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Trainspottingが、私の「好き」をつくった。「普通」から外れていい、と知った大学時代の話

運命を変える93分。人生の疾走は、そこから始まった。


あなたの美意識を、最初に揺さぶった映画はなんですか?

すぐに答えられる人は、たぶん、その映画にかなり深く影響されている。

私の答えは、即座に出てくる。

Trainspotting—1996年、ダニー・ボイル監督。スコットランドの若者たちが、ドラッグと貧困と退屈の中を生きる映画。上映時間93分。

でも私にとってこれは、「観た映画」じゃない。「感染した映画」だ。




大学1年の秋、深夜に一人で観た夜のこと

あの夜、私は93分で変わった。気がした。

10月だったと思う。

友達が帰ったあとの六畳の部屋で、何となくパソコンを開いた。「名作らしい」という程度の情報しかなかった。レンタルショップで借りてきたDVDを、特に期待もせずに再生した。

最初の5分で、何かが違うと思った。

冒頭、マーク・レントンが車道を全力で逃げるシーン。そこにIggy Popの「Lust for Life」が重なる。

♩ Here comes Johnny Yen again...

音楽と映像が化学反応を起こした瞬間を、今でも覚えている。「かっこいい」という言葉では足りなかった。もっと内臓に近い場所が、揺れた。


Iggy Popが流れた瞬間、「好き」の地図が書き換わった

音楽は時間を選ばない。ただ、人を選ぶ。

それまでの私の音楽体験は、わりと平凡だった。

邦楽ロックを聴いて、洋楽ポップスを少し。音楽が「好き」とは言えたけれど、「これが俺だ」と言える一枚はなかった。

Trainspottingのサントラは、その感覚を30分で解体した。

Underworld「Born Slippy .NUXX」。Pulp「Mile End」。Brian Eno。

1996年の音が、20年以上の時間を飛び越えて、その空間に充満した。Underworldの「Born Slippy .NUXX」は、クライマックスのレントンの逃走シーンと完全に融合していて、映像と音楽が"別もの"として存在せず、ひとつの感情として届いてくるのを、初めて体験した。驚いたのは「古さ」を感じなかったことだ。むしろ、今まで聴いていた音楽より鮮度が高かった。

時代を超えるサウンドには、「問い」が入っている。

その夜から、私のプレイリストは変わった。


スクリーンの中の服を、古着屋で探し始めた

ラックの中で見つけたのは、私の新しい輪郭

映画を観て2週間後、私は地元の古着屋に行った。

目的は決まっていた。マーク・レントンの着ていたものを探すこと。

オーバーサイズのワークシャツ。くたびれた感じのトラウザー。ブランドでも流行でもない、でも確かな「空気感」を持った服。

店員さんに聞いたわけじゃない。ラックを端から眺めながら、「これだ」と思うものを直感で選んだ。

今思えば、あれが私の「審美眼の起動」だった。

ファッションって、「何を買うか」じゃなくて、「何を好きか」を決めることだと気づいたのはあの頃だ。スクリーンの中の誰かを「かっこいい」と思った瞬間に、自分の「好き」が少しだけ言語化される。


「好き」が積み重なると、人格になる

Trainspottingを観てから、変わったことがいくつかある。

あの頃の「好き」は、今の自分の骨になっている。

聴く音楽が変わった。手に取る服が変わった。読む本が変わった。友達との話題が変わった。

でも一番変わったのは、「自分が何を好きか」を恥ずかしがらなくなったことだと思う。

あの映画の主人公たちは、社会の外側にいた。「正しい生き方」から大きく外れていた。それでも画面の中の彼らは、どこか清潔だった。自分の選択に対して、誰かに許可を求めていなかった。

Choose Life—マーク・レントンのあのモノローグは、「社会への皮肉」として語られることが多い。でも私には、「自分の人生を、自分で選べ」という静かな問いかけとして聞こえた。

大学時代に夢中になったカルチャーは、ただの趣味じゃない。それは、自分の美意識・価値観・生き方の「最初の輪郭」だったんだと、今は思う。


原体験の映画が、あなたをつくっている

Trainspottingは、ドラッグ映画でも、反社会映画でもない。

「自分が何を好きで、何を選ぶのか」を問い続ける映画だ。

大学時代、私はこの映画から音楽の趣味を受け取った。ファッションの目線を受け取った。「正解じゃなくていい」という感覚を受け取った。

それらが今も、私の中で動いている。

あなたには、そういう映画がありますか?

ひとつ思い浮かんだなら、その映画があなたの「好き」の起点をつくっているかもしれません。過去の自分が選んだものを、少し見直してみると面白いと思います。

選ぶことは、生きること。確かな覚悟が宿る。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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【注記】

※本記事はあくまで個人の体験・思考・創作(フィクション含む)に基づくものです。

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※画像はAI(Gemini)で生成したイメージです。

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