デニス・ホッパーが監督したカナダ映画『アウト・オブ・ブルー』(1980)
◆『アウト・オブ・ブルー』(1980/加/Out of the Blue) 〈劇場未公開〉
まともな人間が誰もいない「父・母・娘」三人の〈壊れた家族映画〉でありE・プレスリーを心の拠り所(推し?)にしている少女の〈荒んだ青春映画〉。主演はリンダ・マンズ(1961-2020)で、原題はカナダ人歌手ニール・ヤングの1979年の曲『My My, Hey Hey (Out of the Blue)』に由来するそうです。
映画も音楽(洋楽は特に)も詳しくないですが、2000年頃?に古本屋で出会った優れた映画ガイド本『このビデオを見ろ!』『B級ビデオ発掘カタログ』
の両方で、このマイナーな劇場未公開映画を知ることができました(感謝)。
私はビデオがDVDに切り替わる頃に大阪・日本橋でビデオを100円で購入。
個人的には◎傑作。「パンク・ロック」が、本作の通奏低音のようらしい。
伊藤勝男氏の単著『B級ビデオ発掘カタログ』(青弓社/1988年)の197頁。
_なんとも救いのない暗さでありながら、妙に印象深く、観念的でもありながらストレートな衝撃と、いささか持て余し気味の作品になる。監督がデニス・ホッパー、あの〈イージー・ライダー〉を顧みた時、なんとなく判りかけてくる。_十五歳の少女が主人公――ツッパリ、反抗し、捨てばちな人生を過ごしている少女の、ある種の青春像だ。エルビィス・プレスリーだけを愛し、憧れ、父も母も信じない少女、この少女の孤独感、さまよい方がなんともサマになり、絵になるカッコ良さなのだ。女を臭わせない肉体でありながら妙にセクシーであり、卑猥感が漂っている。全体的にはクールな処理をみるが、やはりデニス・ホッパーの観念か――。自爆に突き進んでいく少女、父も母も哀れみ、達観したかのような少女の存在が不思議に納得させられてしまうのだ。_最近、デニス・ホッパーの出演する映画が多くある。それも納得いかぬ愚にもつかない作品にすら顔を出しているのは、もしや資金作りで次回作となるのだろうか――。
田口トモロヲ氏の『このビデオを見ろ!』(1988年/JICC出版局)での文章。
~~~ 監督、出演しているカナダ映画『アウト・オブ・ブルー』(’80)が。メキシコ、ヨーロッパを彷徨い、ほそぼそとB級ムービーに出演している時期に、さりげなく作られた低予算映画。しかし、この映画をショーン・ペンが観たからこそ、D・ホッパーに『COLORS(※カラーズ 天使の消えた街)』の監督をして欲しいと依頼したという。つまり、『アウト・オブ・ブルー』は、ペン保証付きの快作だ。_題名は、ジョン・ライドンがまだジョニー・ロットンと呼ばれていた時代に、ニール・ヤングが彼に捧げた歌からとられたもので、内容は或る孤独なパンク少女の自己破滅的な独白ドラマだ。どこにでもあるようなアメリカの田舎町、ケルアックの様に路上にたたずみ、故郷からのがれようと車に乗せてもらっては知らない街を彷徨い歩く少女。しかし結局は、戻ってしまう家族のもと。のがれられないその血の濃さ。エルビス・プレスリーとシド・ビシャスしか愛せず“ハートブレイク・ホテル”を口ずさみながら「いつかあんたみたいなスターになるよ」と夢見、「ハッピーエンドは嫌い」とつぶやき、「消えるより、燃えつきたほうがいい」と考え、「パンクは不滅だ、何も恐くないよ」と独白する少女は、まるで監督のD・ホッパー自身のようだ。少女の、アル中でドラッガー(※トラック運転手?ドラッグ中毒者?誤植?)な駄目な父親に扮したD・ホッパーが、カモメが飛び乱れるゴミの埋めたて地で一人働く場面に流れる、N・ヤングの「アウト・オブ・ザ・ブルー」は、まるでハリウッドを追放されているホッパー自身の孤独な心象を表わしているかのようで、涙々……。_アルコールに溺れて、娘と友人を寝かせようとする自虐的な父親ぶりは、ジョン・ウェイン達が作った、アメリカの大いなる父親像に対するホッパーの反逆であり、強く正しいアメリカの夢の崩壊だ。 ~ 口元に安全ピンを刺して、レザーのパンク・ファッションに身を包んで、「シドは恋人と自殺したの。さあ、スタート地点へもどりましょう。すべて、ザッツ・ライト」。あまりにも暗く出口のない絶望を、ホッパーはあくまでも渇いた映像で、淡々と写し続ける。その視線は、彼のハチャメチャな生き方の裏に隠れる正統派指向(銀幕のスター達に憧れて、まともにハリウッド修行をし、J・ディーンと出会った後は、NY・アクターズスタジオで演技勉強をちゃんとした)に支えられていて、きわめてオーソドックスなものだ。う~む、やはり基本あっての爆発かしら? 兎に角、ハリウッド追放中に制作したこの『アウト・オブ・ブルー』を観ずして、現在のD・ホッパーは語れないッ!~~
オリジナル予告篇
ニール・ヤング『My My, Hey Hey (Out of the Blue)』(1979年)
↓『My My, Hey Hey (Out of the Blue)』を翻訳し解説されてる方のブログ。
海外の評価
日本の評価と日本語版Wikipedia(←撮影秘話が興味深い)
DVDは2001年に一度きり発売されたのみ?で、現在は廃版プレミア化してる
日本版DVDのジャケット写真


本作の↓「バスと◯◯」と「広大なゴミ処理場」の場面は強く印象に残る。

ロジャー・イーバート、ジャック・ニコルソン、N.Y.タイムズの本作評価。

アメリカ版?のポスター

『まんだら屋の良太』の畑中 純(1950-2012)はプレスリーの大ファンです。
イギリス版ポスター

フランス版ポスター

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