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「あなたは『ポロネギ』をご存知ですか?(5月17日)」

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体調を崩した母が退院してからというもの、
時間を見つけては実家に立ち寄り、母がこなしていた家事を引き受けている。私は改めて、この家事という「お仕事」の大変さを、この身に感じる。

あれこれ大変な家事ではあるが、母からのお買い物リストを片手に向かうオーガニック系のスーパーは、珍しい季節の野菜や、こだわりの調味料、パッケージの可愛いインポート食材などが並んでいて、眺めているだけで五感が刺激される。

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一通りのお買い物を済ませ、レジへと向かう途中にクリアランスコーナー、賞味期限の都合や『廃番商品』(取り扱いをやめて売り切りたい商品)の中に、ポロネギ(ポワロー、リーキ)を見つけた。

ポロネギとは、日本の「下仁田ネギ」などと似た軸がずんぐりと太く、青と白のグラデーションが綺麗な🇫🇷フランス料理で盛んに使われる食材である。

こじゃれたビストロなどで、夏場に出されるヴィシソワーズ(vichyssoise)。あの濃厚なスープでは、ポロネギをポテトと一緒に炒めて、その甘味を引き出す。

(🇫🇷ポワロー(poireau)は、日本では「リーキ」や「ポロネギ(西洋ネギ)」と呼ばれる野菜。煮込むとトロトロにとろけ、強い甘みが出るため、スープやポトフに最適です。🇯🇵白ネギのようなツンとした辛味が少なく、加熱することで旨味が引き立ちます。)

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冬場のお鍋料理では、白菜と肩を並べる下仁田ネギや白ネギ。
それらネギが程よく煮込まれて、甘くトロトロに美味しくなるのと同じように、ポロネギもクリーミーなじゃがいものスープに、甘味と爽やかな香りを与えるのに欠かせない。

料理本やwebに『ヴィシソワーズ』の事を『ジャガイモのスープ』と表現しているレシピには『ポロネギ』が手に入らない時は、下仁田や白ネギを代わりに使える。」と書かれているのを見かけるが、もしヴィシソワーズの"本当の姿"を見たければ、このポロネギが無くては、ダメだ。
「おでんにお大根が欠かせない」のと同じくらいに大切な材料なのである。

おでんの大根は「主役級の役者」の装いで舞台に姿を表しているが、ヴィシソワーズにおいての「ポロネギの役どころ」は、ずっと控えめである。それは表に姿を見せず、スープに感じる風味と甘みの影に存在を隠す。「黒子」に徹しているのである。

あの、何事にも"自己主張の強いフランス人"に好まれるお野菜にしては、なんとも奥ゆかしい。

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最近まで、ポロネギはレストランなど料理店向きに、フランスから空輸されたものだけだと思っていたのだが、こうして日本のスーパーでも取り扱いしているということは、国内産もあるのだなと思った。

でも、せっかくポロネギとの出会いが、売り切り処分品の売り場とは、何か悲しい。
長く売り場にいたのだろう。おネギの青い部分、その先っぽが萎れ加減である。
クリアランスに置かれていることを恥じているように、うつむき加減で、隅っこにこんもりと積まれていた。

見切り処分品なだけあって、お値段はリーズナブルなのだが、こんもりの数を数えてみると、けっこうな量である。さすがに全部は引き取れない。泣く泣く2本だけを連れ帰った。

(ヴィシソワーズのお料理中。ポワロを千切りに、とジャガイモもザクザク切って、しっかりと炒める。ポワロの持つおネギと共通する甘さと、ヴィシソワーズの優しい風味を印象づける香りがこれで決まる。)

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では、ここからはヴィシソワーズ(温製)の調理へと向かおう。

出回り出した新ジャガと共にザクザクと切って、しんなりするまで炒め、スープストックを合わせて柔らかく煮込む。

仕上げに、牛乳とバターを加えて沸々としたら、ハンドブレンダーをお鍋に入れて、やや汁気のあるピューレにする。特に何もしなくても、じゃがいもとポロネギで濃度がついている。

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お店なら、口当たりをなめらかにしようと漉すところだが、ここはわが家の勝手流に、そのままで。
最後にお塩とコショーで味を決める。

大きめのスープボウルにタップリと注ぎ、あれば仕上げに浅葱(アサツキ、奴ネギ、🇫🇷シブレット)を散らすと、スープに爽やかなアクセントとなるが、無くても十分に美味しい。

いかにも『手間が掛かりました』という顔をしてはいるが、一つのお鍋で炒めて煮るので簡単『ワンパン』料理である。
バゲットか、半円形ドーム型の田舎パン(カンパーニュ)があれば素敵。


(値札には「リーキネギ」との表示。)

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ポロネギの清涼感をまとった甘い香りと、じゃがいものコクにマッタリしつつも、処分品として売り叩かれていたポロネギに私は苦い感覚を覚える。

スーパーで目にした「萎れかけで安売りされていたポロネギ」には『鳥取県産』と出身地が記されてあった。かつてはフランスからの空輸だけが頼りだったものを国内で育てていたのだ。不勉強な私は初めて知った。

過疎化に悩み、衰退が著しい『鳥取県』がなんとか賑わいを取り戻そうとする施策は、県の特産物として、昭和期のラッキョウや梨に見てとれる。
さらに平成・令和には『日本海のカニ』を全国規模で販路を広げるだけに留まらず、JRや旅行会社の協力で、現地で食や観光を楽しむことを目論んで、冬場の企画列車を大いに広告しているのをあなたは記憶に新しいと思う。

この『鳥取県産ポロネギ』も、そういった『新たな施策』なのだろう。応援したい気持ちになった。

今日も、良い一日になりますように。
(🎹MIYABI)

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