君と手を繋いだ日々
家族が手を繋いで歩く。
よく見る風景だ。
君ともよく手を繋いで歩いた。
買い物の途中。旅の途中。クリスマスイブの夜。
暖かい手の感触が残っている。
しかしあの手を繋ぐって何だろうか?
AIに聞いたら、安心、愛情、
信頼。安全の確保や表現と書いてある。
子供にとってはそんな感じだろう。
ならば大人にとっては?
思い返せば、ママと揉めている時。
落ち込んでいる時、苦しんでいる時。
君はそばにいた。
そんな時、ふと何も言わず
お父ちゃんの手を握りしめる。
ふんわり暖かい。
強張った心がやんわりほぐれていく。
君は相変わらず何も言わない。
それより、何だがご機嫌な様子。
君の膨らんだほっぺたを見ると
優しい気持ちに帰っていく。
何でも言語化すれば良いわけではない。
が、しかしこの手を繋ぐ意味を
ずいぶん求めていた。
人間はお互い触れ合う生き物だが
誰でも良いわけではない。
子供は無条件に手を握りしめてくる。
何気ない日常の風景だ。
ただお父ちゃんの心を
どれだけ温めてくれたか。
この手を通じて、
何かを君から何かを貰っていた気がする。
逆にお父ちゃんは、君に何か渡せただろうか?
また、受け取ってくれただろうか?
もう、手を繋ぐ事は少なくなった。
そのうち手を繋ぐ事も、無くなるだろう。
色んな事が変わっていく。
悲しい事ではない。
素晴らしい事なのだ。
君は大人に成長していくのだ。
少しづつ。
君は忘れていくかもしれないが、
お父ちゃんもママも、
忘れはしない。
時が過ぎて初めてわかった。
あの平凡な日常が、
珠玉の瞬間だったと。
今もこの手の中に、
小さかった君の手のひらの、
温もりを感じている。
目を閉じれば
3人で手を繋ぎ
歩いたあの日が
よみがえってくる。
うん。ありがとう。
君への手紙19
