ピヤホンと「死んでるみたいに眠ってる」の話

すげーしょうもない話だけど。

いつからかイヤホンを片耳にしか装着できなくなっていた。それも決まって左だけなので、歴代のワイヤレスイヤホンは右側がすぐに壊れて、左耳専用って感じで作動していた。

周囲の音を聞き漏らすのが怖い。しかし、他者の話し声や街頭の雑音は時に大きくフォーカスされ、自分と周囲との境界を容易く侵犯する。
これはADHDやASDなどの発達障害の特性のようだ。僕自身、職場のカルテに「#ADHD」とはっきり記載されている(しかし服薬はしていない)野良犬のような存在なので、これらの音や空間の歪な取り込み現象への対処法として、イヤホンやヘッドフォンから音楽を流し遮断したり、イヤーマフを使用して直接的な取り込みを避ける方法があるのは理解している。理解している、というか、生きてきた中で自然にそうして対処している。
ただ、厄介なことに不安も強い。駅名を聞き逃したらどうしよう、とか、遅延情報を車掌がアナウンスしているかもしれないのに、僕だけ知らなかったらどうしよう、とか。
実は誰かが声をかけているかもしれないのに、無視してしまっていたらどうしよう、車内で包丁振り回す奴が後方からやってきているかもしれないのに、それに早く気付けなければ刺されてしまう、とか。

不安感が先立ち、そのあとに閉塞感が迫る。両耳で音楽を聴くということは、その世界だけになるということだ。普段から脳内で音楽が鳴り、同時進行で実験と複数教科の勉強と感情の漏出と鳴り響くプレイボールのサイレン、我々の脳は常にそんな感じだから、音楽だけの世界に身を委ねるというのは、本当に恐ろしい孤独な空間なのだ。
(もちろんこれを通常は「リラックス空間」と呼ぶと知っている)


音楽は小さなころからずっと好きで、音や声、楽器の機敏とか、小さな変化も数百回、数千回同じ曲を聴いて分析し、感動してきた。その果てに表現があると思っている。けれど、段々不安は強くなり、本当にまったくもって左耳でしか聴けない、悲しい人間になってしまったのだ。

打開したい、もっとちゃんと聴きたいと一念発起して、ChatGPTに有線イヤホンのおすすめを尋ねてみた。どんなアーティストやジャンル、音域が好きかなどに答えて、最終的に有線ピヤホンを勧められた。
ちょうど春頃のフェスで凛として時雨を浴びた時の感動も残っていたので、ピ様、あんたに賭けるよ、という気持ちで有線ピヤホン6を購入した。
外で試すのは怖いので自宅でおそるおそる両耳に装着した。結構重くてでかいけど、びっくりして口開けっ放しになるくらいの音だった。ちょうどたまたま「拒否オロジー」を流したのが運の尽きというか、これまでの拒否オロジーとは違う、もう明確に違う、秋田ひろむがそこで咳払いをしているのがくっきりとわかった。音がとかじゃねえ、そこにいる。

amazarashiの楽曲は左側でメロディーの基本骨格+ピアノと豊川さんコーラス、右側出力の音がアレンジ(主にギター)なので、とにかくこれまでと違う音が鳴る。車内や自宅スピーカーで聴いてきた音ではあるのだけど、楽器の輪郭が恐ろしくクリアで、ChatGPTに「すべての音が立っています」とフィードバックするとちょっと混乱された。語彙のない感想に振り回される、僕を担当するチャッピーも不憫である。

ただDACにまったくこだわりがなかったので、なんかもったいないような気がして結局ピダックを購入。すると「うーん、ピヤホンの純正イヤーピースはちょっとフィット感がなあ・・・」となり、ChatGPTと話し合い、イヤーピースを購入。イヤーピースの世界もこだわり始めると高くつきそうだ。すでに高くついている。

そんで、今、完全なる状態で聴く「死んでるみたいに眠ってる」がもう最高すぎて、とうとうnoteに経緯を書き始めたというわけだ。
「死んでるみたいに眠ってる」はいつになったら正当に評価されるのだろうと思う。この曲はもっとウケるべきだし、なんていうか、もっと前に出してほしい。「生活の果てに音楽が鳴る」を前に出せるならこれだって前に出せるだろ、やろう、「死んでるみたいに眠ってる」ツアー。

なにより、こんな愛のある曲は「君はまだ夏を知らない」と「死んでるみたいに眠ってる」くらいじゃないですか?と思ったら「超新星」にもその一説があった。これ全部父親になった秋田ひろむだからこそ描ける歌詞だと思っています。まじで親だから書ける歌詞です。これらについてじっくり話したいけど、文章に起こすとよくない気がするので、誰かと話したい。

命の喜びは超新星的な輝きがあって、僕はその出演者でいいんだ、って。
子どもの毛で血を拭う日々で、虚飾も卑下も脱げるほどの存在が、死んでるみたいに眠ってるんだ、そいつの寝息は未来の匂いがする。
すげえよ、愛を書けるようになって、うれしいよ。

「間違ってることは支持できない」から先の美しさ、構成、音の混じり。歌詞構成も見てほしい。リードギターも超エロい。なにがみんなを遠ざけるんだろう、やっぱり「法律をやぶりたーーーーい」が共感性羞恥ってやつを煽るのか?だとしたら君はamazarashi初心者だ、冷笑系とは決別してピヤホンを買い、「死んでるみたいに眠ってる」を聴きなさい。あなたの人生は希望に満ち溢れている。


素人だから妥協あってもいいけど、とにかくすげえぞ

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