この会話にも意味はありません


【遭遇、そしてポエム】
レイ(腕を組み、冷ややかな目で空を見上げ)
「……フッ。始まったか。
黄金の粉塵が空を覆い、古(いにしえ)の森からの『宣告』が、風に乗ってこの聖域(サンクチュアリ)へと届けられた。
我らは今、避けることのできぬ審判の時を迎えている……」
テツ(防護マスク越しにレイの姿を見て、二度見してから)
「……うわっ、なんや自分その格好! 朝からキっツイなぁ……って、え? まさかマジの変態か!?」
レイ(テツの方を一瞥もせず)
「……騒ぐな、下俗な者よ。これは浄化への序曲(プレリュード)。
見よ、天を仰ぐ者たちの瞳からは、真実の涙が溢れ出している。
止めることのできぬ雫の連鎖……それは、失われた楽園への挽歌なのだ……」
テツ
「誰が下俗やねん! ほんまもんの変態がポエム詠みだしたで……。
おい、挽歌やら序曲やら、なんや知らんけどな、その『雫』のせいで第2通路が水没してもうてん! 排水ポンプ、フル稼働させんかい!
……てかネーチャン、そんな格好でここうろつかれたら、他の作業員の気が散ってしゃーないわ!」
【徐々に漂う「生活感」】
レイ
「フッ、配管の問題ではない。
これは、この世界が抱く根源的な拒絶反応。……来るぞ。大いなる震動(クエイク)が。大地を揺るがし、万物を吹き飛ばす、神の息吹……『ハ・ク・ショイ』という名の衝撃波がな……」
テツ
「……ちょ待て。自分、今なんて言うた? 『ハ・ク・ショイ』?
お前、さっきから言うてる『黄金の粉塵』て……まさか、スギか? あのスギ花粉や、ちゅうのか!?」
レイ
「認めよう。奴らは数千年の時を超え、風を操り、この鼻腔という名の神殿に土足で踏み込んできたのだ。……ああ、我が粘膜は紅蓮の炎に焼かれ、千の針に刺されるような痒みに悶えている……」
【終盤:ただの地獄絵図】
テツ
「やっぱり花粉症やないかい!! ポエムで誤魔化すなや! 現場は今、鼻水垂れすぎて大パニックなんじゃ!『神の息吹』ちゃうわ、ただのクシャミやろが! おまけに目が、目ぇ痒すぎてモニター見えへんがな!」
レイ
「……さらばだ、理性の光よ。我は今、この痒みの深淵へと身を投じる。……誰か、アレを……抗ヒスタミンという名の『禁じられた果実』を、我に……はぁ、ひゃは~~~あっくしょ~~~~~~~~~~い!!!」
テツ
「それ薬局で売ってる『アレグラ』やろがい! はよ飲んでこいや!
……つうか、ほんまこの会話に意味ないな!!」
みなさま、お大事に。
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