【3分で読めるエッセイ】泥棒の息子というレッテル
趣味を聞かれても答えに困る。
好きなことは多い。
でも、あえて何を趣味と答えるべきか…
考えただけで悩んでしまう。
つまらない答えになる。
ボクの趣味は仕事だ。
何もせず、過ぎ去る時間が好きじゃない。
だからFIREした今も、こうしてnoteをやっている。
恐らくYouTubeだったり、動画関係もそう。
お金というより、充実感を得たい気持ちが大きい。
そんなボクも、1つ人に言えてない趣味がある。
鼻唄だ。
問われたら、答えるほどではない。
これこそリアルな趣味だと思う。
別に、歌が特別うまい訳でもない。
それでもなんとなく、好きな曲を鼻唄する。
調子に乗ると、きちんと歌詞まで歌ってしまう。
年に数えるほどだが、実家へ帰った。
ボクが実家で鼻唄を歌うと、邪魔された記憶は多い。
母親だ。
頼んでもいないのに、勝手に一緒に歌い出す。
なんなら、ボクより少しだけ大きな声で歌ってた。
ボクの気持ちは、なぜか萎えてしまう。
おかげで、ボクは歌うのを途中で止めた。
だが、そのまま母親は歌い続ける。
これをボクは、泥棒と呼んだ。
ボク「泥棒じゃん。」
母親「私の細胞をあげたんだから、アンタが泥棒だよ。」
思い起こせば、母の理論は昔からおかしかった。
小学校低学年の頃、ボクが問題を起こしたとする。
母親も学校に呼び出され、一緒に先生から注意を受けた。
解放され、2人で帰宅する時に言われたセリフがある。
母親「アンタなんて西友で980円じゃなかったら買わなかったよ。」
捲し立てるような口調だった。
具体的な店の名前を出して申し訳ない。
事実なので、許して欲しい。
西友とは、スーパーの名前だ。
大人なら分かるが、西友で子供は売ってない。
だが、当時のボクは本気で受け取めてしまう。
おかげで、ボクは西友で買って来られたと思っていた。
学校関係ではなく、家の場合だと少し違う。
ボクが、母親の気に食わないことをてしまったとする。
母親「言うこと聞かないなら、お母さん出て行くからね。」
そう言って、母は家を飛び出す。
当時、世帯の多いマンションに住んでいた。
中庭があり、敷地も広かったと記憶している。
(大人になってから見ると、そうでもなかった。)
ボクは泣いて謝りながら、母を追いかける。
ボク「お母さん、ごめんなさい。もうしないから帰って来て。」
ワンワン泣いていたと思う。
低学年の子供が一生懸命走っても、当時の母親に追いつけなかった。
残念ながら、ボクは母親を見失ってしまう。
泣きながら走って、あたりを見渡す。
すると、不思議なことが起きる。
いなくなったはずの母が、遠くにヒョコっと突然現れる。
「母がいた!」と、思ってまた必死に走って向かう。
すると、その場に母はいなくなっていた。
再びボクは、泣き叫びながら走りまわる。
またも別の場所から、ヒョコッと母は顔を出す。
何度か繰り返し、ボクは座り込み泣き叫ぶ。
見かねた大人たちに、声をかけられる。
ボクが事情を話していると、母親は現れた。
「なんでもないんです」なんて言いながら、一緒に家へと戻る。
家のドアを閉めたタイミングで、母は言う。
「もう次はないからね」と、ボクに釘を刺した。
この一連の流れを、何度か経験した記憶がある。
いつも都合よく現れる母に対して、違和感はあった。
きっと母は、泣き叫ぶボクをどこかで見てたんだと思う。
母は、ボクの髪型に変なこだわりがあった。
おかっぱを長くしたような、暑苦しい髪型…
友達からは、キノコとかスイカ頭なんて呼ばれてしまう。
他の髪型にしたいと、何度も直談判した。
よく分からない理論で、いつも聞き入れてもらえない。
ちなみに、髪を切ってくれていたのは母だった。
お風呂場が多かった気がする。
ある時、髪を切ってくれている母が笑い出した。
何がおかしいのか尋ねると、鏡を指差す。
何度も失敗を修復しようとした、結果だとは思う。
チグハグな長さの、スイカ頭にすらなれないボクがいた。
笑っていた母は、財布からお金を取り出す。
「アンタ、これで髪切りに行って来な」
何度お願いしても、ダメだと言ってたのに…
“はじめてのおおつかい“ならぬ、”はじめての床屋“だった。
一緒に着いてきて欲しかった。
でも、母は一緒に歩くのが恥ずかしいと断る。
色んな母との記憶を思い出しながら、LINEした。
母の誕生日が近いからだ。
ボク「誕生日だけど、何がいい?」
母親「アンタが健康ならそれでいい。」
物欲のない母らしい返信だ。
その下に、リンクが貼られている。
ちょっと高そうな飲食店のサイトだった。
ここに行きたいってことね。
ボク「りょ」(了解という意味。)
母親「そんなつもりじゃないのに悪いね」
どんなつもりか問いながら、今年も母の誕生日を祝おうと思う。

【関連記事】
いいなと思ったら応援しよう!
チップなんて…そんな…恐縮です…ありがとうございます!