4コマ小説「ミルとバーニェ」|7月24日「河童忌」
川の中には
小さな川の前に子猫が2匹。お散歩中のミルとバーニェ。そのそばには、栗毛にソバカスの少年。
「にゃんこ、だめだよこの川は」
自分のローファーと紺の靴下が猫っ毛まみれになるのも構わず、少年は白い双子に言い聞かせた。
「この川には妖精がいて、足を引っ張られるとうちに帰れなくなるんだ」
川辺の草を引っこ抜いていじりながら、少年は続けた。
ミルもバーニェも人間の鳴き声は理解できないので、相槌も打たず草にじゃれついている。
ぱっと開く肉球、跳ねる前足、しゅるりとすれる尻尾。
「もう、ちゃんと聞いてよ。ママの話をちゃんと聞けってよく怒られない?」
そう言いつつ草を小さく振っている少年だったが、ふと水面が不自然に動いた気がして手を止めた。
「わ、どうしよう……」
少年は怯えて、ミルとバーニェを両手に抱きかかえて立ち上がった。それがちょっと苦しくて、双子は腕をすり抜けて首を傾げる。
「やっぱり危ないよ、あっちの空き地にしようよ」
水面からただの魚が跳ねたことも知らず、1人と2匹は空き地に向かって走っていく。風に揺れる草に見送られながら。
7月24日
7月24日は「河童忌」です。
かの芥川龍之介の命日。
水の事故の多いこの時期に “河童” とつく忌日、他の季節なら違ったのでしょうか。
さて、皆様の好きな芥川作品は? 私は “舞踏会” です……。

普段は、近代の詩や短歌に関する記事などを書いています。
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