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うつ病で今苦しいあなたへ、うつ病の私から。

うつ病が寛解すると、元通りの自分に戻れる。

そう思っている人は、きっと多いと思います。

お医者さんも言っていました。多くの人が、そう誤解している、と。

とくに、うつを「甘え」だと思っている人は、こう考えるみたいです。怠けていた期間が、やっと終わっただけだ、と。

でも、実際は、そうじゃありませんでした。少なくとも、私の場合は。


一度目のうつ病が寛解したときも、「完全に治った」という感覚は、ありませんでした。

ただ、薬がなくても、生きていけるようになった。それだけです。

たぶん、うつに「完治」はないんだと思います。

風邪みたいに、治って元に戻る、というものじゃない。

そうじゃなくて、上手く付き合っていく生き方を、少しずつ見つけていく。

私個人は、そういうものだと思っています。


そして、もうひとつ気づいたことがあります。

寛解しても、元の自分には、戻らない。

戻るというより──別の自分が、現れる。

生まれ変わる、という言葉のほうが、近いかもしれません。


一度目のうつから回復したあと、工場で社会復帰した私は、人への興味が、すっぽり抜け落ちていました。

誰が、どこで、何を話していても、どうでもよかった。良くも悪くも、まわりが気にならない。

そして、それが──すごく、生きやすかったんです。

きっとあれは、傷ついた本音が、自分を守ろうとして、無関心という鎧をくれたんだと思います。


でも、二度目の今の私は、違いました。

同じうつから帰ってきたはずなのに、まるで別人でした。

鎧が、ない。

人のコソコソ話が、聞こえすぎる。聞きたくもないのに、鮮明に届いてしまう。

そして、そういう話を聞いて、よかったことなんて、一度もありません。

ふだんは優しい人も、いい人も、みんな、驚くくらいくだらないことで、何十分も、誰かの悪口を言えてしまう。

対象が自分じゃなくても、それは、ただの、嫌な雑音でした。

無になりたいのに、その雑音だけが、やけに鮮明で。ときどき、息ができなくなります。


正直に書くと、今も、通院しています。二度目のうつ病の、まっただ中です。

だから、これはきれいに解決した人の、振り返りの話じゃありません。

まだ、渦中にいる人間が、渦中のまま書いている話です。


うつは、100人いれば、100通りあると思います。

だから、これはあくまで、私ひとりの主観でしかありません。

あなたのうつと、私のうつは、たぶん違う。

それでも、ひとつだけ、今の私が思っていることがあります。


二度目のうつ病が、いつ寛解するのか。そのとき、私がどんな自分になっているのか。

それは、まだ、まったく分かりません。

無関心の鎧を、また持っているのか。それとも、この繊細すぎる感覚のまま、別の付き合い方を見つけているのか。

分からないけれど──

私は、そのとき会える「新しい自分」を、ちょっと、楽しみにしています。


戻れないなら、生まれ変わるしかない。

だったら、次に生まれる自分が、どんな人なのか。見てみたい。

苦しさのなかでも、その気持ちだけは、本当なんです。


だから、もし今、あなたが辛いなら。

無理に、前を向かなくていいです。治さなきゃ、とも、思わなくていい。

辛いと思いながら、生きている。ただ、それだけで、じゅうぶんです。


今、ここにいて。この記事を、ここまで読んでくれて。

もし、この言葉が、少しでもあなたに届いていたら。それだけで、私は、うれしいです。


出会ってくれて、ありがとう。

──采乃

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うつろい|采乃 写真と言葉で、日々のうつろいを記録しています。 チップをいただくたびに、単純な私はすぐ調子に乗って次の記事を書きます。