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なぜ被害者バッシングが起きるのか-公正世界仮説

北村英哉 精神科治療学 Vol.37, No.4, Apr.2022, 星和書店

例えば,治安の悪い場所に行って危害を加えられるなどの被害に会った人を,「そんな場所に行く方が悪い」と,危害を加えた相手ではなく被害を受けた人を非難する。そういう状況を,被害者バッシング(被害者批判:victim criticism)と呼ぶ。これは,因果応報(あるいは果報)という一種宗教的な思想に従い,「良いことをすれば良い結果」「悪いことをすれば良くない結果」が「当然」起きる(良くない結果が起きたならば,悪いことをしたに違いない),という社会通念上の信念(公正世界仮説)を基盤に持つ。この被害者は,周囲から反省を求められ,自身でも「自分に落ち度があったからだ」と反省することを強制されることがある。言い換えれば,公正世界仮説による批判が,自分自身の内面に向かう(向かわされる)ということになる。この状態に陥ると,心が逃げ道を失い驚くほどボロボロになる。

はじめに
Ⅰ.原因を推論する認知過程
Ⅱ.公正世界仮説
Ⅲ.安定,安心の日本社会的背景
Ⅳ.解消策


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