便利な男を見つけて、便利な女だった自分に気づいた
マチアプで知り合った男と、LINEを続けている。
朝の4時。
私が早起きだと話した次の日から、
早朝にLINEが届くようになった。
彼にとっては、まだ寝ている時間のはずだ。
仕事中はスマホを見られない、
と言ったら、既読がついても急かしてこなくなった。
本当は、仕事中だから返せないわけではない。
面倒くさくて、放置しているだけだ。
先週、友達に会いに行くと言ったら、
「今日、迎えに行こうか?」と、LINEが届いた。
「何時になるかわからないから、約束はできないよ」と返した。
「迎えに行くし、よかったら帰りにご飯食べて、家まで送っていくよ」
「令和のアッシー参上」
そう言って、彼は笑っていた。
「じゃあ、帰る頃にまた連絡する。」
そう返して、友達に会いに行った。
でも、帰る頃になっても、
やっぱり誘いに乗る気にはなれなかった。
会えば、相手に気を使う。
会話も合わせなければならない。
それが、なんだかとても面倒に感じた。
彼が私に合わせているのは、
まだ私を落とそうとしている段階だからなのだろう。
好意がある。
下心もある。
それくらいは、画面越しでもわかる。
彼が私に合わせるたびに、
私の中で彼は少しずつ「便利な男」というカテゴリに収まっていく。
迎えに来てくれる男。
ご飯をご馳走してくれる男。
家まで送ってくれる男。
暇なときにLINEを返せばいい男。
私が主導権を握る関係の男。
友達と別れて、駅に向かいながら一瞬考えた。
このまま連絡して、迎えに来てもらって、ご飯をご馳走してもらって、家まで送ってもらおうか。
便利じゃん。
昔の私なら、何も考えずに迎えを頼んでいたと思う。
でも、今はそれをする気になれなかった。
「もうすぐ60の女が、まだこんなことをするのか」
また男を便利に使おうとしている自分に、少し引いた。
いや、年齢なんて関係ないのかもしれない。
便利な男として付き合ってもいいはずだ。
迎えに行くと言ったのも、ご飯に誘ったのも、向こうである。
恋愛として見なくてもいいのかもしれない。
それでも、私は
「ごめんね、今日はやめとく。まだ友達と一緒だし、何時に帰るかわからないから」
と嘘をついた。
電車で帰るのはダルい。
でも、相手に気を使うくらいなら、黙って電車に乗って帰る方が楽だった。
この歳になると、その親切の向こう側にあるものまで見えてしまう。
これだけしたんだから。
少しくらい応えてくれても。
そんな言葉を、まだ言われてもいないのに想像する。
だからやめた。
相手を傷つけたくないからではない。
後で面倒になるのが嫌だから。
結局、私は相手の気持ちを考えているようで、自分の都合しか考えていない。
でも、相手だって私のためだけに親切にしているわけではない。
そして、この文章を書きながら、ふっと思った。
私も誰かの中で、「便利な女」のカテゴリに入れられていたのかもしれない。
会いたいときに会える女。
面倒なことを言わず、相手の都合に合わせてくれる女。
そう考えると、少しだけ笑えなくなった。
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