青、青、青。言葉をなくした、あのひびわれた水の前で|Yota個展
土曜日。夫と車を走らせ、いずみ中央駅へ向かった。お目当ては、かねてより楽しみにしていたYotaくんの個展だ。
実は、夫は筋金入りのYotaファンである。二人のお小遣いから出し合って買ったはずのポストカードは、彼の手によって、我が家のどこかに厳重に保管されている。一体どこに隠しているのやら……と呆れつつも、それほど彼にとって宝物なのだと思うと、なんだかとても愛おしくなる。
さて。駐車場に止めて向かったのは、まずスーパーだった。 Yotaくんがハイチュウを好きだと風の噂で聞いた夫は、スーパーにあったハイチュウを文字通り買い占めた。そして、きっとmika🌼さん、忙しくて水分補給もできていないだろうなあ……と、マウントリィニアまでしっかり購入。(水にすれば良かったね)両手いっぱいの差し入れを手に持ち、準備は万端だった。

うわああ……。すごい。Yotaくんの作品が、こんなにも大きく飾られている……。それだけで胸がいっぱいになった。ここに至るまでに、どれだけ多くの人が力を尽くしてきたのだろう。mika🌼さんも、Motto氏も。もっともっと遡れば、なんのはなしですかの言葉の存在があったから成り立っているものなのだ。
はあ……すごいなあ。絵を描いていること。その子どもが描いた絵をそのままにせずに、発信したからこそ今がある。どうにかして作品を届けたい。Yotaの作品を届けたい。そんな想いが、愛に溢れた想いが、この空間の隅々まで行き渡っているようだった。

愛に溢れているなあ♡
いざ、ドキドキしながら会場に入る。このポストカード持っているよねぇ、これ好き。そんな会話をしながら、なんだか胸に来てしまって、二人ともうるうるとしながら、作品と対峙する。
あの小さな身体のどこに、エネルギーを秘めているのだろう。あの小さな身体のどこに、これほど豊かで、圧倒的な世界が広がっているのだろう。

私たちは、ある一枚の絵の前で、完全に足を止めていた。描かれていたのは、「ひびわれた水」──水がひび割れるなんて、想像したこともなかった。さらさらと流れるはずの液体に刻まれた、鋭くも美しい亀裂。キャンバスを埋め尽くすのは、青、青、青。一言で青と言っても、そこには、色んな青が溶け合い、せめぎ合っていた。
思えば、私たちはいつから、水は流れるもの。青はこういう色と、世界に名前をつけて安心するようになってしまったのだろう。Yotaくんの視点から見える世界は、きっとまだ、言葉によって分類される前の、剥き出しの命そのものなのだ。大人の凝り固まった常識を心地よく裏切る、圧倒的な視界。
ふと隣を見ると、あんなに熱烈なファンであるはずの夫が、言葉を失ってじっと絵を見つめていた。その静寂が、作品の凄みを何よりも物語っているようだった。Yotaくんは、自分だけが見つめている景色を、言葉ではなく絵の具に乗せて、私たちにそっと手渡してくれる。絵を通して、彼の心の奥底をほんの少しだけ覗かせてもらったような感覚。そのピュアな感性に触れた瞬間、言葉にならない感情が押し寄せ、胸がじんわりと満たされていくのがわかった。そして、その繊細さに、感性に、涙が止まらなくなった。
会場に用意されたお母さんコーナーに目を移す。そこには、Yotaくんが日常の中で放った、きらめくような言葉たちがたくさん散りばめられていた。きっと、これまでの日々、mika🌼さんだって計り知れないほど、葛藤や不安があったはずだ。それでも、mika🌼さんは彼の感性を、彼の見ている世界をずっと信じ、こぼれ落ちそうなちいさな言葉をひとつひとつ、大切にすくい上げて守ってきたのだ。その深い愛の軌跡が、そこにはあった。
人と違う世界が見えることは、人よりも多くを考えて、感じてしまうことは、そのまま生きづらさにも繋がってしまうことも、ある。でも、Yotaくんはこうして絵にして、作品にして、自分の世界を表現することができている。そのままでいいんだよ。そのままで生きていいんだよ。そう、抱きしめたくなった。
SNSを開けば、個展に足を運んだ人たちが、嬉しそうにサイン入りのポストカードの写真をアップしている。木の子おじさんと楽しそうに遊んでいる姿。エリちゃんへなんて、ねえ、もう。名前書いてもらえたら嬉しいね、なんて期待をわずかに持ちながらも、我が家の夫はというと、見事に振られてしまった。なんなら、ポストカード全種類持って来たのに、サイン下さいなんて、烏滸がましくて言えないと言っていた。
振られたけれど、帰り際に写真に写る彼の顔(プライバシー保護で隠してはいるけれど)は、なかなかに良い顔をしている。見る度に笑ってしまうので、相当に悔しかったのだろう(笑)

相変わらず元気いっぱいなしいもファミリー。
しいもさんのエネルギーは、本当にすごい。
みるみるちゃんも、いつか個展開けるといいね。
そうしたら絶対駆けつけるからね。
日を跨いで、月曜日。ラディさんが来ることを知っていた私は、なんだか自分のことのようにそわそわしていた。mikaさん、びっくりするんじゃないかな。反応見たいなあ……。仕事が終わらずに、会場には足を運べなかったけれど、夜、ラディさんとお話しながら、そのときのmikaさんの様子を聞くことができた。
そっか、人って本当にびっくりすると腰抜かすんだねと笑ってしまいながら。お会いするのは、二回目なのに、ずーっと喋り続けていた。楽しかったなあ。楽しかった。

二人ともZINEフェスのポスター頑張って作ったよね
ということで、ZINEフェスの打ち上げ(笑)
余韻に浸りながら、今この記事を書いている。Yotaくんの絵がくれたのは、作品に触れた感動だけじゃなくて、こんな素敵なご縁まで運んできてくれたんだね。なんのはなしですかの魔法の言葉にも、感謝を込めて。
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