第15回 イシューの粒度という盲点——「何を決めるか」を決めただけでは、まだ足りない
前回、テーマとイシューの違いについて書いた。テーマは大枠、イシューはいま問うべき問い——この違いを理解しただけで、会議の景色は変わる。
ただ、もう一つ落とし穴がある。
イシューを立てたつもりなのに、会議がまだ迷走する。そういう場合、たいていイシューの「粒度」が粗すぎる。
こんな二つのイシューを比べてみてほしい。
「退職者の件について」
「退職者がここ3か月で20人以上もいる。どこが問題なのか?」
前者はイシューのように見えて、実はテーマだ。「件について」という言葉がついた瞬間、問いではなく話題になっている。何を問うのかが見えないから、参加者はそれぞれ勝手な方向から話し始める。退職者数の確認をする人、制度の話をする人、個別のケースを語る人——話は四方八方に飛んでいく。
後者は違う。「どこが問題」という疑問形があり、「3か月」「20人以上」という数字が粒度を絞っている。脳が自然と答えを探しに動く。会議の向かう先が、最初から定まっている。
粒度の粗いイシューはテーマと見分けがつかない。イシューの顔をしたテーマが、会議室に紛れ込んでいる。
では、粒度の粗いまま会議に入ると何が起きるか。二つのどちらかだ。
一つは、意見がいっぱい出る会議。発言は活発で、一見うまくいっているように見える。でも話はまとまらない。それぞれが別のイシューに答えているからだ。賑やかな自己満足の会議が出来上がる。
もう一つは、何も決まらないまま終わる会議。どこへ向かえばいいかわからないまま時間が過ぎ、誰かが「今日はここまでにしましょう」と切り上げる。出席者は少し疲れた顔で、あきらめたまま席を立つ。
自己満足か、あきらめか。粒度の粗いイシューが行き着く先は、たいていこのどちらかだ。
では、良いイシューとはどんなものか。私は講義でこう伝えている。良いイシューには3つの条件がある。
【条件① 疑問形になっている】 「〜について」はテーマ。「〜はどうすれば?」がイシュー。疑問形にした瞬間、脳が答えを探しに動き出す。
【条件② 答えが出たら次の行動が見える】 「幸せとは何か」は答えが出ても行動に直結しない。「この施策で○○を達成できるか」なら、答えが出た瞬間に担当者と期日が決まる。
【条件③ 今の自分たちに解けるサイズ】 「日本の医療をよくするには?」は解けない。「この病棟の退院遅延を来月中に2日短縮できるか?」は解ける。スコープを絞ることが鍵だ。
この3条件を満たしたイシューが立てられたとき、会議は初めて「会議」になる。それ以前は、ただ人が集まって話しているだけだ。
あなたの職場の会議で、次回のイシューをこの3条件で立ててみてほしい。そのイシューは疑問形か。答えが出たら動けるか。今日この場で解けるサイズか。——その問いを持って、次の会議室に入ってみてください。
🐾 ぽんちゃんへの問いはいつもシンプルだ。「おやつ、食べる?」——疑問形で、答えたら即行動。完璧なイシューである。
このシリーズは今回で最終回です。教壇から拾った問いが、あなたの職場の会議室でも生きることを願っています。
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ぽんとパパにはもっと大きな夢があります。みんなが日常のタスクに撲殺されないために、**AIシステム手帳『ぽんスケ(仮)』**を開発して、もっと充実した毎日を送れる世の中を手伝いたいと考えています。