レビュー 中村卓哉 海のメッセージ──地球・人間・時代
あまり日本にも陸地にもいないのでなかなか会えないのだが、久しぶりに古巣の江古田で飲むことになり、その時頂いた水中写真界のエース、中村卓哉氏の本を紹介したいと思う。

中村卓哉 海のメッセージ──地球・人間・時代
この本は2019年から2025年の間、共同通信から配信された連載「水のメッセージ 地球3分の2 海」をもとに再構成されたもので、彼の初めてのフォトエッセイだと言う。私も去年ちょうど連載をもとにフォトエッセイを出したところなので、本に纏める難しさなど少しシンパシーを感じつつ読ませて頂いた。
本書は37箇所の海を舞台に、1箇所づつ簡潔だが丁寧にその歴史観や環境の特徴、生き物たちの姿が鮮やかな写真とともに綴られている。
地球は広い、その2/3は海なのだからやはりそのスケールは陸地とは違う、そして知らない事が多い。彼の写真や文章には単純に「きれい」とか「へ〜」とかで済ませられないメッセージか込められていて、改めて地球のもつ生命や環境の多様性を感じ、人がやってきてしまった事、これからやるべき事、それを受け入れ、地球の生命を繋げて行きたいと思う気持ちがもち上がる。
印象的だったのは「海の中のオーロラ」という回の話。オーロラと言うので北の果ての海なのか、はたまたオーロラのような色彩をもった南国の珊瑚礁のことなのか、と思っていたら鹿児島県、薩摩硫黄島の海だった。内容は是非とも本書を手に取って確認して頂きたいのだが、表紙にも使われているこの写真はとても印象的で、自然が作り出す絶景はやはり想像を絶する物なのだなと感心してしまった。
ほかにも「真珠の首飾り 温暖化の影」や「海中美術館」など魅力的な話が沢山あり、次々と読み進めているとまるでアイランドホッピングをしているように世界中の海を見て回った気持ちになるのだが、それは楽しくもあり、やはり深く考えさせられるものでもある。
何ができるのか、自分など微力ではあるがメッセージはしっかりと受け取りたいという気持ちになった。
陸地であれば私も相当世界中で撮影して来たが、やはりそんな気持ちを込めて撮影していたなあと思い出す。そして、陸も海も両A面のコンテンツとして発信していくべきものだ、それもフォトグラファーの役割りなんだと再認識するのだ。
あらためて
素晴らしき水中のアーチストにエールをおくる。
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中村卓哉 海のメッセージ──地球・人間・時代
ぜひお手に取って欲しい一冊である。
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