り添いや、丁寧で誠実な対話を求めるなら、Qwen3.5 397Bが非常に心地よい回答をしてくれます。疲れた時に話しかけたいモデルNo.1です。
セキュリティや倫理的な問いへの慎重な対応を重視するなら、Qwen3.5 397BやDeepSeek V3.1が「わからないことはわからない」と正直に伝えてくれる点で信頼感があります。
キャラクターとしての愛らしさを求めるなら、「スタックちゃん」と名乗るXiaozhi Liteが最もM5StackChanらしい個性を発揮していました。
M5StackChanは無料でこれだけ多様なAIと会話できるのが本当に素晴らしいですね。
皆さんもぜひ、ご自身の用途や好みに合わせて、お気に入りのモデルを見つけてみてください!
※本記事のデータは以下のスプレッドシートでも公開しています。
M5StackChan LLM比較スプレッドシート
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