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幻夢

疲れた体ごと、地面に突っ込みそうになりながらひたすら歩き続けた
体から染み出す冷や汗が体に纏わりつく

ポケットの中に手を突っ込んで
ガチャガチャと鍵を鳴らす
チラッと見た花屋のウインドウに映る
死んだ目をした私

ため息をつき
重たい体を引きずりながら
いつもと同じ道を黙って歩く

日付が変わろうとしている
街中はシーンと静まり返り
私の靴音だけが響く

やっと
たどり着いた
マンションのエントランス

寄りかかるようにして
降りる階のボタンを押す

オンボロエレベーターは
ゆっくりゆっくりと
のぼりはじめた

エレベーターを降りると
ぞわりときた
鳥肌がたった

あぁ、まただ…

座り込みそうになりながら
手すりを握り
自宅前まで行く

やはり、いる

もう、勘弁してよ

何も見えない
暗闇の中
奴はいた
奴は見ていた
暗闇に二つ

光る目が
こちらを見つめて
笑ってる

いきなり
頭上から
パラパラと金平糖が降ってきた

バタバタと
家鳴り達が現れて
キャッキャと騒ぎ

取り囲み
光る目玉を連れて行った

最後尾の家鳴り
振り向き
キャッキャと笑い
金平糖をおとし
大きく手を振って消えて行った

ここ何日かこれの繰り返しだ

何故、うちなんだ?
あの目はなんなんだ

一気に疲れが押し寄せて
私はその場に倒れ込んだ

意識が飛ぶ瞬間

家鳴りと黒い目玉が私の周りで
踊りながら歌っていた

「近所迷惑だからやめなさい」

かろうじて叫んだ所で
私は意識を失った



ゲフゲフ…

息苦しさに目を覚ました

カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた

口の中いっぱいに
金平糖が詰め込まれていた

あぁ
まただ…

私は起き上がり
シャワーを浴びた

食パンを齧りながら
出勤準備をした

玄関でパンプスを履いた

玄関のドアを開ける時

「行ってらっしゃい」

微かに聞こえたが、
無視をして
私は扉の鍵をかけた

さあ、今日も忙しくなるね

眩しい朝日に話しかけて
駅までの道を歩き出した。

部屋の窓を黒い影が横切った

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