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「1日1万歩歩けば大丈夫」? 歩数事情とMETs(メッツ)の話

シニア世代から働く世代まで、どこで運動の話をしていても、必ず出てくる話題が「歩数」についてです。
話題に上がりやすいその理由は、どんな世代の方にも身近で、また歩数というわかりやすい指標があることでは無いでしょうか。

そこで今回は、歩数と運動強度について書いてみます。

「1万歩歩いてるから大丈夫!」ちょこちょこ歩きの男性 -Part1

都内の介護予防インストラクター時代の話。
とある区の介護予防事業にご参加の男性から徐に歩数計を見せていただき、「毎日1万歩歩いてるの!」と歩数の話題に。

教室の対象者は、65歳以上で教室に自ら応募し3ヶ月間毎週通われる方々ですので、運動に対する意識はとても高いです。

そんな中でこちらの1万歩の男性。実は開始時からその「歩き方」が気になっていた男性でした。具体的には、小股歩行ですり足であることと、姿勢が前のめりで目線が下、と言う感じです。

楽しく日々1万歩をクリアすることを習慣化されているその意欲に感動しつつも、もう少し歩き方や通る道、距離など「質」について意識をされると、もっともっと良くなるのではと感じていました。
しかし物事には言うべきタイミングというのがあります。そのあたりは見誤らないよう気を付けている私。


ーさて、どうなったでしょうか。少し長くなるので、続きは最後(Part2)に。



そもそも歩数はどのくらいが良いのか

厚生労働省が掲げる「健康日本21(第三次)」の目標値では、

▶︎成人(20〜64歳) 8,000歩
▶︎高齢者(65歳以上)  6,000歩

となっており、その他の最新研究でも多少の違いはあるものの、大体平均的に上記と同じような数値となっています。

つまり「無理に1万歩を目指す必要はない」というのが現在の定説です。

そのような現在の定説に加え私自身が大切にしている「質」についても少しずつ解説をしていきます。


「ちょこちょこ歩きの1万歩」
例えば家の中での移動や、オフィスの往復だけの歩数は、歩数計の数字は増えても健康効果(特に心肺機能や筋力の維持)は低いです。
これには明確な理由が2つあります。

1. 「運動強度(METs /メッツ)」が足りない ※METsについてはこの後解説
健康維持や介護予防に必要なのは、ただ足を動かすことではなく、「適度な負荷(中強度の運動)」を身体にかけることです。だらだら歩きは「低強度」の運動にとどまるため、生活習慣病の予防や筋力維持に必要な刺激になりません。

2. 「歩幅」が狭いと筋肉が使われない
ちょこちょこ歩き(歩幅が狭い歩き方)は、太ももやお尻、体幹の筋肉(大腰筋など)をほとんど使いません。これではいくら歩数を重ねても、下半身の筋力低下やバランス能力の低下を防ぐことができず、「歩けるけれど転びやすい体」になってしまいます。


しかし、ちょこちょこだろうとなんだろうと、歩くというアクション自体にも充分に良い効果はあります。座っているより間違いなく筋肉を使って、骨に刺激も入っていて、血行も良くなっています。

また、一定のリズムで運動をすることで、脳内に幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌され、心のバランスも整います。

私自身が、山形に来てからも自転車や歩き移動を大切にしているのは、このような運動習慣の大切さを感じているからでもあります。普段の私はむしろ「やらないより何かやったほうが良い!数値だとか時間だとか細かな理論より、やるんだよ!」派です。笑
しかしながら、やはりそれは自分が運動に親しんできて、色々と学び、ある程度のことを把握しているからの「なんでも良いからやらないよりやる!」な訳なので、ちゃんと説明も必要だ、と心改めた2026であります。


ということで、なんだか面倒だなぁと思ってしまった方!それでも大丈夫です!
とにかく動いてまいりましょう!!

「質」とは何か METs(メッツ)の話

話を元に戻して解説まいります。

一言でいうと、METs(メッツ)とは「座ってゴロゴロしているときと比べて、その運動は何倍エネルギーを使うか?」を表した数字のことです。

◼️基準は「テレビを見ながら座っているとき = 1」
すべての基準になるのが「1METs」で、この1METsというのは人間が生きているだけで(息をしたり心臓を動かしたりするだけで)使う、一番ミニマムなエネルギーの量だと思ってください。
テレビを見ながら座っている時や、スマホを眺めているときは1METsになります。

◼️数字が大きくなるほど「ハードな運動」
この「1」を基準にして、運動のきつさに合わせて数字が 2、3、4…と増えます。例えば、

・2METs:部屋の中を歩く、だらだら歩き
・3 METs:普通の歩行(通勤・通学)、お風呂掃除
・4 METs:早歩き、自転車に乗る、子どもと遊ぶ
・5 METs:かなり速く歩く、野球
・7 METs:軽いジョギング、サッカー、テニス
・10 METs:全力ダッシュ、水泳(クロール)

簡単にまとめてみましたが、大体こんなところです。

◼️歩き方でMETsを比べると?
・ダラダラちょこちょこ歩き :2〜2.5METs
 →家の中で動くのとあまり変わらない
・背筋を伸ばした早歩き:4 METs
 →しっかりした運動に!

なんとなく歩く2METsから、息が少し弾むくらいの早歩きにすると4METsに跳ね上がります。

歩数を増やすためになんとなく歩きで長く歩くより、「安静時の4倍のきつさ(4METs)の時間」を1日15分作るほうが、効率よく筋肉や心臓を鍛えられます。15分はちょっと大変かなという場合も、ほんの少しでも強度を上げてみようかな、という気持ちになりますよね。

METs一覧表

※厚生労働省 健康日本21アクション支援システム生活活動のメッツ表・運動のメッツ表(2026年1月版)を元に作成


歩数派・METs派

今はスマホで気軽に歩数がわかる時代です。
歩数を元にご自身の運動量をチェックするのはとても良いことですので、そんな歩数派の方も数字に追われて疲れてしまうより、まずは1日7,000歩を目指しましょう。そしてそのうちの15分間だけは、「いつもより大股で、背筋を伸ばして、速く歩く」ことを意識してみてください。量より質を変える方が、10年後の足腰には絶対に効きますよ!

そしてそして。
「うーーん7,000歩もハードルが高いなぁ」という方。
わかります!わかりますよ〜 そういう方も、諦めないで。METs派でいきましょう。
まずはスマホで、日常の1週間分の歩数を遡って観てみましょう。スケジュールと照らし合わせ、歩数が多い日・少ない日・仕事(学校)など忙しかった日・お休みの日、それぞれにどんな傾向があるか観察してみましょう。
そして歩数を増やすことだけにこだわらず、どこかにMETsを意識して運動を取り入れられる隙間がないか考えます。
▶︎METs派の例
仕事の日は歩数は多いけどMETs的には数値が低い気がするから、トイレに行くときに1フロア上のトイレに階段で行くようにしよう。
休みの日の歩数は少ないけど、確かこの日は坂の上にある自販機まで歩いたな。METs的には悪くない傾向だから、これからも飲み物はこまめにあの自販機に買いに行こう。 などなど。


「1万歩歩いてるから大丈夫!」ちょこちょこ歩きの男性 -Part2

さて、冒頭で書いた男性について。その時ちょうど教室で「正しい歩き方で歩き、歩くこと自体を”ながら筋トレ”にしましょう」という内容を積極的に取り入れていたので、3ヶ月間様々な事を行う中でも、歩き方の内容の際には、その男性にさり気なく多く声掛けを行うなどして、とにかく今のやる気や考え、想いを少しも否定をする事なく、自然と歩き方の意識を変化させていけるよう進めていきました。

その甲斐あってか、(教室に通いご参加の皆様と交流することで、意識も色々と変わったかと思いますが)3ヶ月の教室の前後で行う体力測定では、歩行系の2項目について数値が上がり、見た目にも姿勢が良くなられました。

なんとなく歩くだけではなく、身体を痛めにくい動作で筋肉を使いながら歩く。運動量も上がり、心も晴れやかになり、男性は笑顔で教室を修了されました。


最後に

日々は運動と共にあります。心臓だって、筋肉で動いています。
質と量、どちらもバランス良くが理想ではありますが、それぞれのライフスタイルや好き嫌い、得意不得意があります。
ぜひ目標や目的を見失わず、楽しめる範囲で身体を動かしませんか。
「運動は逆算」が基本ですが、なんだかわかんないけどとりあえずやってみることを目標にしてみたら、なんらかの結果がついてくることもあります。
トライ&エラーエラーエラー、七転び八起きです。どうしても運動を勧めると、元気な感じやキラキラしなければいけないような圧迫感を感じる方もいるかもしれません。でも、そうでもないんです。あなたのままで、でもちょっとだけ身体を大切にできる日々を探していきましょう。


我が家の0歳猫 獅子丸


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ー記事内イラスト:sushitopia

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