『恋しくて』- I miss you - 電子書籍 配信中 2026.9.1から kindle unlimited+コミックシーモア読み放題で読めます。
イラストはココナラ / きこ kiko様― 2023年に作成していただきました。
今更ですが、誤字脱字と変更したかった箇所を一番下にメモしています。
2025年8月8日 配信日
過去投稿サイトに掲載していた作品 約 61,000字
―― 簡単な紹介文 ――
不倫相手からの告発で夫の不義を知らされた妻。
それは青天の霹靂としか言いようがなく茫然と立ち尽くすしかなかった。
『 あなたの旦那、よそで浮気してますよ』の告発メールが。
ただの悪い悪戯だと思った。
誰がこんなことをするのだと、夫は笑い飛ばすだろうと思っていた。
なのに……。頭を垂れる夫。
私の知ってる夫は、こんなに簡単に夜の女と遊ぶような
人ではなかったはず。しかも3年ですって? 3年も?
ねぇ、こういう時、私はどうすれば正解なのだろう……。
泣き叫んで夫をなじる? もっと問い詰める?
それともひたすら悲しんで泣き続ける?
妻の亜香里はなんとかして元に戻りたいと願うが、菊池鞠の策略で
苦しめられ、結局、瑛の元に留まることは叶わなかった。
夫の瑛のことを憎いと思うようになる前に、亜香里は家を出る。
瑛は離婚だけは避けたいと願うが、亜香里の意志を変えることは
できなかった。
そして別居から離婚へと進む。
その後―――
職場である病院で旧知の知り合い(澁澤 櫂)に遭遇したことから、
亜香里の新しい人生が動き始める 。
そして家族ぐるみで親しくなった櫂と縁あって結婚をすることになるので
ある。それは、暗い影を落としとていた亜香里や家族にとって癒しとなり
素晴らしい人生となっていく。
新しいパートナーに愛され大切にされることで、亜香里は人として女性として、自信を取り戻していく。
Sample文
◇有り得ない
夫が不倫をしていた。
それは私にとって青天の霹靂としか言いようのないもので、
3年もの長きに亘る不倫だった。
私にバレて、夫自ら2人の関係を強制終了させた。
夫はきっぱり別れたからと私との再構築を強く望んでいるが、許して
あげなくちゃとは思うものの、私はなかなか受け入れることができず。
どうしたら、どんなふうな考え方をすればこんなの
大したことじゃないって思えるのだろう。
どうすれば彼を許して再構築できるというのだろう!
でも、浮気相手に本気じゃなかったのなら、夫の提案を
受け入れてもいいんじゃない?
あの日のことを思い出すだけで何とも言えない気持ちになる。
◇ ◇ ◇ ◇
珍しく夜にメールが届いた。
私はメールをリビングで受け取った。
携帯に届いた知らないアドレスからの1通のメールには
文章と共に男性の後ろ姿が映った画像が添付されていた。
――― あなたの旦那、よそで浮気してますよ ―――
最初は悪い悪戯だと思った。
画像も肝心の顔が映ってなくて、後ろ姿だし
小さくて本人だと断定できる代物じゃあないしで。
ただ気になったことがあった。
画像の中の男性は上は半裸で、下半身はホテルの白いバスタオルを巻いて
おり、ベッドを背に、側に備え付けられている小さなサイドボードの上にあるカバンを開けて何かしている風だった。
設定としては、男性の立つ位置からすると真後ろにあるベッドを挟んで
佇む人物が、すぐ側で隠し撮りしたのだろうことが伺えた。
そのカバンが夫の持っているカバンによく似ていた。
だけど、特徴のあるカバンじゃない。
誰でも持っていそうなカバンなのだ。
たまたまよ、そう思った。
だけど、とにかく気持ち悪い。
私は疑いを早く払拭したかった。
夫と一緒に誰がこんな気分の悪い悪戯するのかしらね?
と言いたかった。
晩酌をしていた夫は、ほろ酔い加減でウトウトとソファで
うたた寝をしている。
◇ 1通のメール
「ね、ちょっといいかなぁ、起きて」
「ン? ……」
「変なメールがきたのよ、見て!」
「う~ん、……メール? 」
なかなか覚醒できない夫に……。
私は自分の携帯電話を差し出しながら言った。
「あなたが浮気してるって書いてあるのよ」
夫がおもむろに私宛にきたメールに目を通した。
「どう? それ、あなたなの? 」
私はまったく夫とは思ってなかったのだけれど、少し
おちょくってやろうと、そんなふうに言ってみた。
『あははは、ンなわけないだろう』
と夫が答えるだろうと信じて疑わずに。
それなのに……
彼はしばらくの間沈黙を保ち、呆然とメールを見つめるばかり。
顔を上げた夫の表情を見た時、なんだろう第六感とでも
いうのだろうか、駄目だこの人は何か私の聞きたくない
ことを言いそうだ、と感じた。
どうして、否定しないの?
すぐに否定して……。
『えっ?』
「すまない、ほんの出来心……なんだ。ほんとにすまない
相手とは今すぐに手を切るから」
夫は座っていたソファからスルリと床の上に移動し、
素早く私に向かって頭を床上近くまで下げて謝罪して
きた。
土下座? に近かった。
「ごめん、もう二度と君を裏切るようなことはしない。
誓う、許してくれとはとても言えないけど、これからの
自分を見てほしい」
◇本当なの?
「え? やだっ、何言ってるの。
ええっ! 冗談止めて、悪ふざけが過ぎるわよ、もう~」
「……」
頭を振る夫。
「ほんとに、これあなたなの? 」
「そうだ……」
「いつから? 」
「3年ほど前から……になる」
「毎週会ってたの? それとも毎日のように会ってたの?」
「そう頻繁に会ってたわけじゃない。
1か月に一度の時もあるし、3か月に一度の時もあった」
何それ?
そんなこと……何も聞きたくなかった。
なのに、それでも聞かずにはいられないという不思議な相反する
感情に襲われた。
「同じ会社の人なの? 」
「いや、違う」
「どこで知り合ったの? 」
「時々行く店の……ショットバーに勤めてる女性だ。
すぐに、今すぐに彼女とは手を切るから」
言うや否や、夫は私の目の前で女に『妻にバレたのでもう
会えない』とメールし、そしてその場でメールアドレスも
電話番号も削除してみせた。
それは私にとってあっという間の出来事だった。
夢を見ているような気がした。
夫が浮気?
私の知ってる夫は、こんなに簡単に夜の女と遊ぶような
人ではなかったはず。しかも3年ですって? 3年も?
ねぇ、こういう時、私はどうすれば正解なのだろう……。
泣き叫んで夫をなじる? もっと問い詰める?
それともひたすら悲しんで泣き続ける?
◇再構築
私からの告白を聞いた妻の顔と瞳を私は一生忘れないだろう。
なんとも信じがたい現実と向き合ってる妻の表情だった。
妻は泣きも怒りもしなかった。
3年に亘る私の浮気にこう呟いた。
「私に見つからなかったら、まだ続いていたんじゃないの? 」
「すまない、そうかもしれない……」
「あの……子供のためとか世間体のために私のところに
いなくてもいいのよ。本気なら彼女の元へ行ってもいいのよ? 」
「何、言ってるんだ、そんなこと一度も考えたことないよ。
俺が……今こんなこと言ってもどの口がって思われそうだけど
俺が愛してるのは亜香里だから、そんなこと言わないでくれないか。
俺はやり直したい、亜香里と。
言えた義理じゃないのは分かってるけど」
◇ ◇ ◇ ◇
その昔、妻とは私が好きになり猛烈にアプローチして結婚した。
そのあとも、交際していた頃と同様に太陽のように明るくて性格も良く、
両親とも程よい距離感で上手く付き合ってくれ、そして私に元気で明るい
良い子を生んでくれた。
仕事もしているのに家事育児もしっかりこなし、両親の世話もしてくれる
良妻賢母を絵に描いたような素晴らしい理想の女性だ。
ちょうど3年前、私の母親が不調になり、以後両親宅の
家事等、細々なサポートをしてくれていて。
自分の親の世話をしてもらっている時にふと魔が差して
私は誘われるままに、浮気をしてしまった。
私は何て罪作りなことをしてしまったのだろう。
妻に知られ、妻のこの世の青天の霹靂とでも言わんばかりの
顔を見て初めて罪の大きさを実感した。
妻の言う通り。
今回見つかっていなければ月に1度あるかないかの逢瀬といえども
ズルズルと関係を続けていたのだろうと思う。
それにしても、妻の予想外の申し出には正直驚いてしまった。
普通、夫の浮気を知ったら妻というものは怒るものではないのか?
それなのに妻は、本気なら相手の元に行ってもいいと言ったのだ。
嫌味で言われたのならまだ分かるが、彼女の物言いの中に
嫌味などはなく、本心から言ってるのが分かるから……戸惑いを
隠せない。
妻のこの物言いを聞き、真面目で誠実に生きている人間に裏切り行為
などをすれば、何かとんでもないことになるのでは? というような
畏れのようなものが頭を掠めた。
◇ 馴れ初め
瑛と亜香里の馴れ初めは、大学時代に遡る
各々の大学での企画もので、テニスの合宿があった。
それに瑛も亜香里も参加していたのだ。
数十人いる中で男女5人ずつ、グループで仲良くなり
軽井沢から地元へ帰ったあとも半年くらい、皆で会ったり
していた。
そしてその後、段々グループ交際も各々散り散りに
なりはじめた頃、瑛は亜香里に交際を申し込み……
2年ほど付き合って結婚した。
瑛は鼻筋が通り、切れ長の目に身長も高くサラサラヘアーの
長髪で肌はテニスで一年中小麦色。
大学も偏差値が高く他の大学の亜香里とわざわざ付き合わなくとも
周りには瑛に好意を持つ女子学生はいくらもいて、実際女友達はたくさんいた。
だが瑛自ら、自分の時間を割いてまで深い付き合いをしたいと
思うような女子はいなかったし、この先もガールフレンドがいれば
特定の彼女はいなくてもいいと思っていた。
男友達との付き合いが楽しかったのもあるし、くっついたり
離れたりとややこしいことに巻き込まれるのはまっぴらだった。
そして一番の理由は、男友達との付き合いを越える相手に
出会ったことがなかったから……というのが一番の理由だった。
しかし、グループ交際してみてはじめて亜香里という女子の
存在が、今まで関わってきた女友達とは違っていることに気付いた。
気がつくと、亜香里に魅了されていたのだ。
今までにないトキメキを伴う感覚だった。
早く、はやく、自分のものにしないと誰かに取られてしまうと
感じるほど亜香里に惹かれ、惚れてしまったのだ。
異性に対してそんな気持ちになったのは初めてのことで
今までの自分からは想像もできないくらい、熱烈にアプローチ
して亜香里を落とした。
瑛は熱烈に言い寄られたことは数々あれど、自ら熱心に女子を
口説いたことはその時まで皆無だった。
亜香里の最初の返答に瑛は思い切り仰け反った。
「考えさせてほしい」……がその返事だったから。
しかし、それもまた瑛の気持ちを更に惹きつけるのには
充分だった。
喜んでOKすると思っていたので、その返事は斬新だった。
そのことが更に瑛にとって亜香里に対する興味をそそることに
なった。
亜香里はこれまでに身近な友人たちの異性との愛憎劇を目の当たりに
してきたことで、異性との一対一の付き合いに不安を感じていたらしい。
◇ ◇ ◇ ◇
私は、浮気がバレた日の夜、亜香里に交際を申し込んでOKを
もらえた日のことを思い出していた。
3回目の申し込みで交際をOKしてもらった日、亜香里が何て
言ってたか朧気なのだが、自分は彼女に確かこう言ったと記憶している。
「大丈夫だよ、大事にするから」
私は、大嘘つきだ。
◇ 戸惑い
相手の女性のことを本気で好きなら私とは別れて彼女の元へ
行ってもいいのよ、と私は夫に言った。
それなのに目の前の夫は、私とやり直したいと言う。
夫はきっぱり別れたからと、再構築を強く望んでいる。
私に見つからなければ、まだ続いていたかも……ううん
きっと続いていたのだ。
突発的な浮気でもなければ、数回の関係でもなく。
この目の前の事実を受け入れて、果たして私たちはやり直せる
のだろうか?
自分は今知った事実に確かに混乱している。
私がテレビや雑誌で知っている浮気をした旦那たちは、確か
古女房を足蹴にし、若く綺麗な女性に靡き、子供さえも捨てて
再婚するのではなかったか?
確か、これが定番で浮気不倫夫の取る行動の王道だったように記憶して
いて、同じように夫がすまないが別れてほしいと言ってきたほうがよほど私の混乱は少なかったかもしれない。
「少し考えさせて……なんか、すぐには返事できない。
私、あなたがよその女の人とそんな風になるなんて、ちっとも
考えたことなかったし」
私は夫の左手の薬指に嵌められているリングを見つめながら
答えた。
「そうだな、分かった……驚かせてスマナカッタ」
夫は私のほうへ顔は向けたけれど、私と視線を合わせることなく
呟くように言った。
私はそんな夫のことを見ていられなくて、すぐさまその場を離れ
自分の部屋へと駆け込んだ。
自分の部屋に入ると、ますますドキドキが止まらなかった。
夫が相手の女性と何度も身体を重ねていたというおそろしい現実が、
ぐるぐると私の頭の中を駆け巡る。
考えたくないそんなことって思うのに、止まらない。
この思考から逃れることは難しく、考えれば考えるほど気持ち悪くって
たまらないのだ。
吐き気を伴うほどに。
いっそのこと狂えたらどんなに楽だろうって、そんなことまで
思ってしまう。
時間が経てば、この事実を現実のものとして私は受け入れる
ことができるのだろうか。
明日の朝になれば、私の頭の中から今夜の記憶がごっそり
抜け落ちてしまえばいいのにと願った。
たった一度の過ちなのだから、赦してあげようという選択肢もない私。
『たった一度の過ちを悔やんでいるのなら、赦してあげる』
とも言わせてもらえない私。
◇ ◇ ◇ ◇ 翌日からはまた、いつものように普通な日常が訪れ、再構築の話し合い
みたいなものもなく、しばらく過ごした。
ルーティンよろしく、今までと変わらず過ごす日々は徐々になし崩し的に……私の中の蟠を少しずつ溶かし始めていた。
1週間過ぎた頃、改めて夫に『やり直してもいいよ』と言ったほうが
いいだろうか、なんて思ったけれどなかなか言い出すタイミングが取れず、
さらに時間だけが進んでいき。
しばらくして、私も夫も漸うお互いの目を見て話せるように
なりふたりの間にひとまず落ち着いた時間が訪れた。
ただ元あった全幅の信頼関係はそんな簡単に戻ってはこないだろうけれども……。
◇ 小休止
このままで、この先もちゃんと夫婦としてやっていけるのか?
どこかで歪みが大きくなり、どうにもこうにもならなくなる日が
来るのではないか?
それとも小さくなり、時々私の胸を痛くするものの、やり過ごせるような
ものに……消化できるようにまでなるのか?
多忙なのがいいのかどうなのか、ゆっくりじっくり考える時間がないと
いうのもあり、ただ、こんなふうに不安を抱えているものの今は夫のことをスパッと切るような決断もできなくて、ある意味グダグダでもあった。
とにかく、私は子供と義両親の世話をしつつ、仕事もし
忙しい日々を過ごした。
夫は、週に何度か外で飲んで帰ることが常だったのだけれど
あの日から、一切それがなくなった。
私に対する反省の証ででもあるかのように。
今までほぼ家族3人での外出なんてなかったのに、最近では
少しの間なら義両親のことも心配ないからと未由を連れて
観覧車など遊園地も隣接しているフラワーパークへ連れ出して
くれることもある。
こんなところにも、夫のちょっとした謝罪? 努力? そんなものが
垣間見えて、やっぱり分かる形で行動してくれることがうれしかったり
する。
********
久しぶりに家族水入らずで外出できて、気持ちに少し潤い
効果あったのかもしれない。
私の中で、はっきり再構築しましょう、とかっていう宣言じゃないけれど
蒸し返すようなことになるかもしれない文言は避けて、自然にやりすごせる
ものならそれでもいいかな、という考えに向かっていったのだから。
次の日曜日には近所周りだけど、3人でランチにも出かけた。
普段多忙な夫は休日は外で食事などをしたがらない人だったのに……。
いつまで続くかは? だが、でもやっぱり心遣いをうれしく
思う自分がいる。
父親が好きな娘もうれしそうだ。
普段は時間がなくて聞いてもらえない話をここぞとばかりに
夫に話しかけている。
あ~あ、ご飯粒、飛ばしてるよ。
私たちが別れてしまえば、こんな娘の幸福な時間も奪って
しまうことになるのよね。
当たり前の幸せなんて、何かの拍子にあっという間に
弾け飛んでしまったりするんだ。
娘の楽し気に話す様子を見ながら、いつまでもこんなふうに
幸せな時間が続けばいいのに、と思った。
だから、大丈夫、この先夫さえ金輪際よそ見せずに
家族のほうを向いててくれれば、上手くいくわきっと。
********
それからも夫は今まで家族とは別行動に使ってた時間である
飲み屋、競馬、サイクリング、パチンコ、1人カラオケなどを
自粛? して、休日には娘や私と過ごすことが多くなった。
パチンコやカラオケなどはストレス発散のためと言い、これまで一人で
出掛けていたので、今はどこでストレス解消するのだろう? と心配にも
なってくる。
まぁ、娘のことを思うと、よい傾向だよね。
子育ては親である私と夫とのふたりの役目なのだから。
でも私もアレだね、甘いっていうか。
夫は散々今までストレス発散という名目で休日にはほとんど自分のために
時間を使っていて、私なんて自分の時間なんてほぼほぼなかったというのに。
それなのに夫の心配をしてるなんて、お人好しもいいところよね。
もう既に夏休みに突入していた未由を連れて土曜日には
子供が好きそうなアニメの映画にも連れて行ってくれた。
本人は、涼しい映画館の中で、ぐっすり寝られて一石二鳥だったって。
相手がまだ低学年だからってバカにしてなぁ~い? まったくぅ。
未由が、帰ってきてから楽しそうだったからよしとするけども。
娘は映画館で好きなアニメを見られてご満悦の様子。
幼稚園の頃から見てる大好きなキャラクターを家では見られない
ような大画面で見られたのと、今までほとんどというか、まったく
父親と出かけたことがなかったのもあるのだろう。
義両親たちに、お父さんと映画見に行ったってうれしそうに
報告してたからねぇ~。
この先、月曜日と金曜日が祝日になってる日があるので
どちらかに土日併せて2泊3日で家族旅行へ行こうなんて誘われてる
けど、急に家族サービスに励み過ぎて、大丈夫なのかしら?
やり慣れないことしてるって分かるから、少し心配ではある……
けど、未由のことを考えると旅行を経験させてやりたいとも思うの
よね。
来年もこの彼の努力が続いているとは限らないから、行けるうちに
行っとけ、みたいな? 貧乏症かな?
まぁ、いろいろと思うことがありぃ~の、夫の言動に大きな変化が
ありぃ~ので、いつになく激動の夏になってる。
そして今回のことに対する決着をどうつければいいのか、とまどう
ばかりで、実のところちっとも心の整理ができてない。
しっかりしろっ、亜香里。
◇旅行
暑いし、未由はまだ低学年ってこともあって1泊2日での
旅行を夫が決め、プラネタリウムを見に行こうってことになった。
足はマイカー。
意外とプラネタリウム見れるところって近隣にたくさんあるんだ。
今まで気にしたことがなくて知らなかったんだけど。
暑いし、小さな子供連れてるしってことで、夫と相談して日帰りでも
行けそうなところへ1泊2日で行くことにした。これだと旅先でのんびり
出来そうだし、未由も疲れないだろうし。
◇ ◇ ◇ ◇
子供たちの夏休みでかつ土日ということで、道がかなり混んでて
ちょっとゲンナリ気味で私たちは現地に到着した。
近場でこれだっ……やはり今回のゆるゆるプランで正解だった。
施設のカフェで食事をすることに。
喉カラッカラって、お水がおいしかった。
未由は、ハンバーグにピラフそしてプリン付きのお子様プレート 。
私と夫はビーフカレーを。水分補給と空腹を埋めて……次の場所にGO.
アスレチックなんかも近場にあって3人で揃って身体動かして
楽しんだ。あちぃ~かったけれどね。
一旦宿泊施設にチェックインし、しばし休憩Timeもとって
3人でほっと一息。
プラネタリウムを見た後、食事をしてから夜はまた、ほんものの星を見に行くことになってる。
15人くらいで各々手にした懐中電灯で、夜道を照らしながら
天文台へと歩いた。
夫が未由の手を引いてくれた。
カップルたちはロマンチックな気持ちで手を繋いでて、きっと彼らには
この時が幸せな時間なのだろあなぁ。(棒読み)
そのうち、私は夫と娘と離れてしまい、途中からは一人だった。
いや、もちろん周りには一緒に向かう誰かはいたのだが。
なんなのだ。
突然私を襲った大きな悲しみは。
しかも、こんな場所で。
私は独りなのだと。
一度襲われた悲しみは、その夜眠りにつくまで私の中から
消えてはくれなかった。
ヤバァイ!
……ことに、翌日になっても私は悲しみを引きずっていた。
目の前で繰り広げられる良い父親、素敵な夫を演じている
彼を目の当たりに、夫になるべく気取られぬよう、私は静かに
夫の姿を追い続けた。
この人の本当はどこにあるのだろう?
今の私にはもう何も見えないのだ。
何も見えず、何も信じられなくなってしまった相手と、それでも
過去の幸せを取り戻すために? がんばらなきゃぁいけないのか?
この日の私は、前日程自然な振舞いをすることができなかった。
夫もそんな私の様子には気づいたと思うけれど、知らない振りで
スルーし、子煩悩な父親(の振舞い)、気遣える夫という役を家に
帰りつくまで演じ続けた。
旅先で娘の手を引き引き、夜空に瞬く星々を頭上に仰ぎ
私たちは天文台まで歩いた。私たち家族だけではなく十数人か?
二十人以上いたのか? 定かではないがとにかく他にも周りには
人は何人もいた。けれど私たちの周りには静寂があるだけだった。
前回娘と手を繋いだのはいつのことだったろう?
こんな自問を自分に投げかける父親だ、思い出せないほど遠い
昔のことになってしまっている。つくづく私は家庭を顧みない
父親で夫だったのだなぁと思った。
妻との関係もいわすもがな……だ、な。
浮気を続けていたこの3年間、それでも妻とは月に2~3度の
ボディランゲージがあり、外で手をつなぐような行為はなかったけれど
それが私たち夫婦の絆の証になっていたと思う。
今回、例えば未由がいなくても私は亜香里と手を繋げただろうか?
今までは先に寝ていた亜香里に私が触れるのがその合図だった、のに
あの日から亜香里は私が寝床に入るまで先に寝ようとはしなくなった。
明らかに夜を避けられている状態で、今回娘と私の側には敢えて
寄って来ず、少し離れた所から夜空を見上げる妻に私は不安を
隠せなかった。
娘が産まれて4~5年も経つ頃には、妻と手を繋いだり腕を貸したりした
記憶がないけれど、今までは安定の夜の生活があり、手を繋がなくとも
いつも妻は私に寄り添っているイメージがあった……だから……。
天文台に上り、裸眼と望遠鏡とで宇宙に続く星々を見て
宿泊施設に戻ったその後で。
風呂に入り、3人川の字になって寝た。
少しはしゃぎ気味の未由の相手をしていたら……
そのうち、娘の寝息が聞こえ始めたので、改めて妻の方に視線を
移すと彼女の瞼はすでに閉じられていた。
ほっとしたのも本当だった。
そして気がついてしまった。
旅行に来てからほとんど妻と視線を合わせてないことに。
改めて考えたこともなかったけれど、今までなら私が妻に顔を
向けた時、必ず妻の暖かな視線が目の前にあったのだ。
当たり前のことだったから、敢えて考えたことこともなかった
のだが。
妻はなんとか今の場所に踏みとどまってくれているのだ。
改めてそれを実感する旅行になった。
未由がいなければ、きっと私は許されなかったのだろうなぁ。
◇怒り
以前こっそり日向 瑛の後をつけ、奴の家を見に来た
ことがあった。
奴は自分の気の向いた時、ぶっちゃけ身体が要求した時にだけ
連絡を寄こすヤツで、決して私たちの関係に、私の身体に、溺れる
ことはなかった。
互いに既婚者だし、私のほうも変に執着されずに大人の関係を
続けるにはちょうどいい相手だと思ってたけど、いつの間にか
日向 瑛という男は私にとって気になる存在になっていた。
既婚者で亭主のいる身とはいえ、私の亭主は若いキャバクラ嬢の
尻を追いかけまわしてるような最低な野郎だから、よけい奴に気持ち
持っていかれちゃってたンだな。
まぁ、亭主と別れて結婚したいなんてそこまでは考えてなかった
んだけどさ。
だけど、妻にバレたからこれきりにするって、いきなり文字で
拒否られたんだよ? それきり着信拒否。
言い訳も謝罪もなし。
頭くるでしょ?
誠意なさ過ぎるじゃんねぇ?
3年だよ? いくら執着ないったって、3年も続いてたんだから
私の身体、それなりに気にいってたわけで。
犬猫だって3年も飼ってたら、情が沸くってもんでしょうに。
まるで行きずりの女のような扱いを受け、私の何かがブチって
切れた。
なんかさぁ、意味もなく暴れたくなったのよね。
だって、内でも外でも私は誰からも必要とされてなくて
あまりの理不尽さに私の心は荒んだ。
胸の底から何かがせり上がって来てさ、なんかぁ……やってやる
って気持ちが大きくなってきて。
それにしても、人生って思う通りにならないものなんだね。
いやんなっちゃう。
私があいつの奥にバラしたんだけどさぁ、揉めるとは思ってたけど
自分がバッサリ切られるとは……こんなことになるとは思ってなかった。
分かってたら、バラすなんてことしなかった。
私ってバカ? 自分で墓穴掘ったんだ。
揉めさせてヤツを自分のほうへ引き寄せたかったんだよね。
私と3年もいいコトしといて、あっさり手を切るなんて、どういう
こと?
いくら浮気からの付き合いだからって、私にだって自尊心って
ものがあるんだからね。
ほんとっ、腹たつぅ~。
私は自分の恨みつらみを 奴の奥にぶつけて、結果奴にも
復讐することにした。
あいつの家庭をむちゃくちゃにしてやる。
――― ◇ジグソーパズル へと続きます―――――
配信先
↓ 配信とは関係ありません。名簿。
『恋しくて』 / ヨドバシカメラ様
https://www.yodobashi.com/product/100000086602897037/
こみぽん様
エルラブ様
dアニメストア
――――――― 誤字脱字、変更したい箇所などのメモ ──――――
誤字見つけ 意外――――以外❍
懇願――――削除
word133p――――返事がかえる⇒返事が戻る
EB21──閉じ[た]り ふわゆる⇒ふるゆわ✘[訂正が間違ってる]😭
❍=ゆるふわ
EB40 W56 訊けなかっ[たっ]た
EB46 W63 浮気した側[の私は]──浮気した側で
EB50 W68 [とっかえひっかえ]── 取っ替え引っ替え
EB51 W70 そんなふうに思ってくれていたとは……しかし、それをこんな状況で知るなんて。 そんなふうに思ってくれていたとは……[。]❀
しかし、それをこんな状況で知るなんて。
戻っては[来]ない──戻ってはこない
EB52 W71 1ヶ月──1か月
EB53 W73 夫は離婚は絶対しないと言う。 [一方、]夫は離婚は絶対しないと言う。 私もなかなか踏みきれないでいた。
[そのため、]私もなかなか踏みきれないでいた。
EB56 W77 何かを決意した彼女の纏まとう空気はつい先ほどまで纏っていた寂しげなオーラではなくなってい[て、少し明るく光っていた。]
❀EB 63 w85 ◇ひとつの恋 でもさ、奥さんないがしろにするのに、お店に一緒に ✘引っ張って[連れて]来る人なんているんだ? 」
