きたきり すずめ │ 子育て日本昔ばなし
うちの子どもたちは、昨日の服と今日の服をずっと交互に着ています。
その切なさを皆さまご存知の『したきり すずめ』の童話になぞって紹介したいと思います。
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
心のやさしいおじいさんは、ニ羽のスズメを飼っていました。
ある日スズメが、おととい着ていた衣をまた着てのです。
「この着たきりスズメ!」
困ったおばあさんはスズメをつかまえると、衣を替えなさいと言いました。
チュッ、チュッ、チュッ!!
スズメは言うことをききません。
間もなくして、おじいさんが仕事から帰ってきましたが、スズメの衣の変わり映えがありません。
「おばあさん、わしのスズメは衣がないのかい?」
「ふん! あの着たきりスズメ。衣を同じものしか着ないから、衣は3着しか要らぬわ」
「なんと、かわいそうに・・・」
心のやさしいおじいさんは、衣の少ないスズメの事が心配でなりません。
「大丈夫だろうか? 洒落た衣が必要だろうか? ・・・よし、探しにいこう」
おじいさんは問屋に、スズメの衣を探しに行きました。
「おーい、おーい。スズメやスズメ。着たきりりスズメは、なにがほしい?」
すると棚のかげから、チュンチュンと、スズメの鳴く声がします。
「おじいさん、これですよ。スズメの衣はこれがいいですよ」
衣の中から、スズメたちが二羽現れました。
「おおっ、すまなかったな。どれ、衣の大きさは大丈夫か? ・・・ああっ、よかった。これなら大丈夫だ」
スズメを見て、おじいさんはホッとしました。
「ありがとう、おじいさん。さあさあ、衣を買ってくださいな」
スズメたちは、おじいさんに真新しい衣を買ってもらいました。
そして家で衣を着たりしてみせました。
おじいさんは、大喜びです。
「それではその衣を明日から着るように」
おじいさんがそう言うと、スズメたちは夕べの衣と、今日の衣を持ってきました。
「おじいさん、明日はどの衣がいいか決めてくださいな」
スズメたちがいいました。
「順番に全部着なさい」
おじいさんは4着になった衣をまんべんなく着るように言いました。
「まあ、まあ、まあ、なんていい物をもらったんでしょう。わたしもほしいわ」
スズメの衣を見て、おばあさんはうらやましくてなりません。
「どれ、わたしもいって、買ってこようかね」
おばあさんも、問屋へ出かけていきました。
そして、問屋に入ると、
「まぁ、なんてかわいい頭巾だろう。スズメたちにきっと似合うに違いない」
おばあさんは頭巾を買うと、急いで家へ帰っていきました。
「さあさあスズメたち、かわいい頭巾だよ」
スズメたちは紙芝居に夢中でしたが、おばあさんは頭巾の姿が見たくてなりません。
「どれ、似合っているか、見てみようかね」
おばあさんは無理やり頭巾を、かぶせてこれも使うように言いました。
◇
「どれどれ、最近スズメたちは新しい衣たちを順番に着ているのかね。うん?・・・ヒェー!」
なんとスズメたちは、新しい衣と夕べの衣の2着を交互に着ていたのです。
「たっ、助けておくれー!」
おじいさんは一目散に、おばあさんのところへ行きました。
そして、おばあさんにこの事を話すと、
「おじいさん、かわいいスズメたちは、つづらから衣を出すのが面倒だから、交互にしか着ないんだよ。これからは、衣は3着だけ買っておやり。それ以上は、欲張らないようにね」
おばあさんは、おじいさんにそういいました。
おしまい
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