約束事のように
毎年春に咲く桜に身震いすると言ったマダムがいらした。神社の敷地内ではないのだろうが、参道に近接したところにご自宅があった。その桜並木は、春の一瞬にその存在感を解き放つ。圧倒的な生命力に身震いするのだと言うのだ。
それは、怖いというより、畏怖に近いものではないかと思う。この圧倒的な生命力に希望も見た。東日本大震災の春のこと。日常生活がまだ戻っていないのに、約束事のように咲いた桜から、ものすごいメッセージを感じた。
人間って、ちっぽけだ。だから、右往左往しながら必死に生きてる。いいじゃないか、それで。それで、いいんだ。
大地は大きく揺れて、いつもの地平は違う地平になっても、桜はお構いなしに咲くのだ。それが自然の生命力なんだ。
あの時に、ああ、何かが根底から変わろうとしている。その合図みたいだ、と思った。それから怒涛の日々で、今がある。
その今、時代の変化なのか、地球の変化なのか、身震いするくらい何かを感じている。
マダムの言葉が蘇った。
それは、良いとか、悪いとか、そういうことではなく、人間にはどうしようもない領域のこと。そして、きっと当たり前のように変化していく。人間は、圧倒されるけど、それは約束事なのかもしれない。
その残酷なまでの生命力のようなエネルギーの中にある美しさを見出していたい。
そんなことを思いながらも、かけがえのない日常を送っている。
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