密かなる我が家のちいさな図書館計画
もしもの話、夏のボーナスが予想より少しでも多かったら買おうと思っているものがある。
それは夫と共有の本棚だ。
戸建て住まいなうえに我が家は子が居ないため、それぞれ自分の部屋を持っているにも関わらず、新婚から4年半ほど暮らしたアパート時代のクセが抜けないのかリビングで一緒に過ごすのがお決まりとなっている。
自室はもはやウォークインクローゼット兼物置部屋と化しているし、読みかけの雑誌や本などがどんどんリビングに溜まっていっている現状をどげんかせんといかん!と引っ越してきてからずっと思っている。なかなか重い腰が上がらないだけで。
読書好きの夫とも本棚欲しいよねーと話していたら、さも当然のようにリビングに置くならどこにしようか?との返答がきたので、彼も新しくやってくる本棚は私と共有するつもりで居てくれることが分かり、くすぐったくもありうれしい気持ち。
お互いの好きなものを同じ場所にぎゅぎゅっと集めて、増やして、愛でていくなんて、想像しただけでワクワクしちゃうじゃないか。これはやらない手はないだろう。
実家暮らしのときは自室にマイ本棚があって、お気に入りの文庫本や雑誌や漫画をたくさん並べて、休みの日や夜寝る前に本棚の前に立ち「今日はどれを読もうかな~?」とラインナップを物色する時間が好きだった。もちろん全部自分のお小遣いで買った本だから何が並んでいるのかも把握してはいるんだけど、本を選ぶという行為が楽しかったのだ。
結婚するにあたって家を出ることになり、そのお気に入りの本棚を持ち出そうとした際に母から「私が買ったものだから置いて行きなさい」と言われ、仕方あるまいと本だけをごっそり持ち出して新生活を始めたので、巣立ちとともに本棚のない生活がスタートした。
実家を出てからしばらくしてその後本棚はどうしているのかと尋ねたら、今は誰も使っていないからただただ物置部屋に置いてあると言われてびっくらこいた。それならあの時、私の物として一緒に旅立たせてくれりゃあ良かったじゃん。と思わないでもなかったが、捨てられたと聞かされるよりずっと良いかと思って何も言わないでおいた。
読書がお好きな方には共感してもらえるかもしれないが、自分のお気に入りの本を他人に知られるのって、なんだか心や頭の中をあけっぴろげに見られているようで恥ずかしい気持ちになる。思考を覗かれている感覚、というのが近いかもしれない。
自分から相手に「この本、超オススメだよ!」と言うのは全然いいのだけれど、本棚に並ぶ本を見て「この人はこういうことを考えているんだ」と勝手に思われたくないという、私の自意識の暴走かもしれない。
だけど夫には全然平気で見せられるから不思議だ。読んだ本も読みたい本も、お気に入りの本の中に出てくる琴線に触れた一節も。なにもかも知られてもいいし、むしろ知ってもらいたい。とかなんとか澄ました顔して言っているが、それが度を越してアダルトな映像作品の好みのジャンルや大人向け作品の好きな女優の名も全員夫には伝えている。コレクション一覧もいつだって見せられるし、もしも夫から「おすすめの女優さんを教えて」と言われたならば彼の好みに合わせて夜が明けるまで一晩中プレゼンだってできる。夫に対して心の露出狂と化す妻、それが私だ。
まぁ、そういう面では夫は私よりもピュアな人なので、こんな破廉恥で激アツなプレゼンをする日は一生来ないとは思うけれど。なーんちゃって。
本棚が無い生活になってからなるべく紙の本を増やさないようにとkindleで電子書籍を買い求め、スマホの中に私だけの秘密の本棚をひっそりこっそり作り上げてきた。もちろん推しが表紙を飾った雑誌や映画や舞台のパンフレットなど、紙媒体のコレクションも収集しているが読み込む本はたいてい電子化している現状。
手軽にどこでも本が読めると利便性を考えるとメリットもあるなと思いつつ、時たまやってくるデジタルデトックスをしたい気持ちと読書をしたいタイミングが重なったときに電子書籍だと物理的にスマホをオフにすることが出来ないことが、私の中での最大のデメリットだよなぁなんて考えてみたり。
この夏、夫との本棚ドッキング大作戦が無事に完遂できた暁には何度も繰り返し読んでいるお気に入りの本たちを紙媒体として買いなおして、実体化させてあげたいなという願望がうずうずしている。
なので願わくば夏のボーナスが5,000兆円ほど振り込まれますように。出来ればなんらかの手段を使って非課税でどうかひとつ。
