愛読書的枕草子
三毛田さんが楽しい記事を書いておられた。
酷暑だけど、季節っていいな、生きてるの楽しいよなと思える記事だった。
それで私も考えてみたら、本に行き着いた。
(いちばん最後に全作品のリンクを載せますので、ちゃんとしたあらすじや購入先を見たい方はご覧ください)
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☃️🌸
春のはじめには吉本ばななの「ムーンライト・シャドウ」を読む。世界的名作となった「キッチン」の後に掲載されている作品。
「キッチン」ももちろん素晴らしく、何十回も読んでいるのだが、春先まだ寒い季節には「ムーンライト・シャドウ」が良い。
どちらにも言えるが、大切な人と死別したひとの物語なのでとてもさみしく辛い。なのに、ほんのり明るい。読み終わると心がシンとする。なぜか少し励まされ、癒されている。「生きていかねば」と思う。吉本ばなな作品を読んだ後だけの気持ちになる。
☘️💐
少し季節が進み、「今年初の夏日になりました」というニュースが流れるころには西加奈子の「きいろいゾウ」が良い。
夏にあてたほうがいいか迷ったが、読んでいると夏がくることが楽しみになるので、春後半がいい。長編なので、ゆっくり読み進めて終わる頃にはもっと夏が近づいてきており、わくわくする。
初めて読んだとき、愛ってこういうことを言うのかもしれないと、愛について初めて少しだけ解った気がした。目に映るものが、世界が、眩しく尊く思える。
私の人生でいちばん好きな本。
映画化もされているが、私が重要に思っていた部分が大きく無くなっていたので、私としては原作も読んでほしい。
西加奈子さんの作品はご自身が描いた絵が装丁に使われていて、それもまた良い。
☔️
雨が多い季節になると、津村記久子の「とにかくうちに帰ります」。
6篇の短篇集だが表題作が豪雨の日の話なので、大雨が降ると思い出す。津村さんの本はどの作品も感情描写がすごく丁寧。またお仕事や人間関係に関する描写がリアル。不器用にごちゃごちゃ考えてしまうタイプの私は、心救われる。
🍉🌞
夏は原田マハの「風のマジム」。
派遣社員が社内ベンチャー募集の企画を通して、沖縄のさとうきびでラム酒をつくるというお話。
沖縄の言葉や、人との距離感に和み、さとうきび畑が風になびく様が目に浮かんでくる。
そして何より、成功を目指して奮闘していく主人公の勇気にパワーをもらう。
なんと実話が元になっており、読んだ後に売っているお店を探して飲んでみるととても香りが良くて美味しかった。都内でもちらほら酒屋さんなどで販売されている。

原田マハ作品といえば美術関連やお仕事関連の作品が多い。
(ちょっとすみません、これから偉そうなこと言いますけど、)どれも抜群の取材力を感じさせる。取材したことない人が言うのはおかしなことで、恐れ多いのだけど、この作品の完成までにどれほど取材や勉強をされたのかなと圧倒される。
🌰🌃
秋は又吉直樹の「月と散文」。
なぜ秋なのか自分でもわからないが、このエッセイは買うのもずっと楽しみにしていて、いざ読み出すとおもしろくて、終わるのが寂しくなり、ゆっくりゆっくり読んだ。
又吉作品は小説も他のエッセイも、感情と思考をとにかく正直に緻密に描写されるので、エネルギーを感じる。生きづらさとか不器用さとかに共感しつつ、そこまで深く考えていける根性を持つ人は稀だなと思う。
周りの人とのエピソードを読んでいると、いいお仲間をお持ちだなと思う。ご家族もおもしろい。たぶん似てないのに、このご家族だから又吉さんになったんだなとなぜか納得がいく。
いろんな感情になるお話があるが、又吉さんの人柄からどこか可笑しくて、夜道を一緒に歩いている気持ちになる。
❄️🍩
冬は小川糸の「ライオンのおやつ」が良い。2020年本屋大賞第2位だったそうだが、2023年fumfum大賞小説部門では圧倒的最優秀賞。
2023年秋に帰省したとき、母の本棚から借りて読み、東京に戻ってから自分で買ってまた読んだ。
瀬戸内の島のホスピスのお話。主人公は30代にして癌を患い、このホスピスに来た。毎週日曜日に入居者のリクエストの「おやつ」がでる時間がある。裏表紙最初の文章は、「人生の最後に食べたいおやつは何ですか」。
生きること死ぬことがテーマであり、主人公が死ぬことがわかっていて読んでいくというのは悲しいのだが、不思議と重たい気持ちにならない。辛いシーンも多いが、ホスピスで出会う人々に癒され、瀬戸内のやわらかい海風や柑橘の香りがこちらまで伝わってくるようで、心地が良い。
最後にはなんともいえない気持ちになる。
🎍🍶
最後に、正月には北大路公子のエッセイ「生きていてもいいかしら日記」を読む。
正月をひとつの季節とするのも変かもしれないし、このエッセイには正月は出てこないのだが、このゆるさは正月に読みたいなと思う。もちろん年がら年中読んでおもしろい。ただ、電車や人目のあるところでは読んではいけない。

とにかく昼から飲む。夜も飲んでいる。そしてたまに何故か他人に怒られている。ゆるい作風といわれるエッセイは数多くあるが、私が知る中でNo.1は北大路さんだ。爆ゆる。文才があるが故にいろんなものが漏れ出てしまっている。脱力せざるを得ない。

余談
実は当初は「腹痛の枕草子」というのを書いていた。熱く書き進めていたが夏のあたりでだんだん腹の具合が悪くなり、「これは私にも読む人にも悪影響では?」と思いやめた。しかも結局年中お腹は痛いわけよ。どの季節も敵だらけなの。
そんな余談はおいといて、ここから下は登場していただいた本たちのリンクです。ご興味無い方はここでおしまい。ありがとうございました。
