【創作大賞2026】言葉が零れ落ちた日
ふとしたとき、
「あれ、ちょっと疲れているかも」と感じたことはないだろうか。
その違和感を、
無視したことはないだろうか。
意識より先に、身体が反応している。
そのサインをやり過ごし、
自分ひとりではどうにもできないところまで
進んでいたことはないだろうか。
日々、私は言語聴覚士として、
「できていたことが、できなくなる」
という現実と向き合っている。
寄り添いながら、
私はずっと「支える側」だと思っていた。
しかし、現実は違った。
うつ病になって、気づいた。
「できていたことが、できなくなる」のは、
患者さんだけではない。
自分にも起こることだった。
ある日、突然、体が動かなくなった。
メールやLINEの内容が、理解できなくなった。
涙が流れ続けた。
なぜ。
理由は、すぐには分からなかった。
ただ、不安と恐怖心だけが、確かにそこにあった。
言葉が、
頭から、
心から、
零れ落ちていく。
何もかもが、空っぽになった。
身体が先に壊れたのか。
心が先に壊れたのか。
今でも、分からない。
ただ、私はずっと、
身体の声を無視し続けていた。
うつ病になる前、周囲からかけられていた言葉。
「疲れているんじゃない?」
「頑張り過ぎだよ」
「変だよ。ソラセトらしくない」
私は、それらの言葉を無視した。
「大丈夫」
「まだ頑張れる」
「これが私。いつも通り」
そう自分に言い聞かせた。
そうして私は、
うつ病になった。
少しくらい無理をしても大丈夫。
このくらいなら、まだいける。
忙しさを理由にして、
やり過ごしてきた小さなサインは、
ある日、突然、
「結果」として返ってくる。
身体は、嘘をつかない。
嘘をついていたのは、
いつも、自分の方だった。
身体と向き合うということは、
小さな違和感に、気づくこと。
もし今、あなたが、
「あれ、ちょっと疲れているかも」と感じているのなら、
どうか、目を逸らさないでほしい。
ほんの少しでいい。
自分の身体の声に、耳を傾けてほしい。
私のように、
取り返しがつかなくなる前に。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いしますm(__)m
いただいたチップはクリエイター活動費として有功活用させていただきます。