あなたは「月の砂漠」派?それとも「星の砂漠」派?
Picturesque Levant 公式ブログはこちら
私が初めてヨルダンのワディラム保護区に足を踏み入れたのは、2008 年 6 月のことでした。あの時のことは今でもはっきり覚えています。
天の川がくっきり見え、星が降る下で一晩中起きていました。文字通り一睡もせず、夜空にちりばめられた繊細な銀細工のような星の美しさを目にしっかり焼き付けていました。
その後、お客様のアテンドとして、そして個人的にも、私は何度もワディラムを訪れることになります。そんな中で、星が主役になる夜と月が主役になる夜と…全く違う表情の砂漠の夜を何度も経験してきました。
ワディラムの夜は、月の満ち欠けによってまったく別の表情を見せるんです。
私はいつも、この砂漠の夜を、勝手にこう呼んでいます。
「星の砂漠」と「月の砂漠」
どちらが良い、悪いではありません。大切なのは、「自分は何を見に行きたいのか」だと思っています。
星の砂漠(新月のワディラム)
月が新月や三日月の頃は、夜の早い時間に月が沈み、その後は暗い夜空になります。
月明かりが消えたあと、砂漠の上には満天の星が広がります。とくに空気が澄んでいる日は、星の一つひとつが、くっきりと見えます。
夜空に張り巡らされた天の川は、まるで黒いビロードにほどこされた、繊細な銀細工のようです。

そのまま静かな夜が明け、やがて淡い朝焼けが始まります。そして朝日が昇り、静まり返った砂漠にゆっくりと光が差し込みます。
星空から朝へ移り変わるこの時間は、何度体験しても心に残ります。
月の砂漠(満月のワディラム)
では、満月のワディラムはどうでしょうか。
実はこの時期、夜が明けるまで月がずっと空に残ります。そのため、星はほとんど見えません。
「星を見に来たのに……」
そう感じてしまう方がいるのも、正直なところです。けれど、その代わりに現れるのが、月明かりに照らされた砂漠と岩山の世界です。

真っ暗な夜とはまったく違い、岩の輪郭や砂の起伏が浮かび上がり、まるで別の惑星にいるような景色が広がります。
星は見えなくても、砂漠そのものの姿を静かに味わえる夜。私はこれを「月の砂漠」と呼んでいます。
星を見に行くのか、砂漠を見に行くのか
ワディラムは、
新月の頃は「星の砂漠」
満月の頃は「月の砂漠」
という風に、まったく違う表情を見せてくれる場所です。
大切なのは、「どちらがきれいか」ではなく、自分は何を見たくて、ワディラムに行くのかを、先に決めておくことだと思います。
星空を見たいなら、新月。
砂漠そのものの幻想的な姿を味わいたいなら、満月。
同じワディラムでも、出会う景色は、人それぞれ違います。
もやがかかることもあります
実は、ヨルダンの国土の多くは砂漠で、周辺にはサウジアラビアなどの砂漠地帯が広がっています。そのため、砂嵐の影響で、空に靄(もや)がかかることがあります。
そうなると、星も月も、正直ほとんど見えません。ただし、日中にもやが出ていても、夜になると空気が澄んでくることも多いです。
「必ず見える場所」ではない、ということだけ、少し頭に置いておいていただければと思います。
結局、いつワディラムに行けばいいの?
すでに旅行日程が決まっている方は、出発前に必ず滞在日の月齢を確認してみてください。私は「満月カレンダー」などの月齢サイトを利用しています。
目安はとてもシンプルです。
新月に近ければ「星の砂漠」
満月に近ければ「月の砂漠」
新月から半月にかけては星を見ることができます。ただし、半月から満月に近づくにつれて、星が見える時間は短くなり、満月の夜はほとんど見えなくなります。
もし、「どうしても天の川を見たい」という希望がある方は、先に月齢カレンダーを見てから、旅行日程を決めることをおすすめします。実際、お問い合わせいただいたお客様の中には、この月の満ち欠けのお話をした後に再考され、旅行のご日程を延ばされた方もおられます。
保護区内のキャンプ場をおすすめする理由
ワディラムは、大きく分けて
保護区内エリア
保護区外の「ディースィー (Disi)」と呼ばれるエリア
に分かれています。
この違いについては、別のブログで詳しく紹介していますが、ここではとても大切な点だけお伝えします。
保護区内にある、正真正銘のベドウィンのキャンプ場は、とてもシンプルな造りです。一方、ディースィー側には、いわゆる「ラグジュアリーキャンプ」が多く、なかには照明がかなり明るい施設もあります。
星や月、そして砂漠の自然な雰囲気を味わいたい場合、この照明が意外と大きな差になります。
正直に言えば、保護区内のキャンプ場は不便です。お湯が出なかったり、夜はとても暗かったりします。でも、砂漠という場所は、本来そういう場所です。
だからこそ私は、ワディラムに来られる方には、できるだけこの「本来の砂漠の姿」を体験してほしいと思っています。
写真について、正直にひとこと
あのワディラムの夜空に広がるまるで繊細な銀細工のような星空や月の砂漠を、いつか自分の写真に残したい…そう思いながら、何度も挑戦してきました。
けれど、正直に言って、技術がまったく追いつかず、「これだ」と思える星空写真を撮れたことは、まだありません。
そのため、この記事で使用している星空の写真は、AI によって生成したイメージ写真です。
実際のワディラムの星空は、写真以上の美しさがあります。もっと静かで、もっと深く、心に残る景色だと感じています。
私の目が変わっても、ワディラムの夜空は変わっていない
実は少し個人的な話になりますが、ヨルダンで過ごすうちに、私の目は若年性白内障と診断された時期がありました。強い日差しの影響も大きかったのではないかと思っています。
その後、目の状態は改善し、現在は白内障とは診断されていません。けれど残念なことに、星空を以前のようにくっきりと見ることはできなくなってしまいました。私の目の機能が落ちてしまったのです。
2008 年に初めてワディラムを訪れたあの夜のように、はっきりと天の川を見ることができる目では、もうありません。
それでも、ワディラムの星空が美しくなくなったわけではありません。あの砂漠の夜空は、今でも言葉にできないほど美しいと、私は思っています。
実際に、現地でご案内しているお客様からも、「本当に言葉が出ないほどきれいでした」と、何度も聞いてきました。
私自身はもう、2008 年のときのように星を見上げることはできなくなりましたが、あの美しい星空の下で眠った体験は、私にとって一生の宝です。
旅のご相談について
ワディラムの現地事情や、キャンプ選び、日程の組み方などについては、公式サイトの方で個別にご相談もお受けしています。
もし、これからワディラムの旅を計画される方がいらっしゃいましたら、無理に申し込まなくても大丈夫ですので、参考程度にのぞいてみてください。
