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猫のおしっこ問題、ついに人類が敗北しました


夜中の3時。

私は泣きながらベッドパッドを風呂場で洗っていました。

理由はもちろん、猫です。

うちの猫は、ベッドにおしっこをします。

しかも、
「たまに」じゃない。

「忘れた頃に」でもない。

“こいつ、絶対ここ狙ってるな”
という頻度でやってくる。

最初の1回は仕方ないと思ったんです。

環境が変わったストレスかもしれないし、不安なのかもしれない。

猫だって生きてる。
人間の都合だけでは測れない。

そう思って優しく片付けました。

2回目までは。

3回目からは普通に絶望しました。

なぜなら、猫のおしっこ問題は、
「掃除したら終わり」じゃないからです。

臭いが、残る。

想像以上に残る。

しかもベッドって、洗う難易度が高すぎる。

シーツならまだいい。
問題はその下です。

ベッドパッド。
マットレス。
敷布団。

全部終わる。

人間の睡眠環境が終わる。

しかもよりによって深夜に発見するんですよね。

「あれ…なんか冷たい…」

で飛び起きる。

絶望の目覚め。

猫はベッドの端で、
「何か?」みたいな顔して座ってる。

いや、お前しかおらん。


私はそこから、
長い戦いに入ることになります。

まず試したのは消臭スプレーでした。

ペット用。
強力消臭。
プロ仕様。

パッケージには頼もしそうな言葉が並んでいる。

私は期待した。

でも現実は違った。

確かに“ちょっとマシ”にはなる。

ただ、消えない。

根本的に消えない。

何より怖いのが、
「自分の鼻が慣れてるだけなのでは?」
問題。

もう途中から、
部屋全体がおしっこの匂いに感じる。

人間の嗅覚への信頼がなくなる。


次に私は、
アルミホイルをベッドに敷き詰めました。

猫はアルミホイルを嫌がる。

ネットに書いてあった。

私は信じた。

だが猫は、その上を普通に歩いた。

しかもカサカサ音を楽しんでいる感じすらある。

なんなんだお前。

さらに賢いことに、
アルミホイルの“隙間”を狙う。

ピンポイントで。

もはや知能戦。

こちらの防衛ラインを観察している。

絶対理解してる。


その頃には、私の生活はかなり壊れていました。

洗濯回数が異常。

コインランドリー代も異常。

家に帰ると、
まずベッドの臭い確認。

寝る前にも確認。

起きた瞬間にも確認。

私はいつの間にか、
「猫と楽しく暮らす人」ではなく、
「ベッドを守る警備員」になっていた。


でも、転機が来ます。

クエン酸でした。

ネットで、
「猫のおしっこはアルカリ性だから、酸性のクエン酸が効く」
という情報を見つけたんです。

正直、半信半疑でした。

だって今まで、
いろんな“効く”を試してきたから。

でももう後がない。

私は100均でクエン酸を買い、
スプレーボトルを用意し、
祈るような気持ちで吹きかけました。

すると。

「あれ?」

臭いが。

かなり減ってる。

え、待って。

すごい。

科学。

科学ってすごい。

私はあの日、
文明への感謝を思い出しました。

火を使った人類。
車輪を発明した人類。
クエン酸を見つけた人類。

全部偉大。

本当にありがとう。


そこから私は、
クエン酸信者になりました。

シーツを漬け込む。

壁に吹く。

床に吹く。

トイレにも吹く。

吹きすぎて、
家のあらゆる場所がほんのり酸っぱい。

でも臭くない。

革命でした。


ただし。

問題は解決していません。

なぜなら猫は、
「臭いが消えた」程度では止まらないからです。

根本原因は、
“ベッドそのものへの執着”。

つまり、
ベッドを守るには、
「ベッドとしての魅力」を消す必要がある。

私はついに、
最終防衛形態へ移行しました。

100均のビニール製テーブルクロス。

防水シート。

アルミホイル。

猫トンネル。

それらを総動員し、
ベッド全体を覆った。

完成した姿を見て、
私は思いました。

これ、もう寝具じゃない。

基地だ。

人類最後の砦。

終末感すらある。


そして驚くことに、
猫は本当にベッドへ来なくなりました。

勝った。

ついに勝った。

長い戦いだった。

私は静かに横になった。

ビニールの上に。

ガサッ。

寝返り。

ガサガサガサッ。

うるさい。

寝心地も最悪。

蒸れる。

でも平和。

平和なんです。

私はその瞬間、
気づきました。

猫との暮らしって、
「快適な生活」じゃない。

「理不尽を受け入れる覚悟」なんだと。


それでも朝になると、
猫は何事もなかったような顔で寄ってきます。

喉を鳴らす。

甘えてくる。

かわいい。

悔しいけど、かわいい。

だからまた許してしまう。

たぶん全国の猫飼いも、
こうやって敗北してきたんだと思う。

ソファを破られ、
カーテンを登られ、
深夜3時に運動会をされ、
それでも「かわいい」が勝ってしまう。

猫ってすごい。

完全に資本主義の外側にいる。

生産性とか、
合理性とか、
全部無視してくる。

でも、その理不尽さに、
人間はなぜか救われてしまう。

不思議です。


ちなみに現在も、
我が家のベッドは厳重警戒態勢です。

私は毎晩、
ビニールの上で眠っています。

人間として何かを失っている気もする。

でも、おしっこはされない。

今のところは。

たぶん次の戦いも、
そのうち始まります。

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